・「人々への”奉仕”のない政権には正当性がない」ミャンマーのボー枢機卿

(2021.8.23 カトリック・あい)

 アジアの有力カトリック・メディアUCANewsが22日付けで伝えたところによると→https://www.ucanews.com/news/real-power-comes-from-service-says-myanmars-cardinal-bo/93808→ミャンマーのカトリック教会の指導者でアジア・カトリック司教協議会連盟の会長でもあるチャールズ・ボー枢機卿は、ヤンゴンで行われた22日の年間第21主日のミサの中の説教で、「人々への奉仕から正当性を得ていないすべての政権は、神からその正当性を得られない」と強調した。

(写真:AFP)

Real power comes from service, says Myanmar's Cardinal Bo ボー枢機卿は説教で、2月1日に発生した同国での軍事クーデターとその後の政治的混乱によって引き起こされている事態を改めて憂慮し、国の平和、安定のために、国民への奉仕、真の権力、正当性を挙げた。

 枢機卿は「人々への奉仕によって正当性を得ないすべての政権は、神からその正当性を得られない」とし、「教皇フランシスコがしばしば指摘されているように、真の力は奉仕から生まれる。罪のない人々に権力を押し付けることはしません。どの国の政権も、国民の上に来ることはない。一つのビジョンに対して、それを目指す一方の目が政権、もう一方の目は国民です」と訴えた。

 さらに、「国家は正義の上に作られる。それ以外は偶像崇拝です。(旧約聖書に描かれた)イスラエルは偶像崇拝のために暗闇に陥りました」とした。

 また枢機卿は「すべての人の平和と繁栄という大きな夢を持って、(民主的な選挙によって生れた政権のもとに)歩み始めよう」としていた自身の国の現状を嘆き、「私たちは、何百万もの平和のパン、人生のパン、繁栄のパンを奪った、”滅びるパン”を求める少数者の利己的な損得勘定の追求を目にしてきました。権力を振るう人々は、どんな犠牲を払っても極度の富を得ようとし、経済的不平等、環境的不平等などの偶像を生み出した」と批判した。

 そして、ミャンマーの国では、仏教の「メッタ(Metta:慈しみ)とカルナ(Karuna:悲の心=他者の悲しみに共感すること)」の偉大な理想を、偶像崇拝が凌駕してしまった。過去70年の間に偶像崇拝者たちは、平和と繁栄の上に築かれるこの国の理想を奪い、夢が”悪夢”になりました」と語り、軍事クーデター発生からこれまでの半年の間に、多くの犠牲者が出、人々が多くの苦しみを味わっていることを挙げ、「私たちは、滅びるパンを求め、何百万人もの平和のパン、生命のパン、繁栄のパンを奪う、少数の人々の利己的な損得勘定がなされるのを見てきている」と繰り返し糾弾した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年8月23日