・機上会見に英国国教会、スコットランド国教会の代表も参加

(2023.2.6 バチカン放送)

 5日、南スーダンの首都ジュバからローマに向かう特別機の機内で、教皇フランシスコが随行記者団と会見され、教皇と南スーダンへの「平和のエキュメニカル巡礼」を共にした英国国教会のウェルビー・カンタベリー大主教と、スコットランド国教会の総会議長イグリーンシェルズ牧師も参加。それぞれが記者の問いに対しコメントした。

 会見の初めに、教皇は今回の訪問が「エキュメニカルな旅」であったことを強調。それゆえ、この会見にウェルビー大主教とグリーンシェルズ牧師が同席することを望んだ、と話した。そして、特にカンタベリー大主教の長年にわたる南スーダンの和解のための取り組みに言及した。

 ウェルビー大主教は、南スーダンの平和をめぐる、これまでの自身の取り組みを説明。2014年に夫妻で南スーダンを訪問した際、紛争地帯のボルに赴いたが、そこには当時5千人もの埋葬されていない遺体があり、カテドラルのすべての司祭も殺害されていた。この非常に恐ろしい事態を目にしたことが、南スーダンの人々を支えるために何ができるかという深い召命を得るきっかけとなったと語った。その後、現地での対話や、教皇の協力を得て、2019年バチカンで行われた同国のリーダーたちの黙想会を実現した、その経緯を振り返った。

 一方、グリーンシェルズ牧師は、南スーダン訪問は、自身にとって初めてであったが、南スーダンに行った前任者は、その非常にデリケートな状況に接していた、と語った。

 ウェルビー大主教は、コンゴ民主共和国では、企業による無責任な鉱石の採掘や、子どもの兵士としての利用、誘拐や、女性への暴力などによって、豊かであるはずの国が搾取されている、と述べた。アフリカにおいてコンゴ民主共和国は世界に供給できるほどの資源を持っているが、世界がエコロジー的な変革を行い、地球を気候変動から救いたいのならば、手を血で染めることなく、自分たちの繁栄よりも、コンゴ民主共和国の平和を追求すべき、と語った。

 グリーンシェルズ牧師は、自身の経験から、開発途上国における発展の道は、女性の権利、特に若い女性の権利を尊重することにあると思う、と意見した。また、識字率の低さも問題の一つであり、人々は自分自身や、自分の置かれた状況を理解し、より良い情報を得た上での選択をすることができない、と話した。また、対話の重要性の一例として、スコットランドにおける、スコットランド国教会とカトリック教会の和解プロセスのケースを挙げた。

 ウェルビー大主教は、教会がもたらすものは、収賄などに影響されないネットワークを提供し、支援物資が届くように助けることだけではない、対立者同士を分け隔てているものを超えられるように助けること、と話した。心を変えるということ、これが今回の訪問の重要な点だった、と大主教は強調。たとえば南スーダンでヌエル族とディンカ族は常に対立していたが、変化を与えたのは政府ではなく、人々がキリストにおける信仰を受け取った時、人々は別の生き方ができるようになった、と語った。同大主教は、この南スーダン訪問後、多くの活動が生まれるだけでなく、神の霊が新たな和解の精神と癒しを人々にもたらすだろう、と話した。

(編集「カトリック・あい」)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年2月7日