・「中国での取材・報道活動は”憂慮される方向”に」ー在中国・外国人記者クラブが報道の自由・年次報告

(2022.1.31 カトリック・あい)

 在中国・外国人記者クラブ(FCCC)が1月31日、中国のおける報道の自由に関する年次報告2021年版「Locked Kicked down or out covering China」を発表した。それによると、中国では報道の自由を妨げるさまざまな措置が取られており、外国人記者は「前例のない障害」に直面しているとし、当局から法的措置をほのめかされ、インターネット上では脅迫の標的にされ、国外追放で人員不足に追い込まれる例も出ている、としている。

 年次報告は、「中国当局が、外国人記者を相手取って訴訟を起こすことを『奨励している』ようだ」とし、相手の同意のもとに取材したあと、かなりの時間がたってから、相手に訴えられるケースもある、と指摘。さらに「国家を後ろ盾にした報道機関への攻撃、特にオンライン上での書き込みによる嫌がらせ」によって取材・報道活動に支障が出ているだけでなく、外国メディアを敵視する人々の感情をあおる形になっており、「中国における取材活動が困難を極めている」と訴えた。

 また、年次報告には、外国人記者たちの”勇気”ある発言も載せており、ある日本の中国駐在記者は、中国公安の記者に対する妨害行為は従来よりも、徹底かつ広範になされるようになってきており、宗教や少数民族など”微妙なテーマ”を取材しようとする時に、特にそれが顕著になってきている、と述べている。

 英有力誌Economist北京支局のDavid Rennie支局長も、中国での報道を巡るリスクが「水面下で変わりつつある。報道する内容次第で、法的制裁や民事訴訟の対象になる、国家安全保障上の捜査対象になる可能性もある、と報道機関は警告を受けている」と語り、記者の”ブラックリスト”が作られ、報道記者証やビザの発給制限などこれまでの報道統制のやり方が「憂慮すべき方向」に変わってきていることに強い懸念を示している。

(年次報告の全文はhttps://fccchina.org/wp-content/uploads/2022/01/2021-FCCC-final.pdf?x39796)

 

 

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2022年2月1日