・国際カリタス総会で新総裁に菊地大司教を選出、日本人初

Archbishop Tarcisio Isao Kikuchi, new president of Caritas InternationalisArchbishop Tarcisio Isao Kikuchi, new president of Caritas Internationalis 

(2023.5.13  Vatican News   Devin Watkins)

 カトリックの国際慈善・援助組織、国際カリタスは開催中の第22回総会で13日、総裁選挙を行い、5人の候補者の中から第13代会長に菊地功・東京大司教を選出した。総裁に日本人司祭が就任するのは初めて。カトリックの救済、開発、社会福祉団体である世界の162団体で構成する連合の総裁を4年間務めることになる。

 菊地新総裁は、選出後の総会でのあいさつで、「カリタスは、最前線に立って貧しい人々や弱い立場にある人々を受け入れ、共に歩み、奉仕し、守る必要があります。この使命は支持され、連盟会員のあらゆる注目を集めなければなりません」と強調。

 「私は事務総長とともに、教会のこの重要な使命を果たすために組織全体を率いていきたい。皆さん、共に歩みましょう」と参加者全員に呼びかけた。

 菊地新総裁は、 1995 年にコンゴ民主共和国 (当時はザイールとして知られていた) ブカブの難民キャンプでボランティアとして活動を始めて以来、さまざまな役職や肩書きでカリタス連盟に協力してきた。1999 年から 2004 年までカリタス・ ジャパンの事務局長、2007 年から 2022 年までカリタス・ ジャパンの代表を務め、さらに2011 年から 2019 年までカリタス・アジア会長、1999 年から 2004 年まで国際カリタスの実行委員、 2011 年から 2019 年までは代表評議会のメンバーを務めている。

 (翻訳・編集「カトリック・あい」)

【解説】

 国際カリタスは、世界162の地域カリタスの連合体であり、その頂点に立つ組織。だが、近年、外部には具体的詳細が明かされていないものの、指導部の内部管理体制などに深刻な問題が起き、活動に大きな支障が出ているとされ、事態を重く見た教皇フランシスコが昨年11月、総裁のアントニオ・タグレ枢機卿(バチカン福音宣教省初期宣教部門担当)以下、指導部全員を解任、暫定管理者のもとでの抜本的な体制立て直しを求めるという、極めて異例の措置を取られた。

 16日まで開かれる今回の総会は、体制の抜本見直しの具体的な検討とともに新指導部を選任するのが狙い。その実質的な総指揮を委ねられた菊地新総裁の責任は極めて重い。菊地大司教は、日本最大の信徒を擁する東京教区長、日本カトリック司教協議会会長、アジア司教協議会連盟(FABC)事務局長も務めており、今回さらに国際カリタス総裁に就くことになったが、そうした重責にもかかわらず、2017年11月に東京大司教に就任して以来、5年半を経過した今も、教皇フランシスコから補佐司教を任命さないままの状態が続いている。

 教皇は11日に総会出席者と会見された際、聖パウロがコリントの信徒への手紙を引用(1・12章31節)して「愛に基づく活動の大切さ」を説かれ、「国際カリタスは、普遍の教会と世界の地方教会を結び、愛徳の実践における神の民の努力を支えながら、教会の交わりの表現となることを意図したもの。国際カリタスの課題は、善き業によって福音を告げながら、普遍の教会の活動に協力すること。それは宣教的回心の道のりにおいて、絶えず自らを捉え続けることでもあります… 一致を大切にしながら、多様性を豊かさとして生きるように」と励まされた。

 国際カリタスの抜本的テコ入れを委ねる以上、司教の任命権を持つ教皇、バチカンは早急に、補佐司教任命を含めた、重責に見合う支援を、言葉だけでなく、行動で示す必要がある。

(「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2023年5月14日