(2023.4.17 Crux Managing Editor Charles Collins)
”シノドスの道”のオセアニア・カトリック司教協議会連盟による大陸レベル会合の最終文書がこのほど発表されたが、その中で先進国と発展途上国をメンバーとするこの地域での「緊張」が明らかになった。
*性問題、女性の役割、「死と復活」をめぐる教会の教義で意見に差
同司教協議会連盟は、オーストラリア、ニュージーランド、パプア ニューギニア、ソロモン諸島、および太平洋司教会議 (CEPAC) に加盟するクック諸島、フィジー、フランス領ポリネシア、グアム、キリバス、マーシャル諸島、ミクロネシア、ニューカレドニア、北マリアナ諸島、サモア、トンガ、ツバル、バヌアツ、ウォリス フツナで構成され、 この地域の東方カトリック教会 (ECC) も参加している。
最終文書で指摘された意見の不一致がもたらす「緊張」の中には、性の問題、性差をめぐる問題、 教会における女性の役割、「死と復活」などに関するカトリック 教会の教えの変化の可能性などがある。
*バチカン準備文書は、性的虐待による教会危機に十分な注意が払われていない
また、聖職者などによる性的虐待問題について、「いくつかの地域では、教会内での性的虐待の傷はそれほど前面に出ていないが、聖職者による未成年者などに対する性的虐待には懸念が高まっている。 いくつかの虐待はあるが、まだ人々の信仰に大きな影響を与えていない」との意見が出された一方で、「 虐待の犠牲者だけでなく、その家族、教区共同体、その他の聖職者など、教会全体に進行中の傷に注意を払う必要がある」とする声もあった、としている。
そのうえで、最終文書は、バチカンの準備文書には「聖職者による性的虐待がもたらしている教会の危機について、作業文書で十分な注意が払われていない」とし、「2021 年 4 月に教皇フランシスコによって始められた”シノドスの道”の歩みの中で、教会内での性的虐待事件の誤った取り扱いがさらに表に出された。 これは、既存の教会構造が適切な保護、優れた統治、および公正な救済を妨げているのか、可能にしているのかについての考察の必要があることを示している。これには、現地教会が専門的な基準と保護を改善するための努力を積極的に認識することも含まれる」と述べている。
*現地の慣習や文化を取り入れることにも意見に”緊張”
教会が現地の慣習や文化を取り入れることについても、意見の相違があり、「普遍教会の伝統を、『地域文化への一種の押し付け』、さらには『植民地主義の一形態』と見なす人もいる。また 『すべての文化がキリスト教の真理を表現し、すべての文化に神が存在する』との見方や、『キリスト教徒は、キリスト教布教以前の文化的慣習を取り入れたり、適応させたりすることができない』『司祭が尊重の役割を引き受けると、司祭は奉仕ではなく権力の象徴になる』との声もあった」という。
*修道会の役割、信仰の自由への迫害、生態系の危機に十分な注意が払われていない
また事前にバチカンから出された準備文書に対して、「オセアニア地域での海面上昇や環境と海洋の劣化の脅威を含む、生態系の危機に十分な注意が払われていない」との指摘や、「男女の修道者の貢献や霊性の模範、修道会の統治やリーダーシップなどに、さらなる反省が必要」、あるいは「結婚の召命と信仰形成における家族の役割をより深く認識する必要がある」と意見も出た、としている。
さらに、最終文書では、「中絶や安楽死などの人生の始まりと終わりの問題、および信教の自由を迫害する動きに対しても、注意を払う必要がある」とし、司教たちの意見として、このような率直な意見の表明、”緊張”の表明について、「私たちは”別の教会”を建てたいのではなく、愛する教会を刷新し、活性化させたいのだ」と強調。刷新と活性化は、個人の回心から始まり、共同体的および構造的な表現の中に見出される。 司教協議会は、誰も置き去りにしないことを目指している。 そのような教会で、私たちは互いに愛し合いながら共に歩んでいく」と決意を表明している。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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