・新しい「ローマ・ミサ典礼書の総則」に基づく変更箇所-カトリック中央協議会出版部・編

(2020.1.29 カトリック中央協議会ニュース)

 「新しい『ローマ・ミサ典礼書の総則』に基づく変更箇所」(日本カトリック司教協議会、2015年6月刊。以下「変更箇所」)が2015年11月29日より各共同体で実施され始めてから3年が経とうとしています。当初は多少なりとも混乱があったのではないでしょうか。定着した共同体もあれば、周知がいまだ不十分なところもあるかと思います。
「総則」といえば、司祭が理解すればいいものと思われがちですが、今は、信徒が積極的にミサの準備にかかわることも珍しくなく、侍者やオルガニスト、聖歌奉仕者など、ミサにかかわる奉仕者への指導が信徒に任されている教会も増えていて、信徒もまた学ぶべきものでもあります。
この特集では、「変更箇所」をいっそう周知すべく、信徒の奉仕者が認識しておかなければならないことがらをいくつか取り上げます。
また、それにあたっては「日本におけるミサ中の聖体拝領の方法に関する指針」(日本カトリック司教協議会、2014年11月刊。以下「指針」)、「聖体授与の臨時の奉仕者に関する手引き」(日本カトリック典礼委員会、2015年1月刊。以下「手引き」)なども参考にしています。
なお、本特集では、便宜上、内陣で司祭の役目を手助けする奉仕者を「侍者」、聖歌隊や聖歌先唱者を「聖歌奉仕者」と表現することにします。

1.準備

1)内陣の席

  • 司祭と他の奉仕者の席は明確に区別する。

    内陣に設ける司式司祭、助祭と、他の奉仕者の席とは、明確に区別されるよう配置します。助祭の席は司式司祭の近くに、聖体の臨時の奉仕者や侍者の席は教役者の席とは区別するようにします。

    (「変更箇所」294、310参照)

2)司祭の祭服

  • カズラはストラの上に着用する。

    カズラはストラの上に着用するものです。

    (「変更箇所」119、337参照)

3)祭壇

  • 祭壇布は白色のものを用いる。

    祭壇布は白色と決められています。

  • ろうそくの本数は、主日は4本もしくは6本。

    祭壇上もしくは祭壇の近くに用いるろうそくの本数は、どの祭儀においても、少なくとも2本、とりわけ主日のミサや守るべき祝日の場合は4本もしくは6本、また、教区の司教が司式する場合は7本を置くようにします。

  • 十字架は磔刑のキリスト像のついたものを用いる。

    祭壇上あるいは祭壇の近くには、「磔刑のキリスト像」のついた十字架を置きます。その十字架は、ミサ以外のときにも置いておくのが望ましいとされています。

  • 花による装飾は大げさにならないように。

    祭壇の前や脇には花を飾ることができます。ただし、聖堂の中心はあくまでも祭壇ですので、花が目立ちすぎないよう注意しましょう。日本では、待降節や四旬節にも花を飾ることができますが、節度を守ることが大切です。

    (「変更箇所」117、304、308、305参照)

2.奉仕者

1)朗読奉仕者(朗読者)

  • 朗読奉仕は信者の務め。

    ミサの中で聖書を朗読する務めは、洗礼によって受けた祭司職の行使です。そのため、福音以外の朗読は信徒が担います。また、主の受難の朗読を除いて一つの朗読を複数の人で分けて朗読することはできません。

    (「変更箇所」59、109参照)

2)共同祈願

  • 共同祈願も信者の務め。

    共同祈願は信者の祈りともいわれ、意向を唱える務めは洗礼によって受けた祭司職の行使ですので、助祭、先唱者、朗読奉仕者、信徒が担います。

  • 共同祈願者の意向は朗読台で唱えることができる。

    意向は、朗読台もしくは他のふさわしい場所から唱えます。

    (「変更箇所」71、138参照)

3)聖体授与の臨時の奉仕者

  • 正式に任命された信徒が臨時に聖体の授与を担うことができる。

    聖体は通常、ミサを司式する司教・司祭と助祭が授与しますが、司式者が病気や高齢で聖体を授けることが困難な場合、あるいは拝領者が非常に大勢でミサが大幅に長引く場合で共同司式司祭がいないときには、信徒の臨時の奉仕者が聖体を授与することができます。

  • 奉仕者の座席は、内陣あるいは会衆席の前方に設ける。

    奉仕者が入堂行列に加わる場合、その席は内陣に、加わらない場合は会衆席の前方に設けます。

  • 奉仕者としてふさわしい服装を。

    奉仕者は、アルバもしくはふさわしい服装を着用します。平服の場合は、胸に十字架を下げることなどで、奉仕者であることを示すこともできます。

    (「手引き」3、4、15、16参照)

3.ミサ全体に関して

1)オルガンや他の楽器の使用

  • 待降節や四旬節には、オルガンや他の楽器の使用に注意が必要。

    ミサにおいてオルガンや他の楽器は、歌の伴奏のほかに、奉納行列や聖体拝領の際や、ミサの前後などに楽器のみで奏楽することができます。しかしながら待降節には、主の降誕の喜びを先取りしないような節度が必要です。また四旬節では、第4主日と祭日・祝日を除き、楽器は歌を支えるためだけに使用します。

    (「変更箇所」313参照)

2)沈黙

  • 沈黙は、ミサ中のみならず、ミサが始まる前とミサの後も守る。

    聖堂は祈りの場ですから沈黙を守るのはいうまでもありませんが、ミサの行動的参加として、ミサが始まる前とミサの後にも沈黙するよう求められています。聖堂内はもちろんのこと、香部屋(祭具室・準備室)や聖堂に隣接する場所でも沈黙を守る配慮が必要です。

    (「変更箇所」45参照)

3)栄光の賛歌

  • 歌い出しを聖歌奉仕者にゆだねることができる。

    通常、栄光の賛歌の歌い出しは司式司祭が行いますが、聖歌奉仕者にゆだねることもできます。

    (「変更箇所」53参照)

4)ことばの典礼における沈黙

  • 朗読後に沈黙のひとときをおく。

    第1朗読と第2朗読の後には、朗読された神のことばを味わうために、沈黙のひとときを取ります。

    (「変更箇所」56、128、130参照)

5)答唱詩編

  • 可能なかぎり歌う。

    答唱詩編は可能なかぎり歌うよう求められています。詩編を歌うことが難しい場合も、答唱句が会衆によって歌われるようにします。

    (「変更箇所」61参照)

6)福音朗読前の応唱(アレルヤ唱・詠唱)

  • 唱句は聖歌奉仕者が歌う。

    アレルヤ唱(詠唱)の唱句は聖歌奉仕者が歌い、会衆は「アレルヤ」の部分を歌って参加することになっています。聖歌奉仕者がいない場合には、これまでどおり唱句も全員で歌うことができます。

    (「変更箇所」62参照)

7)供えものの準備

  • 奉納の歌は奉納行列を行わない場合も歌うことができる。

    供えものを運ぶ行列が行われない場合も、供えものの準備の間、歌を歌うことができます。

  • 奉納されたパンとぶどう酒を祭壇に置くのは司式司祭の務め。

    運ばれたパンとぶどう酒を祭壇の上に置くのは司式司祭の務めです。祭壇奉仕者や他の奉仕者がいる場合、これらの奉仕者がパンとぶどう酒を司祭に手渡します。

  • 祭壇に置くのはパンとぶどう酒のみ。

    献金などの他の奉納物は、祭壇ではなく他の場所に置きます。

    (「変更箇所」74、75、140参照)

8)聖体授与の臨時の奉仕者の注意点

  • 祭壇に近づくのは司祭の拝領後に。

    奉仕者は、司祭が拝領してから祭壇に近づきます。

  • 奉仕者自身は、司祭、助祭から聖体を拝領する。

    奉仕者が、パテナの上の聖体を自分で取って拝領すること、また祭壇の上に置かれたカリスを自分で取って御血を拝領することはできません。

  • 祭壇に置かれた聖体容器を奉仕者自身で取ることはできない。

    聖体授与に向かうとき、祭壇の上に置かれたパテナもしくはカリスを奉仕者が自ら取ることはできません。必ず司式司祭が手渡します。

    (「変更箇所」160、162、「手引き」19、20、21)

9)聖体拝領後の片づけ

  • 残った御血を侍者が拝領することはできない。

    残った御血は、助祭と正式に選任された祭壇奉仕者が拝領します。聖体授与の臨時の奉仕者や侍者が祭器をすすぐことはできません。

    (「変更箇所」163、279、284、「手引き」25参照)

新しい『ローマ・ミサ典礼書の総則』に基づく変更箇所」、「日本におけるミサ中の聖体拝領の方法に関する指針」、「聖体授与の臨時の奉仕者に関する手引き」は、カトリック中央協議会のWebサイトで公開しています。典礼委員会のページにリンクがあります。

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2020年1月29日