・シノドスの10の作業グループの検討対象に「女性の助祭職」も(Crux)

(2024.3.15 Crux  Senior Correspondent  Elise Ann Allen)

 ローマ 発– ”シノドスの道”を進める教皇フランシスコの命を受けて昨年10月と今年10月の二回にわたって開かれる世界代表司教会議(シノドス)第16回総会のグレック・シノドス事務局長、総括役のクロード・オロリッシュ枢機卿、国際神学委員会のピエロ・コーダ事務局長らが14日、昨年10月の総会で提起された特定の課題を検討するため、バチカンの10の作業グループを発足させたことを明らかにした。その中には、女性の助祭叙階、LGBTQ+コミュニティの受け入れの在り方などが含まれているという。

 「作業グループでは、女性の助祭叙階や同性愛者への対応などの問題を取り上げるか」との記者の質問に対して、コーダ国際神学委員会事務局長は、「当然、それらは検討課題に上っている」とし、「これらのテーマの考察には、さまざまな材料資料が含まれるだろう… (女性の)助祭職の問題は、シノドス総会で浮上してきたトピックであり、この問題を詳細に検討する必要について合意するかどうかについては、これまで教皇が過去に設けた二つの委員会では結論が出なかったが、今回は(作業グループで)詳細な検討がなされるでしょう」と説明した。

 

*司祭の独身性の是非は作業グループの検討対象にしない

 

 また、「ラテン(ローマ)教会と東方教会の関係を専門とする作業グループが、司祭の独身義務の問題に取り組むのか」との問いには、グレック・シノドス事務局長が「それはありません。昨年10月の総会第一期で、この問題が話題に上ることは一度もなかった」と答えた。

 オロリッシュ枢機卿も、「作業部会では、教会で議論されていることをすべて扱うわけではありません。(総会を含む”シノドスの道”の)過程で、神の民から示された論点だけを検討対象としている。私たちは”教会政治”をしているのではなく、(”シノドスの道”の)歩みに奉仕する者なのです」と語った。

*同性愛カップルの祝福を認めたバチカン教理省声明は見直さず

 

 教会内外で物議をかもしている「教義上、司牧上、倫理上の問題」を検討する作業グループが、「同性カップルへの祝福を認め、世界中から反発を受けている昨年12月のバチカン教理省の声明を見直すことがあり得るか」との質問に対して、オロリッシュ枢機卿は、「私にとって、この声明は、非常に重要で、素晴らしい文書。なぜなら、それは神がすべての人を、『不規則な状況』にある人たちも、愛しておられることを示しているからです」と指摘。

 そのうえで、「この声明は司牧的な文書であり、教義的な文書ではなく、シノドス総会とは何の関係もありません… 教理省と教皇がすでに決定したことは、シノドス総会で再び取り上げるべき問題ではないと思う」とし、「 個人的な見解」としつつ、明確に否定した。

*10の作業グループで扱うテーマは

 

 なお、同日のバチカンの発表によると、10の作業グループは、バチカンの関係省などと協力する形でシノドス事務局が運営にあたり、以下のテーマで詳細な検討を進める。

①東方教会とラテン教会の関係のいくつかの側面について

②貧しい人々の叫びに耳を傾ける

⓷デジタル環境における使命

④バチカン聖職者省の司祭養成基本要綱「Ratio Fundamentalis Institutionis Sacerdotalis(司祭の賜物)」について、宣教のシノダル(共働的)な観点からの見直し

⑤特定の奉仕形態に関する神学的および規範的な事項

⑥司教、奉献生活、教会の諸団体の関係に触れた文書の宣教のシノダルな観点からの見直し

⑦宣教のシノダルな観点から見た、司教の人物と職務のいくつかの側面(司教候補者の選出基準、司教の司法機能、世界の司教の定期ローマ訪問の性質とあり方)

⑧宣教のシノダルな観点からみた各国駐在バチカン大使の地位を持つ教皇の外交代表の役割

⑨物議を醸している教義、司牧、倫理の問題についての共通の認識のための神学的基準とシノダルな方法論

⑩教会の実践におけるエキュメニカルな旅の成果の受け入れ

*作業グループの検討結果は総会閉幕後、来年6月までにまとめ、教皇に報告

 以上の作業グループの創設を命じた教皇フランシスコは、グレック・シノドス事務局長への2月22日付けの書簡の中で、「グループはバチカン関係者だけでなく、世界中の専門家で構成され、彼らの専門知識だけでなく、世界中の現地の教会から集められた『神の民』の経験から得た、『最新の知識』も導入される必要があります」と希望されている。

 作業グループはすでに活動を開始しており、今年 10 月のシノドス総会第二会期で発表される作業計画を作成する任務を負っている。来年6月までに検討作業を終え、結果を教皇に報告するよう求められている。また、検討対象となる課題の範囲が広範にわたることから、国際神学委員会、聖書委員会、およびバチカン法制省との合意に基づいて設立された教会法委員会と緊密に連携している。

 作業グループを構成する専門家たちの選考に当たっては、世界の多様な文化的、地理的背景を持ち、多様な専門知識・経験を持ち、男性と女性の両方が含むことが条件とされた。

 

*教会のシノダリティの様々な側面検討の常設フォーラムも新設

 

 またシノドス事務局は、「教会のシノダリティ(共働性)」の、神学的、法律的、司牧的、霊的、コミュニケーション的側面をさらに詳細に検討するための「常設フォーラム」を設立することを明らかにした。また、10の作業グループは、「シノドス総会(での対話の結果)への対応として設けられたもので、総会の『一部』ではなく、シノダリティそのものに関して、総会の会期よりも長く続けることを目的とした『教皇の自主的な取り組み』」としている。

 関連して、オロリッシュ枢機卿は、報道陣に対し、「二つの会期にわたる今回のシノドス総会のテーマはシノダリティ(共働性)。(これまでの”シノドスの道”の過程で) 神の民からは多くの課題が出されたが、これらすべてをシノドス総会で扱うのは不可能だが、教皇は普遍教会の司牧者としての責任を引き受けられ、広く関心のある具体的な課題について称賛に検討を加えることにしたのです」と説明した。

 会見に参加したバチカン奉献・使徒的生活会省の次官、シスター・シモーナ・ブランビッラも、シノドス総会の役割は「様々な課題をあれこれと網羅的に取り上げるものではありません。重要なことは、世界の教会が、さまざまなレベルで(シノドス総会を含む、これまでの”シノドスの道”の歩みの成果を)シノダル(共働的)な手法でどのように反映させるか、を明確にすること」であり、広く関心のある重要なテーマに取り組む上でも「共に歩むこと」が必要、と述べた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年3月16日