*議論すべき課題
これまでに明らかになった特定の課題について、書簡は、「一部の課題については世界の全教会のレベルで、またバチカンと協力して、熟考される必要がある」と説明。 具体的には、「ラテン典礼に関する教会法典(CIC)、および東方典礼に関する教会法典(CCEO)の見直しを念頭に置いた予備調査」「 叙階司祭の育成に関する教会法の規定」「教会における司教と修道者の相互関係に関する文書『Mutuae Relationes』、「助祭職、特に女性の助祭叙階を認めることに関する神学的および司牧的研究の深化」などを挙げている
これらの課題のリストは、シノドス会議の成果として教皇に提出されることになる。 全大陸から選ばれた専門家グループは、シノドス事務局が調整役となるバチカンの担当部局とともに、教皇が示した課題について「シノドス的な進め方」で取り組むよう求められ、取り組みの進捗状況についてはシノドス総会の場で報告されることになる、としている。
*福音宣教で「シノダル(共働的)な教会」となる方法に焦点を当てる
そして、来月に予定される(専門家グループの)議論は、「復活された主と、主の福音を今日の世界に宣べ伝える、唯一の使命の遂行にあたって、それぞれの信徒、それぞれの教会の、独自性のある貢献を高めるあり方と、そのために取るべき手段を特定するために、『宣教の使命においてシノダルな教会はどうあるべきか』という基本課題に焦点があてられる。
議論においては、「教会の構造をより効率的にするための技術的、手続き的な改善計画」に限定せず、「シノドスの一致と多様性のダイナミズムを持つ、宣教への取り組みの具体的な形を反映したものでなければならない」とし、教皇フランシスコの出された使徒的勧告「福音の喜び」の27項を引用している-「私は、すべてを作り替えるような宣教、という選択肢を夢見ています。 それは自己保存のためでなく、教会の慣習、物事の進め方、時間とスケジュール、言語と構造を、今日の世界を福音化のために適切に導くことができるように、すべてを変えることのできる宣教の推進力です。 司牧的回心が求める(教会の)構造の刷新は、この観点からのみ理解することができます-構造をより使命志向にする取り組みの一環として(…)」と。
*2つのレベルで歩みを進める
書簡で、新たに出された指示によれば、来年10月の総会第二会期に至る”シノドスの道”の取り組みは、「常に(シノドス総会第一会期の)総括文書全体を参照」しながら、2つのレベルでなされる必要がある。一つは、 現地教会レベルで、ここでは、「教会は、神の民のすべての成員の使命における多様な『共同責任』をどのように強化できるか」が課題となる。具体的には、「福音宣教の使命に関連する構造、識別プロセス、意思決定プロセスを、どのようにして共同責任を形成し、促進できるか」「 このような共同責任をよりよく表現するために、教会のどの部署や参加組織を刷新、あるいは新規に導入できるか」などだ。 教会と教皇との関係に関わる2つ目の レベルに関しては、「教会全体の次元と現地教会の根幹の動的なバランス」を見出すために、それらをどのように明確に表現するかが課題となろう。
以上すべてを念頭に置いて、シノドス事務局は、各現地教会にさらなる話し合いを進めるよう求めている。
*”ゼロ”から始めない
また書簡では、”シノドスの道”の歩みは、ゼロから開始されるわけではないため、「2021年から2023年の歩みの最初の段階で行われた、耳を傾け、如何を交換するプロセスを繰り返す必要はない」とも説明。 新たな段階では、教区レベルの参加組織とすでに確立されているシノドス・チームに加えて、「神の民の中でさまざまな経験、スキル、カリスマ性、奉仕活動を表現し、その主張を表明する人々やグループを巻き込むことが重要になる… これらには、神学者や教会法学者、地域の学術機関が含まれる」としている。