・教皇が北米で教区再編統合加速、米国のアンカレッジ、ジュノー両教区の統合決める

Roman Catholic Diocese of Juneau.svgRoman Catholic Archdiocese of Anchorage.svg

  教皇フランシスコは19日、米国のアンカレッジ大司教区とジュノー司教区を統合し、アンカレッジ・ジュノー大司教区とすることを決定。新大司教区の初代教区長・大司教に、ジュノー教区長でアンカレッジ大司教区管理者のアンドリュー・ベリサリオ司教を任命した。

 アンカレッジ・ジュノー大司教区はアラスカ州南部を管轄し、小教区は32、信徒数はこの地域の総人口の約1割、約5万5000人だ。

 ベリサリオ新台司教は1956年、米ロサンゼルス生まれ。ヴィンセンシオ宣教会に入り、1984年に司祭叙階。アラスカの International Missionsの会長などを経て、2017年に教皇フランシスコからジュノー教区長に任命され、同年に司教、さらに昨年6月に、アンカレッジ大司教区協会管理者に併任されていた。

(解説)

 教皇フランシスコは、2018年5月にイタリア司教協議会の定例総会に出席された際、現在の世界の教会が対処すべき課題として、「召命の危機」への対処、「福音的な清貧」の実践とともに、「教区の再編成」を挙げられ、教区の再編成について具体的に「司牧の要請と教区の機能向上に対応するために、人口や司祭数、施設の分布、運営の効率などを考慮した上で、「教区の合併など、管轄地区の再編成の可能性を探る」ように促されていた。

 その7か月後の同年12月、教皇はその言葉を実践する形で、カナダのオンタリオ州のハースト、ムーソネーの二つの教区を統合し、オタワ教会管区のもとに置く決定をされ、さらに今月6日、オタワ首都大司教区とアレクサンドリア・コーンウオール司教区の統合を決めていた。そして、今回の米国アラスカ州での教区統合は、特に西側先進国に顕著な司祭不足や信徒数の低迷に対処し、再活性化の契機とする対策の一環として、教区の統合再編に取り組もうとする教皇の決意の表われと見ることもできる。

 日本の教会は、明治時代以来の社会の大きな変化、人口動態の激変などにもかかわらず、信徒数に比べて過剰ともいえる、ほとんどが明治時代に作られた16もの教区をもち続けている。司祭が質量ともに不足する中で、空席となった教区長・司教の補充もなかなか進まない。日本の教会、司教団は、教皇のこうした動きを他人事にとせず、真摯に受け止め、具体的な対応を真剣に考えるべきだろう。

(「カトリック・あい」南條俊二)

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2020年5月20日