・「中国・新疆で深刻な人権侵害」国連人権高等弁務官事務所が報告書発表

親族が拘束され抗議する新疆ウイグル自治区出身の人々=2021年3月9日、カザフスタン・アルマトイの中国領事館外/Abduaziz Madyarov/AFP/Getty Images

親族が拘束され抗議する新疆ウイグル自治区出身の人々=2021年3月9日、カザフスタン・アルマトイの中国領事館外/Abduaziz Madyarov/AFP/Getty Images

(2022.9.1 カトリック・あい)

 世界の主要報道機関が8月31日報じたところによると、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は同日、中国の新疆ウイグル自治区で「深刻な人権侵害が行われてきた」と指摘する報告書を公表した。

 報告書では、中国政府が国内のイスラム過激派によるテロをウイグル族などのイスラム教徒と関連づけて行った”対テロ対策”によって、「広範囲にわたり(ウイグル族などの)人権が不当に制限されてきた」と指摘。

 多くの少数民族が組織的に収容された「職業技能教育訓練センター」について、収容者の扱いに懸念を示したうえで、拷問や虐待などの欧米などの人権団体が指摘してきた疑惑に対し、強制的な医療行為や収容の悪条件を含め、拷問や虐待のパターンに関する主張は信頼できる。性的及び性差に基づく暴力の個別事案の主張も同様だ」と明言した。

 そして、ウイグル族などのイスラム教徒に対する中国政府の対応は、「恣意的で差別的な拘束は、基本的権利の制限やはく奪に該当する」との判断を示し、「『人道に対する罪』にあたる可能性がある」とした。

 そのうえで、中国政府に対し「国際人権法に準拠する形で法律の運用や政策の実施を行う」ことを求め、この報告書が指摘する人権侵害についての調査を促すとともに、「恣意的に拘束された人々の解放や、差別的な政策の撤廃」も要求した。

 報告書について、中国の駐ジュネーブ国連機関代表団は「偽の情報とうそ」に基づいたもので、「我が国の法律と政策を曲解し、我が国を理不尽に中傷し、内政に干渉するものだ」とする声明を出した。また、英語で書かれた120ページ余りの独自の報告書を発表し、新疆ウイグル自治区の中国政府の政策の正当性を主張している。

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2022年9月1日