・教皇、金融監督機関の抜本強化を承認ーバチカン改革の一環

St. Peter's Basilica and Square.St. Peter’s Basilica and Square. 

(2020.12.5 Vatican News)

 教皇フランシスコは5日、バチカンの金融情報局(FIA)に関する新しい法令を承認し、同日付けでその名称を「監督・金融情報局(ASIF)」に改め、財政金融に対する監督指導体制を強化するとともに、教皇文書の形で告知、徹底を図った。

 教皇は、現在、バチカンの公正で透明、効率的な運営を図るための抜本改革を進めているが、今回の決定は、その柱の一つである財政金融分野での透明性の向上、統制強化が狙い。

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 *日本の教会では、司教協議会の会長を務める高見大司教が教区長を務める長崎教区で、不明朗な資金運用で2億円余という、教区の財政規模からみて巨額の損失を出しているにもかかわらず、責任者は「辞任は責任をとることにならない」と一部の政治家や企業経営者が辞任を拒む際に使う台詞を発し、抜本的な再発防止策や、刑事告訴などを含む損失回復措置についても検討が長引き、はっきりしないままだ。教皇の思い切った措置を見習うべきではなかろうか。(「カトリック・あい」)

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 ASIFの局長となるカルメロ・バルバガッロ氏は、今回の改変について「名称変更は、実際の業務内容の強化に合わせたもの。単なる名称の変更ではない」と強調。

 ASIFは、バチカン内部で行われてきた不明朗な資金の”洗浄”や、先に更迭されたベッチウ前列聖省長官が絡む資金運用疑惑など問題が絶えない中で、これまでのFIAが担当していた単なる情報収集・管理だけでなく、バチカン銀行( IOR=Institute for Works of Religion)を含む金融関係機関に対する監督権限を持つことになった。

 バチカンの報道局によると、今回の主要な変更には、首脳陣の監督に関する権限強化と責任の明確化、規制と法務に関わる新部門の設置がある。バルバガッロ局長は「金融監督機関の国際基準に沿った形で、規制・監督を含むすべての法的問題処理のための部門も新設し、規則を策定する部署と実施する部署を分離した」と説明、新機関の活動は「監督」「規制・法務」「財政・金融情報」の3部門となる。

 また、幹部や職員の採用に当たって、バチカンの他の部署と同様に、特別な利害関係や”縁故”採用など不祥事を生む原因を排除するため、独立した評価機関であるCIVAを通すことを明確にした。バルバガッロ局長は「職員などの新規採用に当たって、幅広い選択と厳格なチェックを確実にし、恣意的な選択のリスクを回避するのが、狙い。重要な特権の行使における独立性を担保するものだ」と説明している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2020年12月6日