・「性的虐待被害者のための祈りと償いの日」を教会の”文化”を変える日に-バチカンの専門家

Father Hans Zollner, SJ, addressing a gathering in Lima, Peru Father Hans Zollner, SJ, addressing a gathering in Lima, Peru   (ARZ_LIMA)

 「性的虐待被害者のための祈りと償いの日」は教皇フランシスコが提唱して、毎年の四旬節の適当な金曜日にされることになっており、世界の主なカトリック国では2月19日、日本では3月5日に予定されている。

 この機会にVaticanNewsと会見したバチカンの未成年者保護委員会のハンス・ゾルナー神父(グレゴリアン大学未成年者保護センター長)は、聖職者による未成年者などへの性的虐待を根絶するためには「祈りだけでなく、行動。行動だけでなく、教会そのものの”文化”を変える努力も必要」と改めて訴えた。

 ゾルナー神父は、まず、聖職者による未成年性的虐待に対処するために、共に行う祈りの重要性を指摘し、「イエスの名の下に2、3人が集まれは、祈りがさらに強力になる」と述べた。

 この祈りと償いの日は、2019年2月に教皇が召集して開かれた未成年者虐待に関する全世界司教協議会会長会議で教皇が提唱して始められたが、この二年間の世界の教会の取り組みについて「目に見える成果と目に見えない成果がある」と指摘。

 目に見える成果としては、教皇のイニシアチブによるルール整備がある。その代表的なものは、教皇が2019年5月に出された自発教令Vos estis lux mundiで、これにより、司教や修道会の上長が聖職者や修道者の性的虐待について上部機関への報告を怠ったり、隠ぺいしたりするなど、すべきことをしない場合の、教会法の規範に従った措置を明確にした。

 さらに同年12月、教皇は、所有したり他人に見せたりして処罰の対象となる未成年ポルノ画像の年令を14歳以下から18歳以下に広げる措置をとり、聖職者による性的虐待の関する事案を「秘密」にする教皇特権を廃止した。

 また、この全世界司教協議会会長会議は、各国の現地教会での性的虐待に関する「意識のレベル」を高めた、と述べ、新型コロナウイルスの世界的大感染以前、まだが海外旅行が可能であった時期に、私は、これまで性的虐待の問題は自分たちには関係ないと考えていた国の司教協議会のいつくかに招かれ、話をするように求められたことを実例として示した。

 「彼らは、自分たちの国はそのような問題はないと考えていたのが、実際にそうではなかったことに気が付き、この問題に真剣に取り組むことを約束してくれました。そうした認識は、高位聖職者だけでなく、司祭や一般信徒にもいえることです」。

 教皇庁立グレゴリアン大学でも、前向きな変化が進み、今学期、自身が責任者を務める大学の未成年保護センターは、英語とスペイン語で学士号がとれるようになった。対象となった者の一部は、各国の司教や修道会の上長から派遣された学生たちで、「将来の仕事をよりよく理解するために、神学から社会学に至る包括的な教科を学習できるようにしています。現地教会で性的虐待から未成年を保護する責任を負うことになるでしょうから」と語っている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年2月21日