(2022.3.4 Vatican News Linda Bordoni)
ロシアのウクライナへの軍事侵略が始まって9日、ウクライナのジャーナリストが、その現状と、原子力発電所攻撃が壊滅的事態の可能性について、Vatican Newsに語った。
タチアナ・オガルコワ氏は、ウクライナ危機メディアセンターの国際部門で活動するジャーナリスト。首都キエフでのロシア軍の攻撃が始まった週に、安全を求めてウクライナ西部の故郷に子供と年配の両親を連れて戻っているが、海外にウクライナの危機的状況発信するため、ジャーナリストの仕事を休まず続けている。
*ロシア軍の”新戦術”、原発攻撃で、死の恐怖に
ロシアによる軍事侵略の9日目は、ロシア軍が南東部にある欧州最大級のザポリージャ原子力発電所を攻撃、大惨事に至りかねない事態を引き起こしたことについて、オガルコワ氏は、「ウクライナの人々に、さらなる死と破壊の恐怖をもたらしている」と語った。
また、ロシアの侵略軍は、ウクライナ兵の抵抗に遭い、2、3日で首都キエフを占領する目算が狂い、「新たな戦術に転じています。私たちが今、目にしているのは、民間人を狙っているということです。今日、ジトーミルの学校を爆撃しました。彼らが主張している『軍事施設』ではない。まったく普通の学校です」と説明。「彼らの目的は、国民の間にパニックと混乱を引き起こすことが目的。戦争というよりも『テロ活動』とされる行為です」と強く批判した。
Zaporizhzhia nuclear power plant after the shelling
*”核の悪夢”が現実とならぬよう、あらゆる支援を
ザポリージャ原子力発電所は現在、ロシア軍が占拠しているが、オガルコワ氏は「これは非常に、非常に危険です。原子炉が爆破されれば、原子力発電所爆発で欧州全域を大きな恐怖に巻き込んだチェルノブイリ事故よりもはるかに大きい、おそらくその6倍の規模の未曽有な惨事を引き起こす可能性があります」と、原発攻撃と占拠の危険を強調。「私たちに必要なのは、このような危機的事態を克服するために、世界の全ての人の協力をえることです。ウクライナの空域を、ロシアのミサイル、ロケット弾、攻撃機から守るために、出来る限りの支援を国際社会に求めたい」と述べた。
また、欧米諸国はロシアとの軍事力による直接対決を避け続けていることも理解できるが、ロシアの核にまで手を付けようとするやり方を事実上放置し続ければ、今回の原発攻撃で示されたように、「まず、彼らはウクライナを破壊するが、それだけではとどまりません。核の危険には国境がないのです。そうした事態は欧州の全ての人にとって悪夢。悪夢が現実ならないように、私たちは出来る限りのあらゆることをせねばならないのです」と訴えた。
*食料、医薬品、生活必需品が欠乏しつつある
オガルコバ氏によると、ウクライナ西部では、現時点では基本的な必需品がまだ足りているが、主要都市と南部地域、そしてロシア軍に囲まれたすべての場所で、食料、医薬品はもちろん、あらゆる生活必需品が不足しており、「危機的な状況になりつつあります。キエフでは、薬局に長蛇の列ができていて、何時間も待たないと、ちょっとした薬さえ手に入らない。急速に事態が悪化している」という。
*人々の心身の疲労は極限に
ロシア軍の無差別攻撃というこれまで予想したこともない事態に、人々は恐怖におびえ、心身ともに疲労を募らせている。「私たちの多くは、休息をとる暇もなく過ごし、心身ともに疲れ果てています。ロシア軍の地上部隊の攻撃をまだ受けていないウクライナ西部に避難した私たちでさえ、空襲警報のサイレンが頻繁に鳴り、静かに眠ることは不可能です」と語る。
*国を守るために多くの人が立ち上がっている
だが、そうした中で、多くの人々による広範な連帯がみられる、とも指摘する。「安全な国の内外に避難する人々を支援し、また、国を守るために、武器を持って立ち上がる人も増えています。町や村に検問所を設け、ロシアから”侵入者”を入れないチェック作業に参加する人もいます」。だが、自主努力には限界がある。「あらゆる分野で、国際的な支援が必要です。ロシア一般市民の住む都市を攻撃し続けている。このままでは、間違いなく私たちを人道的大惨事に導くことになる」。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)