・「”人道回廊”の確保を」ウクライナ正教のシェフチュク総主教が世界の国々に訴え(VN)

Refugees from Ukraine at the Polish border Medyka in Polonia.Refugees from Ukraine at the Polish border Medyka in Polonia.  (ANSA)

 ウクライナ正教会のリーダー、スヴャストラフ・シェフチュク総主教が5日、ロシア軍の占領地域の住民たちが食料の供給も、安全に避難できるルートも確保されていない、として、欧米はじめ世界の国々に支援を訴えた。

 ウクライナが置かれている現状について、総主教は、「ロシア軍が、我が国の主要都市を封鎖、包囲しており、住民に都市を離れる機会を与えず、食糧を受け取る機会も与えず、無差別爆撃によって死をまき散らしている」と強く非難。

 ”人道回廊”が各所に確保されることで、「ロシアによる血なまぐさい攻撃の矢面に立たされているウクライナの人々が、安心して、安全な地域に移動でき、彼らへの人道援助も確実に届けられます」と強調した。

 国連人権高等弁務官事務所によると、ロシア軍の軍事侵略が始まって以来、5日までに少なくとも351人の民間人が殺害され、707人が負傷している。

 総主教は、「敵が都市を爆撃すると、多くの建物で、電気もガスも、飲料水の供給も止まってしまい、人々は”冷却装置”の中に閉じ込められてします。私たちは何らかの方法で彼らを助けねばならないが、敵は、私たちの助けを必要としている人々に道を開けようとしない」とロシア軍の対応を強く批判。

 人道回廊は、軍事攻撃の被災者たちに安全な通路を提供し、人道援助機関が被災者への援助の手を差し伸べるための、一種の一時的な非武装地帯。総主教は、「国際社会に訴えます。黙っていないでください。少なくとも人道援助の部隊が敵の足元にある不幸な都市に入ることができるよう、可能な限りのことをしてください」と訴えた。

 総主教は、2月24日の夜に始まったロシアの侵略の猛攻撃に直面しているウクライナの北部、東部、南部の都市や町の状況に注意を向けた。4日夜には、ウクライナ第二の都市、ハリコフの住民は、20cmの積雪の中で空爆と砲撃にさらされ、スミー、マリウポリ、ヴォルノヴァーハなどの都市が絶望的な状況に追い込まれている、と語った。

 また、ウクライナを守ろうと戦っている人々、被災者の支援に当たるボランティアなどに感謝するとともに、国内のウクライナ正教の教会も、そうした支援活動の基地になっている、と説明。「この戦争を止めるために可能な限りのことをしてください!」と改めて世界の国々、人々に訴えた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年3月6日