・「目標に到達できないのは、共通のビジョンが 欠けているため」-創設60年のキリスト教一致推進評議会・議長語る

 

教皇フランシスコとキリスト教一致推進評議会議長クルト・コッホ枢機卿教皇フランシスコとキリスト教一致推進評議会議長クルト・コッホ枢機卿  (Vatican Media)

 教皇庁キリスト教一致推進評議会が5日、その誕生から60年を迎えた。

 議長のクルト・コッホ枢機卿がバチカン・ニュースのインタビューに答え、聖ヨハネ二十三世からはじまったエキュメニズムの60年の歩みを、「多くの前向きな成果をもたらすことを可能にした豊かで発展に富んだもの」と振り返った。

 その一方で、枢機卿は「エキュメニカル運動の真の目標である、教会の一致にはまだ到達していない」とし、「今日、私たちが受けている最大の挑戦は、まさにエキュメニズムの目標をめぐる『堅固で現実的な合意』の欠如からきています」と指摘。

 「一致の必要性に合意しても、それがどのような形であるべきかについては合意がありません。教会の一致には共通のビジョンが不可欠なのです」と強調した。

 また、「エキュメニズムの歩みは『賜物の交換』といわれるが、この60年間の取り組みでカトリック教会はどのような賜物を得たでしょうか」との質問に対して、枢機卿は「カトリック教会は、宗教改革後に生まれた教会から、特に教会生活・典礼・神学思想における御言葉の中心性を学びました。また、正教会からは、教皇フランシスコも述べておられるように、教会生活におけるシノドス性、司教たちの団体性について学ぶことができます」と話した。

 さらに、教会の一致を目指すエキュメニズムの取り組みの柱として、枢機卿は「愛(カリタス)の対話」「真理の対話」そして、「『すべての人を一つにしてください』というイエスの祭司的祈りを受け、すべての信者が深く一致すること」の三つを挙げた。

 枢機卿は、第二バチカン公会議後、歴代の教皇がエキュメニズムに心を開き、それぞれの教皇が、その取り組みに大きな継続性と言動一致を示してきたことを思い起し、自身が議長を務めてきたこの10年の間、繰り返し体験したことは、「エキュメニカルな仕事において、与えるものより、得るものの方が多いということ、そして、エキュメニズムの唯一の長は聖霊であり、私たちは聖霊の道具にすぎない、ということです」と述べた。

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 キリスト教一致推進評議会の前身となった「キリスト教一致推進事務局」は、1960年6月5日、当時の教皇、聖ヨハネ二十三世によって創立され、1988年、聖ヨハネ・パウロ二世によって、キリスト教一致推進評議会となった。

(編集「カトリック・あい」)

 

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2020年6月7日