聖地でのキリスト教会の活動を制限する動きにキリスト教各派が危機感(Tablet)

(2017.11.10 Tablet Ruth Gledhill)聖地エルサレムにおけるキリスト教の活動がイスラエル国会の新たな立法で大きく制約される危険が高まっているが、その危機訴えているギリシャ正教のテオフィロス・エルサレム総主教に対して、英国のカトリック高位聖職者たちが支持を表明した。

 支持を表明したのは、ウエストミンスター大司教のビンセント・ニコラス枢機卿とカンタベリー大司教のジャスティン・ウェルビー師。

 ニコラス枢機卿は10日のロンドンでの総主教たちとの会合の後で、「エルサレムにおけるキリスト教会の既存の立場は尊重されなければならない。エルサレムはキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の聖地であり、キリスト教徒は、その共同体社会で重要かつ不可欠な存在。聖地の各宗教の人々の橋渡しをする存在として、平和な暮らしを望むすべての人たちにとって欠かすことができない」と強調、現在のイスラエル議会における動きを批判した。

 ウェルビー大司教も「私も、キリスト教各派の指導者とともに、エルサレムにおけるキリスト教の立場を尊重し、それを弱めるような動きに反対する呼びかける加わる。聖地におけるキリスト教徒の存在をこれまで通り続けることは、極めて重要だ。エルサレムは、宗教を信じるすべての人が共に暮らし、反映する場所であり続けねばならない」と言明した。

 イスラエルの国会はクネセトと呼ばれ、一院制で定数は120議席。現在、そのうち40人の議員が今年7月、エルサレムの聖公会司教区を含むキリスト教会各派にこれまで認めてきた権限を制限する法案に署名し、クネセトに提案している。

 こうした動きに懸念を強めるエルサレムのキリスト教各派のリーダー格であるテオフィロス総主教は、先日、ローマで教皇フランシスコとも会見したが、教皇も総主教を支持、「聖地エルサレムにおけるキリスト教会の立場は守られ、維持されねばならず、すべての人が平和に暮らせる場所である必要がある。さもなければ、すべての人にとって嘆き苦しみの際限ない連鎖を招くことになる」と関係者に警告した。

 総主教はまた、「クネセトに提出されている法案は、過去2000年にわたって聖地におけるキリスト教徒の活動を支えてきた教会の自由と独立を著しく侵害する内容になっている。この法案が成立すれば、教会の既存の立場を侵し、国際的な様々な取り決めに違反することになる」と訴え、さらに、この機に乗じて、ユダヤ人過激派の入植者たちがキリスト教徒をエルサレムから追い出そう動いており、教会の資産をひそかに奪おうとしている、と糾弾している。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

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2017年11月13日