【解説】菊地大司教に任された国際カリタスの立て直し-”言葉”だけでないバチカンの支援が必要

 国際カリタスは、世界162の地域カリタスの連合体であり、その頂点に立つ組織。だが、近年、外部には具体的詳細が明かされていないものの、指導部の内部管理体制などに深刻な問題が起き、活動に大きな支障が出ているとされ、事態を重く見た教皇フランシスコが昨年11月、総裁のアントニオ・タグレ枢機卿(バチカン福音宣教省初期宣教部門担当)以下、指導部全員を解任、暫定管理者のもとでの抜本的な体制立て直しを求めるという、極めて異例の措置を取られた。

 16日まで開かれる今回の総会は、体制の抜本見直しの具体的な検討とともに新指導部を選任するのが狙い。その実質的な総指揮を委ねられた菊地新総裁の責任は極めて重い。菊地大司教は、日本最大の信徒を擁する東京教区長、日本カトリック司教協議会会長、アジア司教協議会連盟(FABC)事務局長も務めており、今回さらに国際カリタス総裁に就くことになったが、そうした重責にもかかわらず、2017年11月に東京大司教に就任して以来、5年半を経過した今も、教皇フランシスコから補佐司教を任命されないままの状態が続いている。

 教皇は11日に総会出席者と会見された際、聖パウロがコリントの信徒への手紙を引用(1・12章31節)して「愛に基づく活動の大切さ」を説かれ、「国際カリタスは、普遍の教会と世界の地方教会を結び、愛徳の実践における神の民の努力を支えながら、教会の交わりの表現となることを意図したもの。国際カリタスの課題は、善き業によって福音を告げながら、普遍の教会の活動に協力すること。それは宣教的回心の道のりにおいて、絶えず自らを捉え続けることでもあります… 一致を大切にしながら、多様性を豊かさとして生きるように」と励まされた。

 国際カリタスの抜本的テコ入れを委ねる以上、司教の任命権を持つ教皇、バチカンは早急に、補佐司教任命を含めた、重責に見合う支援を、言葉だけでなく、行動で示す必要がある。

(「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年5月14日