・台湾総統特使として陳・前副総統が列福式に参加、教皇に「台湾のために祈って」と願う

(Photo: Embassy of the Republic of China (Taiwan) to the Holy See)

(2022.9.7 カトリック・あい)

 Asia News が5日付けで伝えたところによると、4日、バチカンで行われたヨハネ・パウロ1世の列福式に、中華民国(台湾)の陳建仁・前副総統が、蔡英文総統の特使として出席。その後、教皇フランシスコと短時間会見し、総統からの挨拶を伝えるとともに「台湾のために祈ってくださるよう」に願ったのに対し、教皇から「世界平和のために、共に祈りましょう」との答えをいただいた、という。

 陳・前副総統は、カトリック信徒で、教皇庁科学アカデミーの一般会員でもある。

 バチカンは、台湾と正式な外交関係を維持する世界14か国のうちの一つ。

 中華民国は1912年 に中国本土で成立したが、 国民軍と共産軍の内戦の結果、共産党政権である中華人民共和国 に本土から放逐され、 1950年 以降は 台湾省 の全域 と 福建省 のごく一部の 島嶼 などを 実効支配 する 民主主義国家として、経済的繁栄を続けている。

 これに対し、中国政府は、台湾を自国の領土と見なし、世界の国々に外交関係を断絶するよう様々な圧力をかけ、外交関係を維持する国を減らすのに成功。バチカンに対しても、台湾と国交を断ち、共産中国との外交関係を樹立するよう様々な手を打っており、2018年秋の国内の司教任命に関する暫定合意もその一環。

 暫定合意は、今月で二度目の期限を迎えつつあるが、教皇は、中国側に様々な”問題”があることを認識しつつ、交渉のパイプを維持するために、期限の再延長を容認する姿勢を示しており、台湾関係者が重大な懸念をもって、その成り行きを注視している。

 そうした中での台湾総統と特使としての陳・前副総統のヨハネ・パウロ1世の列福式への出席。短時間ながらも会見に応じたのは、バチカンの”バランス外交”の表れと見ることもできる。なお、バチカン広報は、このことについて、公表していない。

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2022年9月7日