(2023.8.14 Vatican News By Deborah Castellano Lubov)
オーストラリア司教協議会(ACBC)の代表団が8日から11日にかけてウクライナを訪問、ロシア軍のミサイル攻撃などで破壊され、多くの市民が残虐行為の犠牲となったたリヴィウ、キエフ、イルピン、ブチャを回り、教会指導者、市民指導者、被災した家族、ロシア軍から国を守ろうとする兵士たちと会って窮状の説明を受け、連帯と激励を送った。
ACBCは声明で「今回のウクライナ現地訪問は、現在進行中の戦争で人々が被った悲惨な経験を直接目撃し、教会指導者や民間人から、人道支援をどこに向けるのが最適かを聞く重要な機会となった」と述べた。
2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、オーストラリアの司教たちは教区、小教区、学校、その他の組織に対し、ウクライナで最も弱い立場にある人々に支援を集中するよう強く奨励してきた。 昨年の待降節には、数十万ドルの支援金が集まった。
代表団を率いたコメンソリ・メルボルン大司教は、 「ウクライナの悲劇を遠くから見守っているだけでなく、被害を受けた人々の声を直接、聞き、苦しみを共有することが重要です。ウクライナ国民への友情と祈りを込めて、隣人である彼らを、力づけるのが、個人的に力を与えることが訪問の目的でした」と述べ、 「私たちにとって、訪問のカギは、信仰、友情、団結をもたらすこと。現地に行って、遠くからでも人々が私たちが祈っていること、自分たちは孤独ではないことを知るのが、とても重要であることを知りました」と強調した。
ポルテウス・ホバート大司教は、ウクライナの司牧者たちが”羊の群れ”と深くつながっていることに感動したという。 「現地での多くの経験の中で、私が特に感動したのは、司教と司祭の、人々に対する親密さでした。物理的な支援を熱心にするだけでなく、司牧者として霊的に人々に寄り添っています。そして、人々の司祭たちに対する心からの感謝の気持ちを目の当たりにしました」。
リヴィウでは、代表団はアンドリー・サドヴィ市長と面会し、破壊されずに残ったリハビリセンターを訪問し、医師、負傷兵、その家族と話をした。 クルチツキ・ポートピリー司教は「センターは、人々の人生を立て直す極めて重要な仕事をしていました。手術、義肢の装着、リハビリ、そして精神的、社会的なケアまで、あらゆる年齢層の負傷者を受け入れていました」と述べ、「(ロシアの軍事侵略で)あまりにも多くのものが失われ、人々が被害を受けました。特に若者たち、若い家族は、人生の意味と目的を持って日常生活を送れるように、学び直す必要があります」と感想を語った。
代表団はまた、聖ペテロ・パウロ教会で行われた戦死した兵士の葬儀ミサに招かれた。葬儀は、この教会だけで一日に十数件も行われることがあるという。 キエフでは、復活大聖堂でウクライナ・ギリシャ・カトリック教会(UGCC)のキエフ大司教区のアンドリー・ヒミャク補佐司教と会談した。復活大聖堂はまだ建設中だが、秘跡と司牧活動の重要な中心となっている。ロシアによる軍事侵攻が始まった当初の数日、300人以上の人々が身を守るために大聖堂の地下に避難した。 今も、大聖堂は避難所、祈りとミサ典礼の場所、そして被災者の支援とケアを行う拠点であり続けている。被災して日々の暮らしに困窮している人々に毎日最大 800 食の食事を提供してもいる。
キエフの郊外には、ロシア軍の無差別的な攻撃で多くの一般人が殺戮されたルピンとブチャの町がある。 イルピンでは、住宅や建物の7割が破壊された。代表団は、イルピンの小さなコミュニティを率いるギリシャのカトリック司祭ヴィタリ・コレスニク神父と面会した。 近くのブチャでは、地元の戦死した兵士の墓地と民間人の集団墓地を訪れ、殺害された人々、後に残された人々のために祈りを捧げた。
ACBCは今回の訪問についての報告を「短い期間だったが、ウクライナ訪問で、ウクライナの人々を支援する、というオーストラリアの教会の兄弟的決意を確認することができた」と締めくくっている。 司教たちは帰国後、「これまでに築いたつながりをさらに強化し、オーストラリアの信徒たちに祈りで苦しみの人々に寄り添い続けるよう促す」と記している。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)