聖地エルサレムで教会施設への破壊行為続く(CNS/CRUX)

 

(2017.9.26 CATHOLIC NEWS SERVICE/Crux    Judith Sudilovsky) 聖地エルサレムで、過去10年の間にキリスト教会や関連施設に対する破壊行為が80件に上っていることが分かった。ほとんどのケースで犯人が逮捕されることも起訴されることもないままだ。直近では、9月19日にエルサレム近郊のサレジオ会ベイト・ジャマル修道院にある聖ステファノ聖堂が襲われて、十字架やマリア像が破壊され、ステンドグラスが割られている。

 エルサレム発―カトリックの指導者を含めて聖地のキリスト教徒は、教会や関連施設への破壊行為に対して十分な法的措置が取られていないことに不満を募らせている。 聖地のカトリック指導者会議は9月20日にイスラエル国内の教会施設に対する冒涜・破壊行為を非難する声明を出したが、関係者の中には「声明の表現が弱すぎる。私たちはいつまでこうした行為に耐えねばならないのか」と訴える声も出ている。

 破壊行為に合った聖ステファノ聖堂は、一般に開放されており、超保守派も含めて隣接のユダヤ教徒とも良好な関係にある、という。聖地巡礼の人々は、マリア像などが破壊されたのを目の当たりにして衝撃を受けている。

 聖堂を管理しているサレジオ会のアントニオ・シウドゥ神父は「ショックを受けました。そのようなことがされるとは予想していなかった。聖堂はいつも開放しており、このようなことが起きたのを目にした方は嫌悪感を持たれたでしょう」と嘆いている。この修道院が襲われたのは最近5年で三度目だという。「これまで二度の襲撃で犯人は逮捕されました。今回の破壊行為が個人によるものか集団によるものか分かりませんが、過去二回とは別の者による犯行です」

 カトリック指導者会議のワディ・アブナサ―ル顧問は「過去10年間に教会や関連施設に対した80件に上る破壊行為が起きているが、ほとんどのケースで犯人の逮捕も、起訴もされていない」と政府当局の消極的な対応を批判し、こうした行為をあおっている何人かの過激派のラビも含めて、厳正な措置を取るよう求めている。 「異口同音の同情や励ましの言葉に、私たちは嫌気がさしています。私たちが欲しいのは、厳正な処罰です。悲しいことです。人々はなぜ私たちが抗議しないのか、デモをしないのか、と聞くのです」。

 アブナサ―ル顧問によると、イスラエルのカトリック司教たちはナタニエフ首相に対し、何度もこの問題で話し合いを持つように求めているが、いまだに返事がない、という。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

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2017年9月28日