ロヒンギャ問題、各国がミャンマー批判 マララさんも声明

(2017年9月5日  AFP)ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャが置かれている窮状をめぐり、ミャンマーと同国文民政権を率いるアウン・サン・スー・チー)国家顧問に対する批判が強まっている。4日には、ノーベル平和賞受賞者のパキスタン人活動家、マララ・ユスフザイさんや、アジアのイスラム圏諸国が非難の声を上げた。

 武力衝突の絶えないミャンマー西部ラカイン州では、先月25日に武装集団とミャンマー軍の戦闘が発生。これまでの10日間で、9万人近いロヒンギャが隣国バングラデシュに一斉に避難した。

 バングラデシュと国境を接する貧しいラカイン州では以前から、イスラム系住民と仏教系住民の間で緊張が高まることが多く、ロヒンギャは移動や市民権の面で隔離政策的な制約を課されてきた。

 ここ最近の騒乱は昨年10月、ロヒンギャの小規模な武装集団が複数の国境検問所を奇襲したことに端を発しており、ラカイン州で発生した衝突としては近年最悪の事態に発展。国連は、ミャンマー軍が報復として民族浄化に及んだ可能性があるとの認識を示している。

 ミャンマーの軍事政権に政治囚として長年軟禁されてきたスー・チー氏に対しては、ロヒンギャに対する処遇を明確に非難することや、軍を処罰することに及び腰だとの批判が徐々に高まっている。スー・チー氏は25日の衝突発生以降、公の場で一度も発言していない。

 イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動」に頭部を銃撃されたものの一命を取り留めたマララさんはツイッター上に声明を出し、「報道を目にするたびに、ミャンマーのロヒンギャのイスラム教徒の窮状に胸が痛む」とつづった。

 さらに、「私は過去数年間、この痛ましく恥ずべき処遇を繰り返し批判してきた。私は同じノーベル賞受賞者のアウン・サン・スー・チー氏が同様にしてくれることを、いまだ待ち続けている」と述べた。

 この危機の高まりの影響はミャンマーの外交関係にも及び、とりわけ、マレーシアやインドネシアといった東南アジアのイスラム圏諸国では国民の間でロヒンギャへの処遇に強い怒りが募っている。

 マレーシアのアニファ・アマン外相はAFPに対し「率直に言って、アウン・サン・スー・チー氏には満足していない」と発言。また、インドネシアのルトノ・マルスディ外相は4日、ミャンマーに危機への対処を促すため、スー・チー氏らと同国の首都ネピドーで会談した。(c)AFP

・「カトリック・あい」教皇フランシスコが予定する11月のミャンマー訪問には、バチカンと同国の国交樹立、ミャンマーへの正式な教区設立、新任の同国初の枢機卿激励にとどまらず、ロヒンギア紛争解決に寄与したい、との強い願いがあるに違いない。

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2017年9月7日