教皇フランシスコは昨年、カトリック教会の祈りの中で最も重要な「主の祈り」にある「non ci indurre in tentazione」 (英語公式訳はこの直訳の『lead us not into temptation』 、日本語公式訳は『わたしたちを誘惑におちいらせず」)は「もっとよい表現」にすべきだ、との考えを明らかにしている。
この箇所をどのように改めるべきかについては、より正確にこうした神学的な見方に従って「don’t let me fall into temptation」とするのが適当、とし、フランスの司教団がこのほど仏語訳の主の祈りを見直し、英訳にすると「“Do not submit us to temptation(私たちを誘惑に陥らせないように)」を「Do not let us into temptation(私たちが誘惑に引き込まれないように)」と改めたのを妥当との判断を示している。
現在の主の祈りの言葉は、ギリシャ語訳をラテン語に翻訳したものをもとにしており、ギリシャ訳のもとは、イエスが実際に語られていたアラム語(ヘブライ語の古語)から来ている。教皇庁立グレゴリアン大学のマッシモ・グリリ教授は「ギリシャ語のこの箇所は『eisenenkês』で、文字通り訳すと『don’t take us inside』となるとし、そのように訳し直すべきだ、としている。