・中国、インド、タイ‥. 宗教規制で最悪はアジア地域ー米有力シンクタンク調査

(2020.11.19 カトリック・あい)

 米国の有力シンクタンク、Pew Research Centerがこのほど世界の国別、宗教規制状況分析を発表した。

 それによると、信教の自由への侵害は2018年時点で、調査を始めた2007年に比べて大幅に悪化、とくに、調査対象198国・地域のうち、宗教団体に対して逮捕・拘束、暴行など脅威を与える行為がされている国が増えており、政府による規制が「強い」あるいは「とても強い」が2017年の52か国から2018年には56か国に増えている。

 56か国の地域別では、25か国がアジア・太平洋地域、18か国が中東・アフリカ地域だ。規制の程度が最も強くなっているアジア・太平洋地域での、宗教団体への政府による規制の内容は、教会・寺院などの施設、備品の損壊、信徒の拘留、追放、虐待、殺害にまで及んでいる。

 国別では、中国が宗教規制で、調査国・地域の中で最悪の状態を続けており、評価(悪いほど高い)は10点満点で9.3点に達している。これは、中国政府が、かねてから法輪功といくつかのキリスト教系団体を全面活動禁止しているほか、各種の宗教団体の一定の宗教活動を禁じ、宗教的な行事をしている場の襲撃、信徒たちの拘禁、拷問などがなされている。新疆ウイグル自治区では、ウイグル人、カザフ人などイスラム教徒の拘束作戦が続けられており、少なくとも80万人が強制収容所に入れられ、棄教を迫られている。その人数は最高で200万人に達している可能性もある、という。

 またフィリピンでは、三つのユナイテッド・メソジスト教会宣教会が国外退去、あるいは人権侵害の捜査に関与して滞在査証の発行差し止めなどの措置を受けている。ミャンマーではロヒンギアのイスラム教徒が虐待を逃れるため隣国バングラデシュに脱出するなど、大規模な難民の発生が続いてる。カチン族とシャン族の地域では政府軍と反政府軍の衝突激化で、大部分がキリスト教徒の宗教少数者が故郷を追われている。

 インドでは、anti-conversion lawsが、宗教少数派に影響を与えており、北部のウッタル・プラデシュ州では9月に、ヒンドゥー教徒に不当なやり方で改宗を迫ったとして、271人のキリスト教徒を逮捕するなど、弾圧を強める動きが出ている。ジャム・カシミール地方では、警察官4人が遊牧民のイスラム教徒の家族から8歳の少女を誘拐、暴行したうえ殺害したとして、逮捕されている。

 タイでは、政府が2018年に、難民認定を求めて他国から流入して来た宗教少数派の人々を含む数百人を法的地位がないとして逮捕した。その中にはパキスタンからのキリスト教徒、アハマディア・モスレム教徒、ベトナム南部高地のキリスト教徒などが含まれている。

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 Pew Research Centerの調査分析報告の全文はhttps://www.pewforum.org/2020/11/10/in-2018-government-restrictions-on-religion-reach-highest-level-globally-in-more-than-a-decade/でご覧になれます。

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2020年11月19日