・24日は環境回勅「ラウダート・シ」5周年-「創造の福音」が回勅の意味を解く鍵

A swan with cygnets on the River Ill in StrasbourgA swan with cygnets on the River Ill in Strasbourg  (AFP or licensors)

 教皇フランシスコの環境回勅「ラウダート・シ」発出5周年を前にした22日、 Global Catholic Climate Movement主催のウエブ・セミナーが開かれた。

 セミナーで講演したバチカン人間開発省のタークソン長官(枢機卿)は、同回勅の第二章「創造の福音」を取り上げ、回勅の副題「On Care for Our Common Home(日本語公式訳:共に暮らす家を大切に)」がどのようにして付けられ、創造への配慮がどのようにして創造者である神への信仰と繋がっているのか、について語った。そして、アッシジの聖フランシスコの視点から、私たちがすべての創造された物を共有する兄弟としての関係について言及した。

 *創造の福音

 回勅第二章について、枢機卿は教皇フランシスコによる「創造の福音」の説明の重要性を指摘。「”福音(キリストとその使徒たちが説いた教え)”の目的は、神の力強い業を宣言することです。それが救済そのものであろうと、人の幸福であろうと、神の業について語る時はいつでも、それは常に”良い知らせ”、福音なのです」と述べた。

*エコロジーへのキリスト教徒の対応は

 また枢機卿は「教皇は、福音の観点から創造に言及される際、人類を益する神の偉大な行為を、創造において認めるように、私たちに勧めておられます」とし、それは「回勅全体を読む上での鍵となる、なぜなら、それがキリスト教徒にとっての、地球の環境とそれを大切にすることの重要性の基礎となるからです… それは創造を『人ではなく、すべてを創造される神ご自身の計画に基づく設計図と目的』を持った神の業と考えるように私たちに勧めます」と語った。

 さらに、「キリスト教徒に求められているのは、創造されたすべてのものの中に神の計画を追求すること。創世記は『神が、私たちの家となるように創造を計画された』と語っており、そのことから、回勅の副題が『On Care for Our Common Home』となったのです」と説明した。

*神を讃え祈ることが、”共通の家”を大切にすることに繋がる

 「創造物である”共通の家”を私たちが大切にすることは、祈りと直接に繋がっています」とする枢機卿は、「キリスト教徒はすべての創造物を神の業と見るように勧められています。そして、創造物が神の目的にどのようにしたら合うのか、私たちはどのように神を祈り讃えればいいのか、それが次の課題となります」と述べ、「神が誰なのかを認識し、神を讃え祈ることに全身全霊を傾けること」が、その課題を解く助けとなる、と強調した。

 そして枢機卿は、創世記を取り上げ、「ここで、神が創造された”園”で、人に託された役割が語られています… ヘブライ語の”園”には”奉仕”の意味があり、人が神を崇拝して行う”奉仕”の意味でも使われます。ですから、神が創造の過程で造られたすべてのものについての、人の働きもまた、神を崇拝し、神に仕える方法も表している、したがって、すべての人間の活動は最終的に『神を崇拝する感覚』を持つべきものなのです」としたうえで、「仮に私たちの活動、あるいはこの地球の利用が、神を崇拝し、神の栄光を讃えることに繋がらないなら、私たちは、深刻な問題に直面することになります」と指摘した。

*地球は、現在と未来のすべての人のもの

 「創造が神の業である」ということから私たちが導き出せる第3のポイントは、「創造されたものを”好き勝手”に搾取することは、いかなる人間にも認められないこと」とした枢機卿は、「このことは、”場”の観点からも、”時”の観点からも、言えることです。私たちは、未来の人々が必要とすることも考慮に入れて、現在必要とすることを、大切にせねばなりません。これは”世代間連帯”と呼ばれています」と講演を締めくくった。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2020年5月23日