米国カトリック司教協議会(USCCB)が19日、国内の各教区でこれまで10か月にわたって進められてきた”シノドスの道”の歩みについて報告書としてまとめ、英語版、スペイン語版として公表した。報告書はすでに8月29日にバチカンのシノドス事務局に送られているが、全国の178教区はじめ、カトリックの団体、組織、様々なグループなどから届けられた290の歩みに関する文書がまとめられている。
各教区では合わせて何千もの信徒たちの声を聴く機会やその他の行事が行われたが、歩みへの参加者は約70万人で、全米のカトリック教徒の1%にとどまった。
報告書は、「永続的な傷」「聖体拝領と典礼への参加」「福音宣教のあり方」「識別の関わり」の4項目に整理されているが、10か月にわたる各教区の歩みの中で多く指摘されたのは、「聖職者による性的虐待や新型コロナウイルス感染が教会活動に与えて続けている深刻な影響」「ミサ典礼に関して旧ラテン典礼をめぐる二極化現象が強まる中での教会一致のあり方」「規則や規制よりも信徒の『生きた現実』を優先する、広く開かれた教会の必要性」などだ。
また、各教区に共通する要望として出されたのは、「キリストの弟子としての霊的、司牧的、また教理面での生涯養成」、「教会活動への一般信徒のより深い関与」、さらに、「教区や地域社会における女性の信徒、聖職者の指導、識別、意思決定の役割の強化」としている。
報告書の巻頭文で、USCCBの教義委員会のダニエル・E・フローレス委員長(司教)がこの報告書について、”シノドスの道”の歩みにおいて、「聖霊の助けによって呼び覚まされた喜び、希望と傷を合わせ、まとめていく試み」と述べ、その公表は、「教皇フランシスコが、神の民としての私たちに求めたことに応える、米国の教会にとって重要な瞬間」だが、それは「終わりの瞬間」ではなく、米国のカトリック教徒の心に重くのしかかっている事柄について「共に耳を傾け、議論し、教会として識別し、理解し、行動する最善の対応策を取るようにとの呼びかけ」だ、と指摘した。
来年10月のバチカンで世界代表司教会議(シノドス)に至る”シノドスの道”は、今後、来年春を期限とする世界の各大陸レベルへと進む予定で、米国はカナダと二か国で”北米”の歩みをすることになる。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)