【シノドス総会】総会総括文書は40頁、話し言葉ですべての信者に役立つものにー広報長官、26日の定例会見で

Thursday's press briefing at the Holy See Press OfficeThursday’s press briefing at the Holy See Press Office 

 

*ルッフィーニ広報省長官:総括文書の目的と内容について

 総括文書について、長官は、26日午前、朝の祈りに続いて348人が参加した全体会議で、総括文書起草委員会から28日の最後の全体会議で採決される文書の基礎となる基準について説明があり、35の作業部会で原案の検討が始められた。

 長官は、今回の総括文書の性格について、第1期となる今回の総会の結果として教皇に提出され、来年10月の総会第2期で、承認を受けるものとなります。したがって、教皇の承認を前提とする文書とは性格が異なり、あくまで暫定的なものです」と説明。

 したがって、この総括文書の主たる目的は、「私たちが今、どのにいるのかを理解し、今回の総会期間中の識別の過程で語られたことを思い起こし、今総会に始まり、来年10月で終わる旅を、循環的なプロセスの中で再開できるようにすること」と述べた。

 そして、その内容について、「識別が進んでいる点と、さらなる検討が必要な点が、ともに含まれていること、話し合われた すべてを忠実に表現することが必要 私たちは循環的なプロセスの中におり、 神の民が耳を傾け、自らの識別力を提供したのと同じように、総会は自らの識別力を神の民に返すことになるでしょう。これは旅です」と強調。

 その分量については、「文書の性質と簡潔さから、 40 ページにとどまっています。 100 ページや 200 ページにも上る暫定的なテキストを作成するのは意味がありません。すべてのやり取りの詳細を含めることはできません。文書の言葉の使い方は、話し言葉的なものとし、「洗礼を受けたすべての信者—一般信徒、助祭、司祭、司教、修道者など、すでに”シノドスの道”の旅に出ている人たちを励ますのに役立つものとなるでしょう」と語った。そして、「 誰もが旅を始めたり、旅を続けたりすることで励まされ、感謝されるべきです。 多くの人がすでに歩みを始めています」と付け加えた。

 また、「教会には素晴らしいものがたくさんありますが、残念ながらしばしば、表に出てこないことがあります」としたうえで、「この文書は、この総会の経験にエネルギーと喜びをもたらす役割も果たさなねばならない。そのためにも、この文書の動機は明確でなければなりません。そうすることは、誰も排除されることがなく、手を携えて共に歩み、解決策を共に模索する方法を理解し、学ぶのに役立つに違いありません。『神の民は、聖職者主義の誘惑に屈することなく、穏やかに共に歩む司祭と信徒を必要としている』という認識のもとで」と述べた。

 

*コッホ枢機卿「 エキュメニズムとシノダリティには相互関係がある」

 キリスト教一致推進省のクルト・コッホ枢機卿は、シノドスのエキュメニズム(信仰一致)の側面について語った。 今総会にキリスト教他宗派や教会共同体の代表が参加したことが、信教一致の経験の核心であることを示していることを強調し、「洗礼は、私たちを結びつけるものであり、エキュメニズムの基礎であり、シノダリティ(共働性)の基礎。総会での共通の祈りは非常に重要です。これからも、私たちは共に祈り、共に歩みます」と語った。 

 また教皇が言われるように、この”シノドスの道”の歩みは、エキュメニカルでなければならず、エキュメニカルな旅はシノダル(共働的)でなければなりません。なぜなら、エキュメニズムとシノダリティには相互関係があるからです。エキュメニズムは、宣教活動として始まったことを、思い起こす必要があります」と述べた。

*西・南欧正教会のヨシフ主教「世界中のキリスト教徒の間で友愛が築かれつつある」

 兄弟教会の代表として総会に出席した西および南欧正教会のヨシフ主教は、 「正教会として、私たちはこの”シノドスの道”に参加できることを非常にうれしく思っています」としたうえで、カトリック教会と正教会の対話のための国際合同委員会でシノダリティと優位性についての考察が10年間続いてきたことを指摘。「緊張と分裂が特徴となった長い年月を経て、世界中のキリスト教徒の間で真の友愛が築かれつつあります。 私たちは、私たちを結びつけるものを共に探します」と強調した。

 そして 協力の一例として、イタリアでカトリック教会がルーマニア正教会に300以上の教会施設を貸し出していることを挙げ、 さらに、欧州や世界中で生まれた数多くのカトリック信者と正教会信者による家庭からの証言を通じ、「エキュメニズムは草の根レベルから進んでいます」と付け加えた。

*世界ペンテコステ連盟代表のオニーナ師「総会への招待は、教皇とカトリック教会の他宗派への謙虚さを示した」

 世界ペンテコステ連盟の代表でガーナのペンテコステ教会の元会長で、今総会に出席したオプク・オニーナ氏は、国際カトリック・ペンテコステ合同委員会のメンバーでもある。

  「エキュメニカル団体や他の教会への総会への招待状は、教皇、そしてカトリック教会の他宗派に対する謙虚さを示すもの」としたうえで、総会の討議の進め方は「非常に解放的で透明性があり、人々に意見を共有する平等な機会を提供している。参加者の発言などを通しての総会への貢献は非常に重要であると考えられています」 と述べ、「これは、カトリック教会が実証してきたもののうちでも、最高レベルの成熟のしるし」と評価した。

*ポーランド聖公会会長のガンデツキ大司教「他宗派、未洗礼者が参加する会合で不和が起きなかったことに驚き」

 ポーランド聖公会の会長のスタニスワフ・ガンデツキ大司教は自身の経験について語り、「キリスト教他宗派の信者、ユダヤ人、そして洗礼を受けていない人を招待したにもかかわらず、不和が避けられた」ことに驚きを表明。

 「そのようなことは、この種の会議で、めったにありません。異なる立場の人の出会いで、このようなことが起きることはありません」としたうえで、「 この総会では、まず自分の考えを語り、次に他の人の意見に耳を傾け、最後に、たとえ沈黙の形であっても議論に参加する、という積極的な方法がとられました。そして私たちは、『聖霊の助けを得て対話する方法があり、教会の外でもこの世界に平和的な議論をもたらし、戦争や世界規模の紛争などの問題を前進させることができる』ということを実証することができました」と評価。

 エキュメニカルな側面についても、「この”シノドスの道”は、信仰告白、精神、文化の違いを互いに尊重しつつ、一致に向かって進んでいます」と強調した。

*国際カトリック・メソジスト合同委員会のクリフォード教授「『受容的エキュメニズム』の重要な経験となった」

 カナダの首都オタワのセントポール大学の組織歴史神学の教授で、国際カトリック・メソジスト合同委員会のメンバーでもあるキャサリン・クリフォード博士は、北米のシノドスの道”の歩みの代表として会議に参加している。

 世界中のすべての司教が、このシノドス総会の優先事項としてシノダリティ(共働性)を取り上げることに賛成したのは、「教会によって養われてきた長い成熟過程における数十年の熟考の成果」と評価。

 カナダにおける”シノドスの道”の今総会前の歩みに関しても、「キリスト教他宗派の代表者たちとの間で重要な意見交換が行われ、シノダル(共働的)な教会の統治の実践に関する経験を私たちと共有しました。 これは、私たちが『受容的エキュメニズム』と呼ぶものの重要な経験であり、互いの慣行の最良のものから学び、私たち全員が福音をよりよく生きるために刷新と成長の必要性を認識できました」と述べた。

 さらに「シノダリティは、諸教会の完全な和解を目指す私たちの共通の歩みにとって好ましい模範にもなりました。 全人類の救いの源であるイエス・キリストに対する私たちの信仰は、私たちを分断し続けている問題よりもはるかに偉大です」と強調した。

*記者団との一問一答

「教会を神の民として、もっと真剣に受け止めるように」という教皇の指摘は重要」

 クリフォード博士は、「教会を神の民として、もっと真剣に受け止めるように」と教皇フランシスコが呼びかけられたことの重要性を指摘。「過去30年間、神学者の間で教会の共通理解について重要な議論が行われてきました。この教皇の言葉が、教会を『交わりと神の民の神秘』とみなす第二バチカン公会議の教えと類似していることは、注目に値します」と述べた。

 ガンデツキ大司教は、ポーランドの司祭の育成について、「訓練期間は7年間に延長され、司祭候補者が効果的に訓練されるようさまざまな科学t的手法が使われ、将来の司祭が、世間から孤立した司祭にならないように、他者との関係を育むようにしている」と説明。

  新しい福音宣教におけるエキュメニズムの役割について尋ねられたコッホ枢機卿は、「これは重要な問題」と述べた。ガンデツキ大司教も「福音宣教は、ユダヤ人と教会共同体の両方の活動に伴うもの」と述べ、 時のしるしを識別する必要性について、聖性の証人として若い福者カルロ・アクティスの例を挙げた。 クリフォード博士は、教皇フランシスコが使徒的勧告「福音の喜び」で宣教的回心を呼びかけておられる、と指摘した。

「シノダリティは、合意形成に難しさがある」

 また、来年10月の総会第2期に、今総会の同じメンバーが参加するのか、との記者の問いに、ルッフィーニ長官は「そのようになる見通しだ」と答えた。

 正教会の経験からみたシノダリティ(共働性)の限界について尋ねられたヨシフ主教は、「合意形成に難しさがあります。『信者の信仰が、私たちの奉仕の中心』という認識を皆が持っていれば、シノダリティを持って進むのは容易なのですが」と本音を明かした。

・召命の欠如と既婚男性の司祭叙階の可能性-「最も議論されたトピックではない」「アマゾン・シノドスで出されたが教皇が却下」「正教会では千年以上続いてきた、カトリック教会でも可能性はある」

 記者からの 最後の質問は、「司祭への召命の欠如と既婚男性の司祭叙階の可能性」だったが、ルッフィーニ長官は、今回の総会の議論で、この問題にも触れたが、「最も議論されているトピックの一つではありません」と答えた。

 コッホ枢機卿は、アマゾン地域シノドスでこの問題が議論されたことを指摘しつつ、「教皇が『極めて多くの声に耳を傾けてきましたが、聖霊の声は聞いていません』とされたため、最終的な判断はなされなかった」と説明。

 またヨシフ司教は、 「私たち正教会では、千年以上も既婚の聖職者が続いてきました。それは、カトリック教会にもその可能性があることを、カトリック教徒に思い起させます」と述べ、 クリフォード博士は、「今総会で、このテーマが議論されなかったわけではありません」と語った。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年10月27日