・教皇、朗読奉仕者と祭壇奉仕者に女性を正式に認める自発教令発出

バチカン・聖ペトロ大聖堂での教皇ミサで 2020年11月22日バチカン・聖ペトロ大聖堂での教皇ミサで 2020年11月22日  (ANSA)

 教皇フランシスコは11日、自発教令の形をとった使徒的書簡「スピリトゥス・ドミニ」を発出、教会の朗読奉仕者と祭壇奉仕者に、男性だけでなく女性も正式に選任できるよう、教会法を改定した。

 自発教令による教会法改定の具体的内容は、203条1項にある「Lay men(男性の一般信徒)」という表記を「Lay persons(一般信徒)」に改め、「司教協議会の規定によって定める年齢と資格要件を満たす一般信徒は典礼の儀式を通して安定的に朗読と祭壇奉仕をすることが認められる」(公式英文より、「カトリック・あい」仮訳)となる。

 現在、カトリック教会では、男性だけでなく女性の信徒も、みことばと祭壇への奉仕を行うことは、各国の司教協議会が認めれば可能で、世界中に定着している。だが、女性による奉仕は、あくまで「臨時の委託」であり、正式な儀式をもって朗読奉仕者ならび祭壇奉仕者に「選任」されるのは男性に限られていた。これは、かつて、司祭に叙階されるための準備の過程に、こうした奉仕を担当する副助祭などの”下級位階”が存在していたためだ。

 これに対して、パウロ6世は1972年、これらの下級位階を廃止し、聖職位階としての性質を持たない朗読奉仕職と祭壇奉仕職を制定、一般信徒が参加する道を開いた。そして、助祭、司祭を目指す者にこの奉仕職を積極的に果たすよう求めるとともに、一般の信徒にも奉仕を「委託」できるようにしたが、正式に「選任」される奉仕者は、男性に限られていた。今回の自発教令による教会法改定で、典礼奉仕における”男女平等”が実現することになる。

 教皇は、今回の教会法改定の主旨について、自発教令に添付したルイス・ラダリア教理省長官あての書簡で、「第二バチカン公会議によって示された典礼刷新の主旨により、教会において洗礼を受けた全ての人の共同責任と、一般信徒の特定の使命を改めて認識することの必要性が、今日、かつてなく高まっています」とされ、「教会全体で、さまざまな状況において、男性と女性のために典礼奉仕の場が与えられ、促進されることが急務です… 典礼奉仕のあり方、そして何よりも、洗礼の尊厳の認識を高めることで、私たちが強固なものにせねばならないのが、男性と女性によって作られたカトリック教会なのです」と説明されている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年1月12日