・「ミャンマーが”破滅的な事態”に陥らぬよう緊急対応を」国連事務総長が訴え(VN)

Pro-democracy demonstrators protest against the junta in Mandalay , Myanmar. Pro-democracy demonstrators protest against the junta in Mandalay , Myanmar.   (AFP or licensors)

(2021.9.30  Vatican News staff reporter)

 国連のグテーレス国連事務総長は9月29日に発表した声明で、2月の国軍クーデター以来内戦状態が続いているミャンマーについて、「現在続いている危機が、“catastrophe(破滅的な事態)”に発展する可能性がある」と警告。政治・社会の速やかな安定回復へ、同国関係者はもとより、東南アジア地域と国際社会の緊急の対応を求めた。

 声明で事務総長は「ミャンマーを民主的改革への道に戻すのを助けるために、統一された国際的および地域的対応を開始することが急務」と訴えた。そうした対応が遅れれば、「国軍による支配を定着させるのを防ぐ機会が失われる可能性がある」とし、「ミャンマーの人々の民主的な願望」を支援することの重要性を強調した。

  ミャンマーの人権団体、政治犯支援協会(AAPP)によると、10月2日現在で国軍によって、少なくとも1154人が殺害され、8709人が逮捕、うち7045人が拘束中という。(この項、「カトリック・あい」)

重大な人道的影響

 国連は、ミャンマーを含む東南アジア諸国連合(ASEAN)が決議した「暴力の阻止、建設的な対話、調停者および人道援助のためのASEAN特使の任命」を支持している。この決議に基づいて、特使としてブルネイのエリワン・ユソフ第二外相が選ばれたが、国軍との事前の話し合いが難航し、派遣は実現していない。

 事務総長は、このASEANの決議の早期実施を強く求めるとともに、実現に、国連加盟国の協力が必要であることを訴え、 「大規模な武力紛争に発展し、東南アジア地域の平和・安定に深刻な影響を及ぼすのを防ぐために集団的アプローチが欠かせない… 急速に悪化する食料事情、国内・国外難民の増加、コロナ禍での公衆衛生サービスの劣悪化など、深刻な人道危機に対しても、地域、関係国の協調した支援が必要」と訴えた。

 政治・社会的危機の中で、ミャンマーの通貨価値はこの一か月だけで、6割も下落するなど、国民経済は急激に悪化し、食料、燃料など生活必需品の価格は高騰、失業者も急激に増えている。

 また事務総長は、ミャンマーの政治的、社会的安定を回復するためには、アウンサン・スーチー氏が率いる国民民主連盟が政権に就くことを国民が認めた2020年11月の総選挙の結果に立ち戻ること、スーチー氏はじめ政権指導者の釈放などを実施する必要があり、国軍による迫害で国内外に逃れた難民、特に、ラカイン州北部に非難を余儀なくされている約60万人のロヒンギャ・イスラム教徒、隣接するバングラデシュの避難所に留まっている70万人以上の人々への速やかな人道支援再開とそのためのアクセス確保に、国軍を含めた当事者、周辺国、そして広く世界の国々の協力を求めた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2021年10月3日