・FABC総会第二週の討議テーマ「新たな現実」第5日ー共働性、バチカン改革、そしてアジアの教会

 (2022.10.21 FABC News PRESS NOTE)

    FABC 総会の二週目のテーマである「新たな現実」についての討議は21日、 5 日目に入り、ラオス駐在教皇大使のリン・マンカネクーン枢機卿司式のミサ、そしてFABC会長のチャールズ・ボー枢機卿の冒頭あいさつで始まり、この日のテーマとして、シノダリティ(共働性)、バチカン改革の使徒憲章 Prædicate Evangelium、指導体制、統治、そしてFABC50年の考察が挙げられた。

 この日の会議の第一報告者は、来年と再来年の2期にわたって開かれることになった世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会の文書取りまとめの責任者であるクロード・オロリッシュ枢機卿(ルクセンブルク大司教)が、シノダリティの見地からシノドス総会を取り上げ、(”シノドスの道”の歩みについての)準備文書が作成された過程と自身の経験について語った。そして、シノドス総会に至る道に関連して、「教皇が強く願われているのは、全ての人が、誰一人残さず、共に歩むこと。カトリック教会のシノドスとしての今回総会の核心は人々が耳を傾け合うこと、教会の中心にキリストとその理念があること」を強調した。

 マレーシアのクラレンス・デヴァダス神父は、これまでの小グループでの討論の概要を説明するとともに、今週のテーマは「時のしるしを読む」ことにある、と強調。耳を傾ける、会話をする、回心する、交わるの四つの枠組みを使って、成功を祝う、互いの差を認識する、新たな道を探すことで将来の機会を見つける、の三つのポイントで小グループの討論を要約した。

 1997年から2012年までドイツの司教団の途上国地域への援助組織「Misereor」の事務局長で、FABC 50組織委員会のメンバーのヨセフ・セイヤー博士は、バチカン改革の使徒憲章 Prædicate Evangeliumの意義と、アジアの教会の新しい形の指導体制と統治の可能性について考察。教皇がこの憲章で強調した改革、発想の転換、参加の重要性、およびバチカンの機構改革の中で、特にアジアの教会に関連するポイントを概説した。

 シノドス第 16 回通常総会の準備に携わっている、フィリピンの東アジア司牧研究所のクリスチーナ・ケン教授は、今週のテーマである「新たな」について語り、教会における指導力と統治の形態は、シノドス的である教会会議のルーツに立ち返る必要がある、と指摘。そのようなシノドスの指導力と統治の原則に加えて、その原則を実践するための具体的な提案を行った。

 フィリピン司教協議会の会長のシオンコ・デビッド司教は、「新しい形の指導力をどのように促進できるか」をテーマに、エルサレムで開かれた最初の公会議の背後にある歴史と聖ペテロの果たした役割を考察。「時のしるし」にも対応する聖典に根をおいた存在としての教会を強調し、教皇のバチカン改革についての洞察を提供し、より良い道を歩むための方法にも焦点を当てた。

 米オハイオ州のケース・ウェスタン リザーブ大学のカトリック研究担当、ジョナサン タン教授は、来週の討議テーマ、「FABC 50 年: 課題を話し合い、機会をつかむ」を取り上げた。タン教授は、自身の研究テーマから初めて、移民の人口統計と人口動態、FABC の豊富な文書による記録を分析し、キリスト教が、地に足の着いた共同体から、バーチャルな、今ラインの信仰共同体へと移行している実態、これからの50年に生まれるであろう時代の流れについて語った。

 この日の討議は、ボー枢機卿の夕の祈りで締めくくられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年10月22日