(2021.10.19 VATICAN NEWS)
性的虐待の被害者は、手紙を通して神学生たちにに話しかける。手紙の中で彼女は、教会全体の未来への希望とともに、過去に経験した痛みを共有する…。教皇庁の未成年者保護委員会が、聖職者の性的虐待の被害者が神学生たちにあてて書いた手紙を、ウェブサイトで公開した。
*「教会が改心を求められる今、勇気ある証言」と枢機卿
同委員会のショーン・オマリー委員長(枢機卿)は公開に先立つ説明で、「多くの神の子たちに対する性的虐待の醜聞と傷に直面する教会が司牧的回心を求められている今、教皇は、虐待被害者による、すべての聖職者に対する勇気ある証言をお受けになりました」と述べた。
そして、「実名の公表を控えた被害者から提供されたこの証言を共有することで、教皇は、すべての被害者の声に進んで耳を傾け、すべての聖職者に、傷つきやすいすべての人のための神の真の奉仕への道を示すことを望んでおられます」と語っている。
*「司祭たちが怖い、彼らに近づかれるのが怖い」
聖職者から性的虐待を受けた被害者の手紙は、「同じような被害を受けて苦しんでいるすべての人に代わって、この手紙を書くことを決めました」と前置きして、「自分はここにいます。なぜなら、教会は私の母であり、教会が私を傷つけた時、教会も、けがを負っているからです」と述べ、「子供の時にこの偽善的な行為を経験した人は、成人した後の人生から、それを消すことは決してできないでしょう。一時は、それを忘れ、赦し、充実した人生を送ろうとするかもしれませんが、受けた傷は彼らの心にとどまり、消えることはありません」と訴えた。
さらに、手紙の筆者は「性的虐待を受けた結果起こされた、心的外傷後ストレス障害、うつ病、不安神経症など、今も日々も続いている精神的な苦しみとの戦い」について説明した後、「私は司祭たちが怖い、彼らに近づかれるのが怖いのです」とも訴えた。
*「教会の傷がさらに深くならないように」「よい聖職者になって」
そして、「傷や傷跡でいっぱいの教会を守って欲しい。教会の傷がさらに深くなり、新しい傷を負うのを放置しないでください」と求めた。
また、神学生たちは「神に仕えるために、そして神を通して人々に仕えるために、神によって召された若くて強い人」であることを強調し、「カーペットの下にあるものを一掃しないでください。(注:ごみを)一掃して隠すとき、私たち自身が(注:性的虐待の加害者の)協力者になってしまう。真実を生きたいのなら、目を閉じることはできません!」と強調。「どうか、よい聖職者になってください」と強く願っている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)