(2020.6.26 Vatican News)
全米カトリック司教協議会(USCCB)の青少年保護局が26日、「子供と若者の保護のための憲章の実施に関する調査結果と勧告」と題する2019版の聖職者による青少年性的虐待と教会の対応に関する年次報告書を発表した。
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(「カトリック・あい」注:聖職者による性的虐待の被害訴えが少なく、教会へのダメージがあまり見られないためなのか、”風土”の違いなのか、中途半端な”アンケートまとめ”など、誠意に欠ける不十分な対応を続けている日本の司教団に、この報告書に目を通し、真剣に対応しようとする姿勢を是非とも見習ってほしい。)
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報告書によると、2018年7月1日から2019年6月30日まで一年間で、4220人の成人から4434件の聖職者による性的虐待被害の申し立てがあった。USSBの声明によると、この数字は前年同期よりも大幅な増加となっているが、その原因の一つは「裁判、被害補償プログラム、破産手続きの進行中に、新たな被害の申し立てがあったため」と説明している。
また報告書では、現在も未成年である被害者からも37件の訴えがあり、そのうち調査中が12件、被害が確認されたものが8件、7件は未確認、6件は証明不能。他の3件は修道会に、1件は他教区に扱いが任された。
国内のカトリックの司教区と東方教会の司教管区は新たに虐待が明らかになった1138人の被害者とその家族に支援と心理的な治療を提供、まだ同様の措置を、この期間以前に被害を訴えた1851人の被害者とその家族には同様の措置を継続した、としている。
また、2019年に、聖職者、教会で働く職員、奉仕者に対して260万件を超える身辺調査を行う一方、260万人の成人と360万人の青少年に、虐待されたことを認識し、被害を訴え出るのに役立つ情報と意識のトレーニングプログラムを実施した。
全米司教協議会では、2002年に、聖職者による未成年者に対する性的虐待の訴えが多発したのを受けて「子供と若者の保護のための憲章(ダラス憲章)」を出しているが、報告書では、憲章に盛り込まれた各種の措置の司教区ごとの実施状況についても検証。
その結果、全米の64司教区と東方教会司教管区での実地検査と他の130司教区から出された報告をもとにした審査で、「一部に検証が定めた措置が守られていまい」とされた教区が三つーオークランド教区、東方教会の一つウクライナ教会のフィラデルフィア大司教区、同じくシロマ・ラバル教会の聖トーマス教区ー確認された。
また、東方教会の三つの司教管区は審査を拒否したが、それはシロマ・ランカリー教会の平和の聖マリア女王司教管区、カルデア教会の聖ディエゴの使徒聖ペテロ司教管区、シカゴ・ウクライナ教会の聖ニコラス司教管区だ。
以上の報告は、StoneBridge Business Partners法律事務所が実施した監査に基づくもので、ジョージタウン大学使徒職研究センターが実施した調査も含む。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)