・菊地大司教の「FABC50周年記念の総会から」(その3)25日の朝の祈りは日本の担当

 菊地大司教の日記 2022年10月23日 (日)

Img_20221018_083850349 10月12日から30日までバンコク郊外の教区司牧センター「Baan Phu Waan」で開催されているアジア司教協議会連盟の創立50周年記念総会は、第二週目が終わり、最後の一週間に入ります。

 ボンベイのオズワルド・グラシアス枢機卿をトップとする企画準備委員会では、第一週目の各国からの報告の期間を「Visiting Asia」と名付けて、まずアジア全体の現実を知ることから始めました。

 そしてこの10月17日から22日までの第二週目は、「Emerging Realities」と名付けて、各国の報告から知った現実に基づいて、今アジアで何が起きているのかを深める時とすることを目指しました。そのために様々な分野に関係する信徒や修道者の声に耳を傾けるために,オンラインでの分かち合いを月曜から木曜まで行いました。

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 それぞれの日はテーマが設けられ,同時にそれに関連するフランシスコ教皇様の文書についての振り返りの時も持ちました。17日の月曜は、特に気候変動に目を向け、環境回勅「ラウダート・シ」への理解を深める日とされました。

 18日の火曜日は青年、女性、移民、移住者、人身取引などに焦点を当て、回勅「兄弟の皆さん」の学びを深めました。

 さらに19日の水曜日は、家庭や結婚の問題に焦点を当て、使徒的勧告「(家庭における)愛の喜び」の学びを深めました。

 その後20日の木曜日には、アジアで実際に起こっているミャンマーでの状況に思いをはせながら、平和、和解、対話をテーマとして、使徒的勧告「福音の喜び」についての学びの日でした。

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 21日の金曜日は、アジアに来られていた世界代表司教会議第16回総会の責任者でもあるルクセンブルク大司教のオロリッシュ枢機卿から、シノドスについての話を頂き、教皇様の顧問団の中心人物でもあるグラシアス枢機卿から、教皇庁改革にあたる教皇様の指針である「Predicate Evangelium」についての話をいただき、それを踏まえて「FABCの次の50年をいかになる道を通って歩むべきか」の考察を始めました。これは次週の大きなテーマです。

 そして22日の土曜日は、全体会で、これまでの議論を行ってきた中で取り上げられた様々なポイント以外に、FABCの将来に関わる重要な課題があるかの自由討議を行い、最後に、聖体降福式をもって一週間を締めくくりました。

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 この間、いくつかの特筆すべきことがあります。まず17日には、ラウダート・シにちなんで、近頃Youtubeで公開された「The Letter」という映画に実際に出演しているインドの環境活動家Ridhima Pandeyさんが出席され、彼女の話を伺い,さらに夜には参加者一同で「The Letter」を鑑賞しました。

 Ridhimaさんは,まだ14歳ですが,しっかりした考えをしっかりと発言される方でした。この映画はこちらで見ることができます。ただし英語の字幕で、90分ほどです。教皇様が気候変動について多くの方の意見を聞くために、バチカンに来るようにと招待状の手紙を送るところから始まり、世界各地から教皇様の元へ呼び集められた中に、Ridhimaさんもおられました。

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 次に、18日のオンラインでの分かち合いには,青年のテーマで、高松教区の高山徹(あきら)神父様が参加してくださいました。そして女性や人身取引、移民や難民のテーマでは、東京で活躍するメリノール会のシスター・アビーが,ローマからオンラインで参加してくださいました。

 これはすでに触れた,タリタクムの活動についての分かち合いで,会場にはタリタクムアジアの代表の一人として,メルセス会のシスター弘田も参加されていました。

 アジアの会議では英語が使われるので、分かち合いなども英語ができる方にお願いせざるを得ないのですが、日本に限らず英語を主に使っていない国からは、参加者を得ることが難しく、どうしても一定の国からの発言に偏ってしまう嫌いがあります。今回参加してくださった高山神父様やシスターアビー、シスター弘田、そして先の日曜日に参加してくださったシスター宇野には感謝申し上げます。

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 また18日の締めくくりには、私も事務局長として関わる企画準備委員会での成り行きから、私が、回勅「兄弟の皆さん」についての分かち合いを行うことになり、30分と言われて原稿を用意していきました。

 そうしたらこの日は結構スケジュールが押して、一日の最後の私が話す順番が近づいてきたら,グラシアス枢機卿から突然、「20分にしてくれ」との指示があり、かなり慌てました。その結果はこちらのビデオをご覧ください。最後の肝心な部分をかなりカットして、なんとか全体は19分で収まりました。

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 10月23日の日曜日は「世界宣教の日」です。この日のミサは毎朝のミサを行う聖堂ではなく会議場で行い、ネット中継されました。

 グラシアス枢機卿司式で、共同司式に私も参加しました。グラシアス枢機卿の説教にもありますが、共同司式で祭壇に上がったのは,インド、フィリピン、日本、ドイツ、ペルーの面々で、世界宣教の日にふさわしい顔ぶれになりました。

 また聖体拝領が始まると,なんと聖歌隊から日本語の歌が始まりました。わたし自身も子どもの頃良く歌った「主、我を愛す」であります。この日の聖歌隊の日本語ができる少女が、しっかりと歌ってくれました。上の写真、聖歌隊の向かって一番右端の方です。感謝。ミサはこちらからご覧いただけます。「主、我を愛す」は1時間09分くらいから始まります。

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 そのほか、私にとっては3年ぶりくらいでバンコクにあるカリタス・アジアの事務局員との再会となり、会議場近くのレストランで一緒に夕食をとりながら、いろいろと話を聞きながら、懐かしい面々と旧交を温める機会もいただきました。

 最終週となる第三週は、総会文書の全体的枠組みの承認、最終メッセージの採択、FABCの今後の方向性の承認などが控えており、また朝から晩まで、プログラムがしっかりと組まれている毎日となります。

 なお以前にもお願いいたしましたが、25日の火曜日は、会議に先立って行われる朝の祈りが日本の当番の日です。当番の日には,それぞれの国でFABCのために祈りをお願いすることになっていますので、25日の火曜日、一日のどこかで、アジア司教協議会連盟FABCのためにお祈りをお願いします。

(編集「カトリック・あい」)

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2022年10月24日