・ミャンマーの果てしない紛争でキリスト教徒少数民族も苦しんでいる(LaCroix)

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 ミャンマーの首都ヤンゴンで、内戦の早期終結を求めるチン州の少数民族の人々、大半がキリスト教徒だ . (Photo by EPA/LYNN BO BO)

(2020.12.15 LaCroix  John Zaw Myanmar)

世界はミャンマー問題では、ラカイン州のロヒンギャ危機に注意を払ってきたが、キリスト教徒が迫害の矢面に立つ同国西部地域でも紛争が衰えることなく続いている。

ミャンマー軍と、反政府武装組織、アラカン・ロヒンギャ救世軍の戦いは、同国西方のラカイン州から隣接のチン州に広がり、新たな紛争が起きており、これまでに数百人の住民が死亡、数千人が故郷を捨てるのを余儀なくされている。

国連によると、11月30日現在で、1万1千人以上がチン州のパレッワの施設に、9万3前人以上がラカイン州の施設に滞在している。これらの難民の大半はチン族のキリスト教徒だ。教会の敷地内に一時的な避難所としたり、政府所有の建物、修道院、親戚の家などにも避難している。

そうした中で、9月には、パレッワの奥地にいる約6万人が、道路が分断されたために、深刻な食糧不足に直面した。治安も悪化しており、その影響で、市場のコメの価格は高騰し、政府や援助団体が送る米も、何か月も届いていない、という。

パレッワ地区の人口は推定11万人で、うち8万5千人以上がチン族のキリスト教徒、1万7千人がラカインの仏教徒とみられるが、現地の人権団体によると、チン、ラカイン両州では、治安悪化の中で住民に対する殺人、強制労働、拉致などが数十件発生している。教会関係者によると、紛争激化の中で、砲弾がカトリック教会の敷地に打ち込まれるなど、危険な状況が続いている。

  新型コロナウイルスの世界的大感染の中で、国連事務総長は、ミャンマーの人々をさらに苦しめる結果になっている内戦の一時停戦を、政府、反政府双方に呼びかけ、同国のカトリック教会のリーダー、チャールズ・ボー枢機卿も対話による和平実現を強く関係者に求めている。平和な国を求めました。

 内戦の長期化で、紛争により、カトリック教会とバプテスト教会は、数百の国内避難民キャンプをカチン、シャン、チンの各州に開設しており、キリスト教徒を主体とする10万人以上がしゅうようされている。カトリック教会の援助機関、カリタス・ミャンマーは、これらの州の避難民に人道支援を続けている。

 同国のアウンサン・スーチー国家顧問は、すべての民族武装グループを交渉のテーブルに就ける努力をしているが、国内と国境の治安の実権を握る軍の非協力で、はかばかしい進展はない。スーチー女史が率いる与党、国民民主連盟(NLD)は、先月の総選挙で、数十年にわたる軍事政権を正式に終わらせた2015年の総選挙に続く、圧勝を果たしたが、文民政権が和平の主導権をとれるか、まだ見えてこない。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

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2020年12月16日