・教皇、ゼレンスキー大統領と個人的会談、オリーブの枝の彫像贈る

 (2023.5.13 Vatican News Linda Bordoni)Pope Francis and President Zelensky

    教皇フランシスコは13日夕(日本時間同日深夜)、ローマを”電撃訪問”したウクライナのゼレンスキー大統領とバチカン宮殿で個人的に会談された。

 会談は、バチカン国務省のポーランド人司祭の通訳を介して、今も続くロシアの軍事侵攻がウクライナにもたらしている人道的、政治的状況を中心に約40分にわたって行われ、バチカンを含め国際社会がウクライナの国民に人道援助を提供し続ける要請に応え続けることを確認。その中で教皇は特に、最も弱い立場にある罪のない被災者たちに対する「人道的行為」が求められていることを強調された。

 会談では、大統領から教皇に、会見に応じてくれたことへの感謝の言葉があり、教皇は、平和を求める訴えを続け、主への嘆願の祈りをされている大統領のために、絶えず祈りを捧げることを約束された。

 また、教皇は大統領に、平和の象徴であるオリーブの枝の彫像と、教皇がアル・アザールのグランド・イマームと共同執筆した「世界平和と共生のための人類友愛に関する2019年の文書」などを贈呈。大統領からは、防弾板から作られた美術品と殺害される子どもたちを描いた「喪失」と題された絵画が贈られた。

 バチカンの報道局が発表した声明によると、ゼレンスキー大統領は教皇との会談後、バチカン国務省のリチャード・ギャラガー外務局長と会談し、「現在のウクライナ戦争とそれに関連する緊急の懸念、特に人道的な問題、そして平和を達成するための継続的な努力の必要性が焦点」となり、また、「ウクライナ国内のカトリック教会の活動に関する多くの二国間問題」についても意見を交換した。

 ゼレンスキー大統領は、13日の朝、ローマを訪れ、マッタレッラ大統領、メローニ首相と会談の後、午後にバチカンを訪問し、教皇、外務局長と会談した。大統領は、ロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まる直前の2020年2月8日にローマを訪れ、バチカンで教皇と会見しており、今回の会談は2度目。さらに、教皇は、軍事侵攻が始まった直後の2月26日、さらに同年3月、8月に大統領と電話で会談し、ロシアの理不尽な攻撃に苦しめられる大統領とウクライナの人々に深い同情を示され、和平実現への努力を表明されている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年5月14日