(2025.11.30 Vatican News)
教皇レオ14世はレバノン訪問初日の30日夕、首都ベイルートの大統領宮殿での、レバノンの政府当局、市民社会の代表、そして外交団、聖職者たちとの会見で講演され、「特に若者たちに、『希望の言葉』を語る必要がある。そうすることが常に、レバノンの再出発を可能にしてきたのですから」と強調された。
講演で教皇はまず、今回のレバノン訪問で核心のテーマとされている「平和をつくる者は幸いである」を取り上げ、「レバノンの平和は、単なる『願望』ではなく、複雑な社会構造と継続的な課題に根ざした『日々、必要とされるもの』です」とされ、各界の指導者たちに対して、「レバノンの平和は抽象的な概念ではなく「日々築き上げるべき願望であり使命です」と訴えられた。
*レバノン国民には「不屈の精神」がある
また教皇は、「苦難に直面しても、決して諦めることのないレバノン国民の忍耐強さ」を称えられ、「この不屈の精神こそ、レバノンの再建と前進の基盤。レバノンの未来を形作る責任者にとって欠かすことができません」と説かれ、さらに指導者たちに対し、若い世代を含む国民と緊密な関係を保つよう呼びかけ、レバノンが「常に再出発」を可能にしてきた「希望の言葉」を語るよう促された。
*持続的平和へ、忍耐と誠実さをもって和解を追求して
続けて教皇は、「持続可能な平和のためには、過去の傷と向き合う必要があります… 忍耐と誠実さをもって和解を追求すべきです」と述べ、「個人や集団の傷は、癒えるまでに何年も、時には世代をまたぐこともありますが、真実と和解は、常に共に育まれます」と強調されるとともに、「自らの痛みや思考様式に囚われたまま」になることの危険性を指摘。
また、「制度は、公共の利益を優先すべきです。それは、多くの利害の総和を超えるものだ」と語られた。
*若者たちが国に留まり未来を築けるような環境整備が必要
教皇は、レバノンで若者の移民が続いていることにも言及され、多くの人々を国外へ駆り立てる、この国の不確実性と困難を認めたうえで、「教会は、どの人も祖国を離れることを強制されることを希望しません」と強調。「若者たちが故郷に留まり、未来を築くことができるような環境整備」の必要を訴えるとともに、指導者たちに、「分断主義」と「ナショナリズム」を共に避けるよう呼びかけられた。
そして、フランシスコ教皇の回勅『兄弟の皆さん』を引用し、指導者たちに「地域的な独自性」と「世界的な開放性」の両立の重要性を強調。「これらは、あらゆる社会において不可分、かつ等しく不可欠な二つの極なのです」と説かれた。
*女性たちは平和構築へ特別な能力を持っている、真の刷新の要だ
また教皇は、「社会に対する女性の貢献」を取り上げ、「女性たちは、平和構築へ特別な能力を持っています… これは、社会内の絆を支え強化する能力に根ざしている。女性の参加は、真の刷新の要(かなめ)です」と強調された。
レバノンに残留または帰国する若者たちについて、「レバノンが再び生命に満ちた地となることを確実にすることに、彼らは、決定的に貢献します」と言明された。
*平和実現へ共同責任を果たして
講演の結びに、教皇は参加者全員に対し、「平和実現には、指導者と機関双方の積極的な取り組みが必要。意見の相違があっても対話は、和解へと導く道です」と訴えられた。
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*講演の後、聖母マリアのカルメル会修道院を短時間訪問
教皇はレバノン訪問初日の夕方、講演の後に、ベイルート郊外ハリッサにある聖母マリアのカルメル会修道院を30分間訪問された。
バチカン報道局によると、教皇はシスターたちと挨拶を交わされ後、二つの共同体の責任者らから挨拶を受けられた。
シスターたちに向けて、教皇は黙想的召命の核心にある三つの言葉-謙遜、祈り、犠牲-を思い起こされた。面会は約30分間続き、主の祈りの唱和をもって終了した。カルメル会のシスターたちに使徒的祝福を授けられた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
Pope Leo XIV speaks with journalists aboard the papal plane bound for Beirut
(2025.11.30 Vatican News)
30日の午後、教皇レオ14世はトルコからレバノンへ向かう機中で、同行記者団との会見に応じ、4日間のトルコ訪問でのトルコ政府など現地関係者の歓迎に感謝するとともに、ウクライナとガザの平和実現への希望を改めて表明。2033年の「贖罪の聖年」をエルサレムで祝う意向を確認された。
記者団とのやり取りは以下の通り。
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*トルコ訪問に尽力してくださったすべての人に感謝
教皇レオ14世:皆さん、こんにちは。まず英語で話しましょう。あなたがたの大半は理解できるでしょうから。。挨拶できて嬉しく思います。あなたがたも私と同じように、トルコで良い時間を過ごせたでしょう。素晴らしい経験だったと思います。
ご存知の通り、トルコ訪問の主目的はニカイア公会議1700周年記念でした。古代ニカイアの大聖堂跡で、キリスト教共同体全体の合意と信仰告白であるニカイア・コンスタンチノープル信条を記念する、簡素でありながら深遠な壮麗な式典を執り行いました。
他にも数多くの行事がありました。訪問計画に尽力された全ての方々に、私個人として感謝を申し上げたい。ローマ教皇大使をはじめ、スタッフ、ローマからのチーム全員が組織運営を担当されましたが、特にトルコ政府、エルドアン大統領、そして大統領専用ヘリコプター、多様な交通手段、組織運営など、訪問を完全な成功に導くため関わってくださった多くの方々、 様々な場面で大臣たちが同席してくださったことなど、全てが完璧でした。
様々な教会、キリスト教共同体、正教会との交流の機会を得られたことを、大変うれしく思いました。そして、バルトロマイ総主教との聖体礼儀で頂点を迎えたのです。素晴らしい祝典でした。皆さんも同じ体験を共有できたことを願います。ありがとう。
*「平和な共存」を証しするトルコは、世界求めるべき姿
Q: バリシュ・シェッキン(アナドル通信):教皇の旅の冒頭で、世界と地域の平和について言及されました。この点に関して、世界と地域の平和の達成と維持におけるトルコの役割について、またエルドアン大統領とのこの件に関する議論について、ご見解をお聞かせください。
教皇:今回の訪問でトルコ、そしてもちろんレバノンを訪れたのは、いわば「平和の使者」としての特別なテーマがあったからです。この地域全体に平和を広めたい、という願いからです。
トルコにはいくつかの特徴があります。大多数がイスラム教徒の一方で、少数派だが多くのキリスト教コミュニティが存在し、異なる宗教を持つ人々が平和に共存しています。これは世界中が求めるべき姿の一例と言えるでしょう。
宗教的差異があろうと、民族的差異があろうと、その他多くの差異があろうと、人々が確かに「平和に共存できる」という証しです。トルコ自身、歴史上、そうではない様々な局面を経験してきました。それでも、そのような局面を乗り越えた。エルドアン大統領と平和について語り合えたことは、今回の訪問において重要な、意義ある成果だと思います。
*パレスチナ、ウクライナ和平へエルドアン大統領と話し合った
Q: セイダ・カネパ(NTV、イタリア語):エルドアン大統領とは公式声明以外に、ガザ情勢について話し合われましたか?バチカンとトルコは「二つの民族、二つの国家」という解決策について同じ立場です。ウクライナについては、バチカンは紛争初期の食料輸送路開設から始まり、トルコの役割を繰り返し強調してきました。現時点で、ウクライナ停戦とガザ和平プロセスが加速する希望を持たれていますか?
教皇(イタリア語):確かに、大統領と、その二つの状況について議論しました。バチカンは長年、二国家解決案を公けに支持してきました。現時点では、イスラエルがこれを受け入れていませんが、継続的に直面する紛争への唯一の解決策となり得る、と私たちが見ていることは周知の事実です。
私たちはイスラエルの友でもあり、双方の間に入って、全ての者に正義をもたらす解決に近づけるよう仲介の声を上げようとしています。この件について、エルドアン大統領と話しました。彼は確かにこの提案に同意しています。トルコは、こうした状況において重要な役割を果たすことができる。
ウクライナについても同様です。数か月前、ウクライナとロシアの対話の可能性が浮上した際、エルドアン大統領は双方を対話へ招く上で大いに貢献されました。残念ながら解決には至っていませんが、今日もまた平和に向けた具体的な提案がある。エルドアン大統領がウクライナ、ロシア、米国の大統領らとの関係を活用し、対話や停戦の促進、ウクライナにおけるこの紛争・戦争の解決策を見出す手助けをしてくれることを願いましょう。
教皇:ニカイアでの重要なエキュメニカルの祈りの集いの後に、今後の会合の可能性について話し合いました。一つは2033年、イエス・キリストの贖罪と復活から2000年を迎える年のことです。これは明らかに全てのキリスト教徒が祝うことを希望する出来事です。この構想は歓迎された。招待状はまだ送られていませんが、2033年にエルサレムで「復活」という偉大な出来事を祝う可能性はあります。準備にはまだ数年あります。
それはともかく、ニカイアでの祈りの集いには、異なる伝統を持つキリスト教徒が参加し、時を共に過ごすことができ、非常に素晴らしい出会いとなりましたた。
皆さん、ありがとう。
(2025.11.30 Vatican News)
トルコ訪問最終日の11月30日、 教皇レオ14世はバルトロメオス1世総主教の招待を受け、トルコ・イスタンブールのエキュメニカル総主教庁を訪問、聖ゲオルギオス総主教教会での聖体礼儀に出席され、「キリスト教信仰で結ばれた絆と完全な交わりを求める継続的な努力」を強調された。
守護聖人の使徒アンドレアを祝う聖体礼儀には、エキュメニカル総主教庁の聖公会議の400人以上のメンバーと司教団のメンバーが参列した。
教皇はその前で、「教会史上初の公会議が開かれたニカイアへの共同巡礼は、聖アンドレアのこの祝日に厳粛な聖体礼儀を捧げることで最高潮に達しました。古代の伝統によれば、使徒アンドレアがこの街に福音をもたらし、聖人の信仰は、エキュメニカル公会議によって定義され、今日の教会によって公言されている私たちの信仰と同じものです」と指摘。
エキュメニカルな祈りの礼拝が、キリスト教世界の各教会の長や代表者を一堂に会して行われたことに触れ、「ニカイア・コンスタンティノープル信条で公にされた信仰が、私たちを真の交わりで結びつけ、お互いを兄弟姉妹として認識することを可能にしています」とし、「過去には、多くの誤解や対立もあり、現在も完全な交わりを達成するうえで課題は残っていますが、私たちは一致に向けて努力を続け、キリストの兄弟姉妹として互いを認め合い、互いに愛し合っていかねばなりません」と訴えられた。
エキュメニカル総主教は、聖体礼儀中の説教で、教会が聖アンドレアの祝日を祝うこの日に喜びの言葉を述べ、聖ペテロの後継者である教皇の兄弟的な訪問を温かく歓迎された。
そして、「それぞれの教会の創設者である二人の聖なる使徒の後継者として、私たちが霊的な兄弟愛の絆で結ばれている、と感じています。この絆は、私たちに、救いのメッセージを世界に宣べ伝えるために熱心に働く義務を課している。今日のあなたの祝福に満ちた訪問は、それぞれの教会の座の祭典の際に、代表団を交換したのと同様、単なる儀礼的な行事として片づけられるものではなく、キリスト教の統一の追求に対する私たちの深い取り組みと、完全な教会共同体の回復に対する私たちの誠実な願望を、非常に具体的かつ個人的な形で表現しているものです」と強調された。
両宗教指導者は、歴代教皇によるエキュメニカル総主教庁訪問、特に60年前にパウロ6世教皇とアテナゴラス総主教が『1054年の相互破門』を厳かに解除した出来事を振り返り、教皇は「尊い先達たちのこの歴史的行為が、カトリックと正教の間の和解、平和、そして深まる交わりの道を切り開きました。そして、頻繁な接触、兄弟的会合、そして有望な神学的対話を通じて育んできました。今日、私たちは、完全な交わりの回復に一層尽力するよう求められているのです」と決意を述べた。
また二人は、「正義と平和のために働き、すべての人々に具体的な慈愛と憐れみを示す」というキリスト教徒の召命に応える共通の責務を強調。特に世界の戦禍に苦しむ地域を挙げ、カトリック教会と正教会が平和の使徒となるよう召されていることに言及。
教皇は「このことは、平和を築く行動を取り、選択をし、姿勢を示すことを意味します。同時に、平和が単なる人間の努力の成果ではなく、神からの賜物であることを認めなければなりません」とされ、「祈り、悔い改め、黙想、そして主との生きた関係を育むことによって、この賜物を求めねばなりません。主は、私たちが真に平和に奉仕するために取るべき言葉、姿勢、行動を見極めるのを助けてくださいます」と語った。
また教皇は、この地球が直面している深刻な生態学的危機に対して、「方向転換と被造物の保護のための精神的・個人的・共同体の回心」の必要性を訴えた。これはバルトロメオス総主教が司牧活動で熱心に訴えてきたことでもあり、教皇は「カトリック教徒も正教徒も共に働き、新たな考え方を促進するよう召されています。そうすることで、誰もが神が私たちに託された被造物を守る責任を認めるようになるのです」と説いた。
最後に教皇は、特にコミュニケーションの分野での新技術に触れ、それらが「人間の総合的発展に奉仕し、普遍的にアクセス可能となるように、カトリックと正教徒が取り組むべき課題であると同時に、大きな機会でもある」とし、「それは、恩恵が、少数の人々や特権階級の利益に独占されないようにするためです」と指摘された。
総主教は、「教皇が私たちの街と教会を訪れ、この厳粛な祝賀行事に参加してくださったことに、心からの感謝を捧げます」とし、「私たちの聖なる偉大な創設者であり守護聖人、聖なる栄光に満ち、称賛に値する使徒、最初に召されたアンドレアと、指導者であるペトロが、忠実に仕え、世界の果てまで福音を宣べ伝えたお方のもとで、私たちすべてのために執り成してくださいますように。彼らが、その広大な教会的視野と使徒的使命への決意をもって、これからも私たちすべてにインスピレーションを与え続けてくれますように」と祈られた。
「そうすれば、私たちはキリスト教の統一を求め、世界が『私たちはメシアを見つけた』と信じるようになるよう、共に証しをしながら、共通の巡礼の旅を続けていくことができるでしょう」。
教皇は、総主教に「健康と安寧を心から願います」と述べ、温かく兄弟的な歓迎に対して深く感謝され、「すべてを使徒アンドレアとその兄弟である聖ペテロ、 また、慈悲深い父である神が、出席者全員に豊かな祝福を授けてくださいますように」と祈られた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
(2025.11.29 バチカン放送)
教皇レオ14世は、トルコ訪問3日目の29日午前、イスタンブールのシリア正教会で、キリスト教諸教会の指導者・代表たちと非公開の集いを持たれた。
シリア正教会総主教モル・イグナティウス・エフレム2世に迎えられた教皇は、聖堂内でキリスト教諸教会の出席者らとお会いになった。 聖霊を祈り求める賛歌に続き、諸教会の代表たちたちは円卓に就き、非公開で発言した。
バチカン広報局によると、教皇はこの集いの最後に挨拶され、すべての参加者に感謝を述べられるとともに、ニケア公会議と前日の記念行事の価値について再び言及、その中心に受肉の福音を置かれた。そして、今回のような新たな出会いが、出席できなかった教会との間にも生まれるよう祈ることを願い、ご自身も祈ることを約束された。また、福音宣教、福音の告知の優先性を強調するとともに、「キリスト者間の分裂が証しを妨げていること」の問題を指摘された。
挨拶の最後に、教皇は、「2033年の贖いの聖年に向けた霊的な旅を、共に歩みましょう」と呼びかけ、「イエスが弟子たちと最後の晩餐を共にし、弟子たちの足を洗った場所、また聖霊降臨の場所であるエルサレムの高間を目指す旅、完全な一致へと至る旅」に、集いの参加者たちを招かれた。そして、ご自身の司教モットーである「唯一のキリストの中に、私たちは一つ」を強調された。
(編集「カトリック・あい」)
(2025.11.28 Vatican News Joseph Tulloch)
トルコ訪問二日目の28日、教皇レオ14世はイスタンブール郊外の「貧しい人々の小さな姉妹会」が運営する老人ホームを訪問された。この施設は、様々な背景を持つ都市の高齢者たちの住まいで、トルコ人、アルメニア人、アフリカ諸国からの難民、さらにはイスタンブールの歴史的なユダヤ人コミュニティの成員も暮している。
施設には、廊下の壁に「他者は皆、キリストだ」という標語が、入居者たちの名札がかけられた掲示板の隣に掲げられている。教皇が最初に訪れたのは礼拝堂。この日のために旗や花で飾られ、入居者やシスターなどの奉仕者など約200人が教皇を待っていた。
教皇が礼拝堂に入って行かれると、コンゴ、アンゴラ、カメルーン、ブルキナファソからの移民で構成された女性合唱団が『アヴェ・マリア』と『主をほめたたえよ』を歌った。教皇は数人と挨拶を交わし、写真撮影や短い会話を挟み、聖体の前で短く祈りを捧げた。
一か月前にロンドンから赴任したシスター、マーガレット・シアソンが共同体を代表して挨拶。教皇の訪問に感謝し、「ご訪問が、施設の入居者たちに、『神が、彼らを深く愛している』ことを示してくれます」と述べた。
教皇はこれに応えて、修道女たちの歓迎と働きに感謝を述べられ、修道女たちの名前に思いを巡らせ、「考えさせられます。主は、あなた方を貧しい者を『支援する』ためだけでなく、入居者の人たちの『姉妹となる』ためにも召されたのです… 小姉妹会の名称は、キリスト教的慈善の真の意味への手がかりを与えます。他者のためにある前に、まず兄弟愛に基づく交わりの中で他者と共にあることが必要です」と説かれた。
続けて教皇は、入居者に対して、「効率と物質的成功に囚われた社会では、老いの真の意味が忘れ去られかねません。しかし教皇フランシスコがしばしば語られたように、「高齢者は民族の知恵であり、孫や家族、社会全体にとっての宝物なのです」と励まされた。
挨拶の終わりに教皇は「兄弟愛の名のもとに、高齢者を迎え入れた施設に対し、二重の感謝」を捧げられ、「介護は容易ではなく、多くの忍耐と祈りを必要とします」とこの苦労を察せられた。
その後、教皇は共同体と共に祈りを捧げ、祝福を与え、記念品を贈呈された。施設を発つ前の数分間、教皇は修道女たちと話され、廊下で入居者と職員に挨拶を交わされ、最後に記帳簿に「この施設と全ての入居者に心から祝福を。特に貧しい人々のための小さな姉妹会がここで行っている奉仕と、全ての人への証しに特別な祝福を」と記された。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
Pope Leo meets with bishops, priests, deacons, consecrated persons, and pastoral workers on his second day in Türkiye (@Vatican Media)
(2025.11.28 Vatican News)
教皇レオ14世は、トルコ訪問の2日目の28日を、イスタンブールの聖霊大聖堂での司教、聖職者、奉献生活者、司牧従事者との「祈りの集い」で始められた。教皇は参加者たちに、トルコの深い「キリスト教的ルーツ」を強調、「小さなカトリック共同体が確信と奉仕、新たな使命をもって未来を見据えるように」と促された。
教皇は会見の講話で、まずトルコにおけるキリスト教の歴史の深さを取り上げ、「トルコは、アブラハムが主の教えに従って旅立った地であり、イエスの弟子たちが初めて『キリスト者』と呼ばれ、初期教会の教父たちが信仰の基礎を築いた地でもあります」と指摘。「この遺産は、単に記憶されるべきものではありません。今日の新たなビジョンと献身の源泉となるべきです」と参加者たちに説かれた。
*”小ささ”の中にこそ、見い出される力がある
続けて教皇は”小ささの道”について語られ、「教会の使命は、人数や影響力に依るものではない。あなたがたに王国を与えるのは、あなたがたの父の喜びであり、この視点こそが、たとえ小さな共同体であっても、あきらめではなく、確信をもって、未来を見据えることを可能にするのです」と強調。「喜びと希望に満ちた忍耐」をもって福音の証しを続けるよう励まし、トルコ国内に既に現れている命の兆し―信仰について問いかけながら教会の扉を叩く若者の数が着実に増えていることなど―を指摘された。
*福音宣教の優先課題は
教皇は、教会の取り組みが特に必要とされる分野として、「エキュメニカル対話と宗教間対話」「現地住民への信仰の伝達」「難民・移民への司牧的奉仕」を挙げ、多くの牧会者自身が他国出身である現状を踏まえ、福音のメッセージがトルコの文化と言語に響く形で表現されるよう「特別な文化適応への取り組み」が必要とされている、と述べられ、移民や難民の顕著な存在を「挑戦」と「機会」の両面と位置づけ、教会に対し社会で最も弱い立場にある人々を受け入れ、寄り添い続けるように、と努力を求められた。
*ニカイア公会議と現代の神学的課題
ニカイア公会議1700周年を記念し、教皇は、現代の教会にも関連する三つの課題を指摘。その第一は、「信仰の本質を把握する必要性」。「ニカイア・コンスタンチノープル信条は、今も、一致と識別のための”羅針盤”として機能し続けています」とされた。
次に、イエスを歴史的人物として称賛しつつも、生ける神の子として認めない「新たなアリウス主義」の傾向への警鐘。第三に、「教義の発展」で、初期教会の公会議の有機的成長を想起させつつ、「教義は不変の真理に根ざしつつも、理解が深まるにつれてその表現を適応させること」を確認された。
*よく知られた奉仕の模範
教皇は講話の終わりに、聖ヨハネ23世がトルコで過ごした年月を想起され、「トルコへの深い愛情と使命遂行への揺るぎない献身」を強調。現代の司牧者たちが同じ献身をもって「信仰の喜び」を保ち、勇気をもって奉仕を続けることを願われた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
The President of Türkiye speaks to authorities, civil society and the diplomatic corps with Pope Leo (@Vatican Media)
(2025.11.27 Vatican News Francesca Merlo)
初の海外使徒的訪問で、教皇レオ14世はトルコ訪問初日、首都アンカラの当局者に対し、トルコが文化・信仰・大陸間の架け橋としての使命を受け入れるよう促され、世界に対し「分断を拒み対話を追求するように」と呼びかけられた。
27日正午過ぎ、トルコの地を踏まれ教皇は、11月27日から12月3日にかけて行われる初の使徒的訪問の第一段階を開始された。
行程はイスタンブールからイズニクへ。教会はここで第1ニカイア公会議1700周年を記念する。その後、11月30日(日)にベイルートの首都レバノンへ向かう。
初日の27日は、トルコ大統領府でエルドアン大統領を会われ、続いて国立図書館で、政府関係者、市民社会、外交団の歓迎会合に出席され、講話をされた。
「人類に兄弟愛を呼びかける地」
エルドアン大統領との会見では、教皇はトルコの温かい歓迎への感謝を表明。教皇は、トルコを「キリスト教の起源と不可分な地」とされ、「アブラハムの子孫であるイスラム教徒・キリスト教徒・ユダヤ教徒を呼び集め、差異を分裂ではなく兄弟愛への道と認識させる地」と讃えられた。
ま歓迎会合での講話では、トルコの自然美と豊かな文化的多様性に思いを巡らせ、「これらが世代・思想・伝統が出会う場所で人類文明が花開くことを示す証し」と述べられ、「こうした多様性は脅威ではなく、社会の活力を守る盾です… 画一性は貧困をもたらす。真の市民社会を支えるのは、実体と象徴を繋ぐ『橋』です」と強調された。
トルコの使命を象徴する橋
教皇の訪問に選ばれたエンブレムは、ダーダネルス海峡に架かる橋を描いている。教皇は、「これは、トルコの独自のアイデンティティを象徴するもの。すなわち、貴国は、物理的にアジアとヨーロッパを結ぶ国であると同時に、より深く、自らを東から西へ、伝統から現代へ、差異から統一へと繋ぐ国であるということです」と語られた。
そして、「分極化と極端な立場に苦しむ世界では、社会が分断される危険がありますが、トルコのキリスト教徒は、この国の統一に積極的に貢献する用意がある」とされ、カトリック教徒に、孤立を拒み、『出会いの文化』を受け入れるように促された聖ヨハネ23世の愛情を思い起こしながら、「この言葉が今日なお、驚くほど適切です」と指摘された。
「神は天と地の間にかけ橋を築かれた」
また教皇は、「神が自らを現すことで天と地の間に通路を創り、人々の心が神の慈しみを映し出すことを学べるようにした」、という福音書の言葉に言及し、「正義と慈悲こそ、支配の論理に挑むべきです。発展の真の尺度となるのは力ではなく、思いやりと連帯でなければなりません」と訴えられた。
さらに、倫理から切り離された技術進歩の危険性を警告し、「人工知能でさえ、最終的には人間の選択を増幅させるに過ぎない。プロセスは機械の業ではなく、人類自身の業です」とされ、政治指導者たちに「人類家族の結束に与えられた損害を修復するために協力するように」と促された。
トルコ社会の核心に家族がある
続けて教皇は、多くのトルコ人の心に響くテーマに移り、家族について、「社会生活の最初の核」と表現され、「そこでは誰もが、他者なくして私は存在しない、という本質的な真理を学ぶ空間です」と言明。 家族の役割強化に向けたトルコの取り組みを称賛しつつ、「家族が孤立したり、構成員の声を抑圧したりすれば直面するリスクがあること」も指摘され、「幸福は個人主義からも、結婚の絆や生命への開放性を軽んじることからも、生まれません」と注意された。
そして、「孤独を商品化する消費主義文化」を戒め、代わりに「愛情と人的つながりを尊ぶ文化」を促され、「そこでは夫婦愛と女性の不可欠な貢献が共に称えられるのです」と語られた。
また、女性について、「学問・職業生活・公共サービス・文化的リーダーシップを通じて、ますますこの国を豊かにしています」と強調された。
トルコが平和の源となるように
続けて教皇は、「トルコが、安定と民族間の和解の源であり続けることを望みます」とされ、パウロ6世、ヨハネ・パウロ2世、ベネディクト16世、フランシスコと歴代の教皇の訪問を振り返られた。
ニカイア公会議(初期キリスト教徒が信仰の統一を求めて集まった)の記念日に合わせた今回の訪問は、対話と出会いの永遠の必要性を物語っていること、世界が再び紛争の高まりに彩られる中、教皇フランシスコが「断片的に繰り広げられる第三次世界大戦」と呼んだ事態への警戒を呼びかけられたこと、などを挙げたうえで、教皇は、「世界の国々は、平和の共有課題、飢餓対策、創造物の保護、万人の教育と健康の確保ではなく、破壊的な力学にエネルギーを注いでいます」と嘆かれた。
真実と友情をもって共に歩む
講話の最後に教皇は、「バチカンが持っているのは霊的・道徳的力だけですが、あらゆる人々の総合的な発展に取り組む全ての国々と協力する強い意志があります」と強調され、「神の助けを謙虚に信頼しながら、真実と友情をもって共に歩みましょう」と呼びかけられた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)