・FABC 総会第二週「新たな現実」テーマに討議・第1日「ポスト・コロナの痛みと機会など」

(2022.10.17 FABC News  PRESS NOTE)

  FABC 総会は17日、第 2 週目を迎え、「新たな現実」をテーマに一週間にわたる討議を始めた。

 会場のバンコクの聖ミカエル・ホールの討議は、司会のチャールズ・ボー枢機卿の下で始められ、冒頭、オズワルド・グラシアス枢機卿が、今週の討議で、教皇文書が示しているテーマをアジアの新たな現実にどのように反映していくか、について説明した。

 次いで、FABC の神学担当室のメンバーで道徳神学者のジェラルド・マティアス司教とベトナム・カトリック研究所の教義神学教授であるグエン・ハイ・ティン 神父が「ポスト・コロナの教会とキリストの聖体」について講演。

 マティアス司教は、新型コロナの大感染が引き起こした挫折、さらに重要なこととして、それがもたらした機会について語り、キリストの聖体である教会がどのように苦しんできたかを解明したうえで、治癒の可能性についての期待を述べた。

 ティン神父は、教会が痛み、苦しみ、変化に対して脆弱であることを、新型コロナ感染がどのように明らかにしたかについて語る一方、教会は、復活の神秘とシノダリティ(共に働く)教会であり、癒しと一体感に向かって進んでいる、と指摘。マティアス司教は、新型コロナ感染で明らかになった新しい司牧の道筋ー対話、養成、デジタル伝道、生態系の保護、そして典礼を一人一人の個人的なものとして復活させるプログラムーを提示した。

 弁護士で教育者、環境政策の専門家、アントニオ・ラ・ヴィーナ氏と、インドの環境活動家、リディマ・パンディ氏は、「気候変動の危機とそのアジアへの影響」について講演。気候危機の現在の状況について最新情報を提供した。

 ラ・ヴィーナ氏は、気候変動の危機がもたらす最悪の影響を可能な限り食い止めることの重要性を強調し、総会に参加する各国の教会代表者に指導力を発揮するよう求めた。また世界的な対策から地域的に対策まで、教会が果たすべき役割のポイントを、教皇フランシスコが出された「ラウダート・シ」と「兄弟の皆さん」の二つの回勅を土台にした枠組みとして提案した。

 リディマ・パンディ氏は、故郷の環境破壊の実情から始めて、気候変動の影響を受けたすべての子供たちのために行っているキャンペーンについて説明。「子供たちが今、路上で行動を起こしたのは、大人の世代が行動を起さなかったからです」と指摘し、「(地球温暖化の)あらゆる段階に対処することが重要… 私たちには、あなたの助けが必要です」と訴えた。また、教皇フランシスコ教皇から世界に向けた気候変動危機に対処するメッセージである映画「手紙」を紹介。映画は、討議後の夕刻に上映された。

 続いて、FABC の気候変動デスクの元責任者であるアルウィン・ダ・シルバ司教が、「(環境回勅)ラウダ―ト・シ、 責任ある管理者への呼びかけ」というテーマで語った。司教は、すべての人に「創造を賛美する歌」への参加を求めたうえで、回勅を考察した。司教は、「地球がすべての人にとって共通の家であり、創世記が、私たちが地球の管理者であり、地球を保護することを意図していることを伝えている」と強調。パンディ氏の発言を受け、「私たちは、どのような世界を、次の世代に残そうとしているのでしょうか」と問いかけた。また、「ラウダート ・シ」が、いかに教会の社会教説と深く結びついているかを示し、総会に参加する各国の教会代表者たちに、「キリスト教共同体を巻き込み、貧しい人々の権利を守り、地元の文化と自然の美しさを保護するアジアを目指すように」と強く求めた。

 バチカンの聖職者省長官のユ・フンシク枢機卿は「時代を画する変化の中での、司祭養成」について考察。 「どのような教会、どのようなタイプの司祭、どのような養成が必要とされているのでしょうか」と問題提起し、「すべては1冊の本ー聖書、1つの律法ー 相互愛の律法、そして1人の主人 ー 神にまでさかのぼります」と述べた。そして、「現在の急激な変化の時代において、教会は聖体祭儀の家であり、シノダリティ(共働性)を学ぶ学校になる必要」がある、とし、必要とされる司祭は、イエスの真の弟子であり、奉仕に召され、人類家族の一員として働く人々、その育成は、家庭と神学校の両方でなされる、と強調。また、日々の生活の一部としての神の言葉の重要性を強調して、講話を締めくくった。

 以上の全体討議を受けて、総会参加者たちが新たな分科会をもち、全体討議で示された提案などを、それぞれの司牧活動にどのように組み込むことができるかについて話し合い、考えを深めた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年10月22日