・Sr.阿部のバンコク通信(58)「ムエタイ」を次のオリンピックに!

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 東京オリンピックがコロナ禍の中で開かれ、選手たちの奮闘ぶりが世界中を元気づけています。とくに日本選手の一途さには心を打たれます。

 携帯では迫力が感じられず物足りないですが、仕事の合間に様子を垣間見ています。フィリピンとタイの姉妹達に『金メダル獲得』の話をしましたが、関心無し。その後、歴史初の金メダルに祖国が湧いている、と言う事実を知って、食卓の話題にやっと登場しました。

 タイの伝統的なスポーツは国技『ムエタイ』。400年の歴史を持つムエイタイは、13世紀ビルマとの度重なる侵攻に備え、若い男子に特訓された護身に重きを置く実戦格闘技です。両手、両肘、両脚、両膝の8箇所で打つ蹴るという身体を張った素手素足の技。アユタヤ出身のカノム・トムが捕虜としてビルマに連行され、試合で10人勝ち抜いて生還した、という武勇伝が語り継がれています。

 ムエタイは1941年に王室の管理下に置かれ、グローブ着用で1試合5ラウンド(1ラウンド3分)のルールが確立。

 2002 年には観光スポーツ省が設立され、世界遺産、風景、歴史見物、エコツアーと組んだマラソン、サイクリング他のスポーツと共に、タイ国復興の一端を担い、ムエタイの体験ツアーも人気です。試合前に師匠、両親に感謝し、安全と勝利を祈る舞の儀にはじまり、民族楽器の演奏が流れる中で試合が行われ、国技の風格があります。

 しかし、その反面で、法律で賭け事が禁止されているにもかかわらず、ムエタイの世界ではギャンブルが罷り通るようになっており、暴力沙汰、けが人を出す事態が起こらないように、警察と軍の警備監視下で、審査員も不正が起こらないようにポイント調整をしながら、試合をする、というのが実情です。

 でも、タイの人々のスポーツへの熱意は高く、観光スポーツ大臣が大活躍。確かにタイ国のスポーツと観光とが密接な関わりは深く、調査・研究に来ている日本の大学関係者もいます。最近ではサッカーの人気も高まり、先日もサッカー交流でコーチを務めている日本の青年に出会い、『清々しく』感じました。

 世界ムエタイ連盟(WMF=世界90数か国が加盟)は、次回のオリンピック種目にムエタイを入れてもらおうと交渉中との事、実現すれば、タイは必ずや金メダルに耀くことでしょう、願わくは、賭博界の泥濘から健全な憧れのスポーツに抜け出る機会になりますように。

 スポーツは喜びと希望で人を結び元気にしてくれる、実にそう思います。

(阿部羊子=あべ・ようこ=バンコク在住、聖パウロ女子修道会会員)

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2021年8月2日