(2020.4.15 Bitter Winter 李明軒記者)
中国共産党は、コロナウイルスの感染が大流行したことから宗教の集いを禁止したが、今度は検閲を強化して、信者のオンライン礼拝までも取締りに乗出した。
2月、中国でコロナウイルス伝染病が最高潮に達した時、中国東部・山東省・濱州市管轄の恵民県のとある三自愛国教会(Three-Self Church)の牧師が、中国のソーシャル・メディア・プラットホームの一つの"WeChat"に、信者のためのオンライン礼拝用のグループ・チャット・サイトを設けた。
だが数日たって、彼が信者と共有するオンライン礼拝の接続が、現地政府によって遮断された。それより少し前に、山東省・青島市のとある家庭教会の責任者は、中国の映像基盤大型ソーシャル・ネットワーク「YYのアカウント」を使って礼拝を動画送信したが、30分も経たないうちに「このアカウントは、規定に違反しました」という警告メッセージとともに、アカウントが停止された。
コロナ-19伝染病勃発の渦中でも、作業に余念がない中国のサイバー警察(インターネットの写真から)。
山東省の政府・共産党の配下にあるキリスト教全国協議会(CCC)は、オンラインによる宗教活動を根絶するため、2月23日に所属する全ての教会に対して礼拝のライブ放送の送出を禁止する公告を発表した。これと似た禁止の命令は、中国の至るところで出されている。
2月中旬に中国北東部・遼寧省・瀋陽市では、イスラム教の指導者が、とあるソーシャル・メディア・プラットホームで、イスラムの祭りについて人々と話を交わした。そうすると、さほどの時間が経たないうちに、サイバー警察が彼のアカウントを遮断した。「最近では、オンラインで『"宗教&quo』;という話が出ただけで直ぐに遮断されてしまいます」と、そのイス
ム教の指導者は話した。
海外の教会が関連するオンライン活動の監視は、これよりもっと徹底している。3月初めに、遼寧省のある現地政府官僚が、韓国の教会が主管するオンライン礼拝に参加して、上部から呼び出しを受けた。礼拝サイトに接続しようとバーチャル・プライベート・ネットワーク(VPN)のアプリを使用したが、該当のアプリと一緒にオンライン礼拝の参加に必要な全てのソフトウェアも強制的に削除された。
オンラインの集いの禁止が、中国共産党の宗教拡散の阻止において「"伝家の宝刀"」になって既に久しい。昨年4月に、中国南東部・江西省・南昌市の経済技術開発区のとある家庭教会の礼拝所が閉鎖されると直ぐに、その責任者は、信者のためにオンライン礼拝を開設するつもりで、「ズーム(Zoom)」に画像会議のアカウントを開設した。すると当局が9月中旬に該当のアカウントを遮断した。
一部のオンラインによる宗教の集いは許されているものの、その内容は厳格な規制を受け、認められている大半が信仰と何の関係がないものだ。3月8日、山東省のキリスト教全国協議会は、「国際女性デー」のイベントとしてビデオ会議を開催し、各教会の責任者と聖職者に「信者が全てこの会議に参加できるよう」と指示した。この日のビデオ会議に出たある信徒によれば、「国を愛し、伝染病の退治に積極的に協力しなさい」という話ばかりだった、という。
写真:山東省キリスト教全国協議会は、「国際女性デー」を迎えてキリスト教徒を対象にビデオ会議を
開催した。(出処:チャットの写真から、文章中国語のため省略)
山東省のある家庭教会の説教者は取材に対し、こう語った。「国家公認の五大宗教(仏教、カトリック、プロテスタント、道教、イスラム教)さえも、信仰生活が許されません。『ひたすら共産党だけを信じろ』との命令だけです。そのくせ、当局は外に向かって、『中国に宗教の自由がある』と宣伝しているのです… まるで売春婦が、自分の貞操を自慢するのと同じではありませんか」。
当局の厳格な検閲のせいで、信徒たちはオンラインで自分の考えと感想を表現することさえ恐れるようになっている。2月2日、山東省・徳州市のとある家庭教会の説教者が、”サイバー警察””の命令によって「WeChat」の「"グループ・チャット部屋"」を閉じざるを得なくなり、信徒たちに「オンラインで『"微妙な問題"』を話すことがないように気を付けてください」と警告したという。
ある信徒がBitterWinterに語ったところによれば、「"聖書"」や「"悔い改め"」という単語が入ったメッセージ、さらに「新型コロナウイスに感染した同僚の信徒のために祈ろう」というメッセージさえも、「"微妙な事"」と見なされ、禁止の対象とされて、”オンライン検閲官”によって削除される。そのような文を載せた人も処罰される。
誰が何の話をしているか詳細に検閲するため、遼寧省の瀋陽市当局は、政府・党の管理下にあるプロテスタントの三自愛国教会の「WeChat」の」「"グループ・チャット部屋"」に属する約500人の信徒に「オンライン・ニックネームの代わりに実名を使って連絡先を残せ」と命令、聖職者には「実名の脇に教会での職位も併記せよ」と命じた。
この教会の牧師はBitterWinterに「公安局が私たちのグループ・チャット部屋を監視しているので、一人でも規定に違反すると『"グループ・チャット部屋"』が停止されれしまいます… 当局の承認を受けない伝染病関連の情報をアップすると、誰でも国家機密漏洩罪で捕まります」と語る。
2月1日、山東省・煙台市経済技術開発区の民族宗教事務局は、政府の承認を受けない情報は、初めての掲示であっても、再投稿であっても、それに対するコメントであっても、全て禁じ
る、と強硬な告示を出している。
写真:煙台市経済技術開発区の民族宗教事務局の公告文。