◎教皇連続講話「聖ヨセフについて」②「現代社会にとっての人間関係の模範」

Pope Francis at the General AudiencePope Francis at the General Audience  (Vatican Media)

   教皇フランシスコは24日の水曜恒例の一般謁見で、「聖ヨセフについて」をテーマにした連続講話をお続けになった。

 教皇は、救いの歴史における彼の役割を念頭に置きながら、講話を続けられ、「聖ヨセフは、社会の片隅に置かれた人々さえも、神の救いの計画で特別な役割を果たしていることを示しています」と語られた。

 ルカとマタイの両福音書に描かれた聖ヨセフに注目された教皇は、この2人の福音書記者がイエスの系図(ルカ福音書3章28‐38節、マタイ福音書1章1‐16節)を伝え、アブラハム(マタイ福音書)、アダム(ルカ福音書)のいずれかで始まり、ヨセフとイエスで最高潮に達している、と指摘された。

 そのうえで教皇は、「ルカとマタイのいずれもが、ヨセフを、イエスの”生物学的な父親”ではなく、”完全にイエスの父”である、と語っています」とされ、「ヨセフを通して、イエスは、神と人との間の契約と救いの歴史を成就させるのです」と強調された。

*キリストのしもべ

 さらに、教皇は、マタイの福音書は、ヨセフが神の救いの計画の中心点を表していることを示している、とされ、「ヨセフは、”主人公”となることを決して求めず、あくまで”仲介者”の役を果たしています」と述べられた。

 そして、「見過ごされたり、隠されたりする聖ヨセフの中に、仲介者であり、困難な時の案内人を、皆が見出すのです。彼は、無視されたり、”二列目”に置かれたりする人たちの全てが、救いの歴史で比類なき代理人を持っていることを、思い起こさせます… 世界は、このような男女を必要としているのです」と説かれた。

 

*イエスとマリアの守護者

 次にルカの福音書に目を向けられた教皇は、この福音書では、ヨセフは、「イエスとマリアの守護者」として描かれている、と指摘され、「ヨセフのこの役割は歴史を経て広がり、『教会の守護者』ともなりましたーこれは、カインが兄を殺した後に神に投げかけた「私は私の兄の番人ですか」という問いに対する神の答えです」と説明。

 そして、「ヨセフは彼の人生をもって、私たちが『私たちの兄弟姉妹の守護者、近くにいる人々、人生の様々な状況を通して主が私たちに託された人々の後見人』だと感じるようにいつも呼ばれていることを求めているように、見えます」と語られた。

*苦しむ人の守護の聖人

 また教皇は、「聖ヨセフは、現代の移ろいやすい社会に、人間関係のあり方の模範を示しています」とされ、「二つの福音書のイエスの系図の説明は、私たちに『私たちの人生は、私たちに先行し、そして私たちと共にある絆によって成り立っている』と言うことを、思い起こさせます。神の御子、イエスは、そのような絆によってこの世に来ることを選ばれたのです」と語られた。

 そして、さらに、「イエスのこの思いは、自分の人生で意味のある人間関係を見つけたいと苦闘するすべての人ー孤独を感じ、前に進む力を失っている人ーに向けられています」と付け加えられた。

 

*苦しい時の支え

 講話の最後に教皇は、孤独に苦しむすべての人を助けるための、次のような祈りを捧げられ、「彼らは聖ヨセフの中に、味方、友、そして支え人を見出すことができます」とされた。

聖ヨセフ、

 マリア、イエスとの絆を守られた方、私たちの人生で人間関係を大切にするのを助けてください。

 誰もが、見捨てられた、という思いを経験しないようにーそれは孤独から来ています。

 私たち一人一人が、私たち自身の歴史と、先人たちと、和解しますように、そして神のご意思が進まれた道を誤ったことさえも、悪が最後に勝つことがなかったことを、認めますように、

 ひどく苦しんでいる人たちに、あなた自身が友であることを見せてください、あなたがマリアとイエスを困難な時に支えたように、私たちの旅も、支えてください。 アーメン

Saint Joseph,
you who guarded the bond with Mary and Jesus,
help us to care for the relationships in our lives.
May no one experience the sense of abandonment
that comes from loneliness.
Let each of us be reconciled with our own history,
with those who have gone before,
and recognise even in the mistakes made
a way through which Providence has made its way,
and evil did not have the last word.
Show yourself to be a friend to those who struggle the most,
and as you supported Mary and Jesus in difficult times,
support us too on our journey. Amen.

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年11月24日