・人身売買されたロヒンギア難民が新型コロナで入国断られ、ボートで漂流、大量の死者

Rohingya boat tragedy highlights failure to curb trafficking

Bangladeshi security personnel attend to a Rohingya refugee following their arrival in Teknaf on April 16. At least 32 Rohingya are believed to have died on an overcrowded fishing boat stranded for nearly two months. (Photo: AFP)

(2020.4.19 カトリック・あい)

 ミャンマーのイスラム系少数民族、ロヒンギャの難民数百人が、バングラデシュの難民キャンプから人身売買業者にボートに乗せられ、マレーシアに向けて連れ出された挙句、新型コロナウイルス感染の可能性を理由に入国を断られたことから、洋上に放置され、少なくとも32人が死亡するという悲劇が起きた。

 バンコクに拠点を置くカトリック系のニュース・サイトUCA Newsが17日伝えたもので、それによると、バングラデシュの沿岸警備隊が16日、ほぼ2か月間海で漂流していた漁船から数百人の飢えたロヒンギャ難民を救出した。少なくとも32人の難民が既に船内で死亡したとみられ、沿岸警備隊に発見される以前に、遺体は海に投げ込まれたということで、実際の死者の数はもっと多い可能性が高い。

 UCA Newsがバングラデシュ沿岸警備隊の現場責任者から聴いたところでは、漁船に乗ったいたのは男性150人、女性182人、子供64人。バングラデシュ南東部、コックスバザールの難民キャンプにいたが2か月前に、人身売買業者によって漁船に乗せられ、マレーシアに運ばれようとした。だが、新型コロナウイルスの感染を防ごうとする入管当局に入国を断られ、業者が十分な水も食料も与えずに、船もろとも彼らを洋上に放棄。飢餓や船員などの暴行で多数の死者が出た、という。

 コックスバザールの難民キャンプには、厳しい迫害が続いているミャンマーから逃れてきたロヒンギャ族の人々が数十万人もいると言われているが、劣悪な環境の中で未来への展望もなく暮らすことを余儀なくされている。そうした彼らの弱みに付け込んで、人身売買業者が後を絶たない、という。現地には複数の公的機関が取り締まりにあたっているものの、相互の連絡体制が不十分で、取り締まりに十分な効果を上げられない、という問題もあるという。

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2020年4月19日