A moment from the XVIII General Congregation of the General Assembly of the Synod of Bishops (Vatican Media)
(2023.10.25 Vatican News )
世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会の参加者たちが25日、全世界の司祭、修道者、信徒に向けた「a Letter to the People of God(神の民への手紙)」を賛成336、反対12で可決、発表した。この文書では、過去数週間の総会の動きを述べ、自分たちの経験したことに感謝し、これから来年10月の通常総会第二部に向けて、「すべての人が『シノドス』という言葉によって示される福音宣教者の交わりの力強い動きに具体的に参加する」ことへの強い希望を表明した。
「a Letter to the People of God(神の民への手紙)」の全文次の通り。
親愛なる姉妹、親愛なる兄弟の皆さん
世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会の第1会期が終わりに近づく中、私たちはこれまでの素晴らしく、豊かな経験を皆さんとともに神に感謝したいと思います。 私たちは皆さんとの深い交わりの中でこの祝福された時間を過ごしました。
私たちは皆さんの祈りに支えられ、皆さんの期待、疑問、恐れを受け止めて、総会に臨んでいます。 教皇フランシスコが2年前に”シノドスの道”の歩みを始められ、 聖霊の導きの下で「共に旅をする」ために、誰一人排除されない、神の民全員に開かれた「傾聴と識別の長いプロセス」が開始され、実質的に 9月30日から私たちはローマに集い、討議を進めてきました。
多くの面で、それは前例のない経験でした。 教皇フランシスコの招きによって、洗礼を受けた男女が初めて同じテーブルに座り、議論だけでなく、この総会の投票プロセスにも参加するように求められました。 私たちは共に、自分の召命、神から与えられた特性、聖務で補完しながら、神の言葉と他の人々の経験に熱心に耳を傾けてきました。 私たちは聖霊による対話という方法を用いて、聖霊が今日、教会に何を言おうとしているのかを、見極めることに努めつつ、あらゆる大陸の共同体の富と貧困を謙虚に分かち合いました。 私たちは、ラテン典礼の伝統と東方典礼の伝統との相互交流を促進する重要性も経験しました。 他の教会や修道会の兄弟の参加で、私たちの議論はより豊かなものになりました。
私たちの総会は、世界が危機的状況にある中でで開かれました。 そこに存在する酷い傷と不平等が私たちの心の痛いほど共鳴し、私たちの討議に特別な重みを与えてくれました。参加者の中には、戦乱の渦中にある国から来た方もいます。私たちは、悲惨な生活、為政者の汚職などで移民という危険な道を選ぶことを余儀なくされた全ての人々を念頭に置きつつ、致命的な暴力の犠牲者のために祈りました。正義と平和の実現のために努力を続ける世界中の女性、男性と共に、一致と決意を表明しました。教皇が勧めておられるように、互いに耳を傾け、聖霊における交わりを求める気持ちを育むために、沈黙の時間を大きく取りました。
総会冒頭の信仰一致の徹夜祭で、 十字架につけられたキリストを静かに観想する中で、私たちは、どれほど一致への渇望が高まるかを経験しました。 十字架は、世の救いのためにご自分をささげ、「彼らが皆一つになるように」と弟子たちを御父に委ねられた方の唯一の司教座です(ヨハネ福音書17章21節)。私たちは、主の復活でもたらされた希望で堅く一致し、地球と貧困者の叫びがますます緊急性を増している”共通の故郷”を主に委ねました。教皇が総会の初めに語られたように、私たちは司牧者、宣教者への回心の差し迫った呼びかけを、日に日に感じました。
教会に与えられた使命は、福音を宣べ伝えることであり、神が世に示された無限の愛をもって奉仕することを通して、福音を告げ知らせることです(ヨハネ福音書3章16節参照)。総会が開かれているバチカンの聖ペトロ広場のそばにいたホームレスの人々は、「教会に何を期待するか」との問いに、「愛だ!」と答えました。愛は、教会がいつも熱心に持ち続けねばならない。教皇は総会中盤の15日、全体会議で、幼子イエスの聖テレジアの「三位一体と聖体への愛」を思い起こされました。
総会で私たちが経験した「大胆さ」と「内なる自由」を与えてくれるのは「信頼」でした。それがあれば、自分たちの一致点、相違点、願望、疑問を、自由かつ謙虚に語ることに躊躇しません。そして今、これからどうするか。2024年10月の総会第2期までの期間に、誰もが、「シノドス」が示す宣教の交わりの力強い動きに具体的に参加できるよう、願います。シノドスは、イデオロギーに関するものではなく、使徒の伝統に根差した経験に関するものです。2021年10月、教皇は、”シノドスの道”を始められた時に、すべての人の参加を奨励され、「シノダリティ(共働性)を具体的に示すような教会の慣行を育てない限り、ミサ典礼と宣教活動は、何がしか抽象的なままになる恐れがあります」と語られました。
私たちの前には、さまざまな課題と多くの問題が残っています。
(今総会の閉幕時に発表される)総会Ⅰの総括文書では、これまでに合意した点を示し、未解決の問題を明らかにし、(来年10月の)総会Ⅱに向けた作業をどのように進めるかを提示する予定です。この過程でさらに識別力を固めていくためには、教会は、最も貧しい人々から始めて、あらゆる人の声に耳を傾ける必要があります。そのためには回心、そして賛美の道を歩むことです。
「天地の主である父よ、あな人々のたを褒めたたえます。これらのことを知恵ある者や賢い者に隠して、幼子たちにお示しになりました」(ルカ福音書10章21節)。このことは、そうした人々に耳を傾けることを意味します。社会で発言する権利を否定されたり、教会からさえも排除されていると感じている人々、あらゆる形の人種差別に遭い、特に、自己の伝統文化が否定されてきた先住民の人々の声に耳を傾ける必要があります。
そして現代の私たちの教会には、教会関係者による虐待の犠牲となった人々の声に、回心の精神を持って耳を傾け、虐待が二度と起こらないように、具体的、制度的に対応する義務があります。
また、洗礼を受けた女性、男性の声に耳を傾けねばなりません。多くの場合、福音宣教の先頭に立っているカテキスタに耳を傾け、子供たちの純粋、活発さ、若者たちの熱意、疑問や希望、 高齢者の夢、知恵、記憶にも注意を払うことが求められます。家庭、彼らの子弟の教育についての心配、今日の世界で家庭が提供するキリスト教の証しにも耳を傾ける必要があります。 奉仕活動に参加し、識別と意思決定の仕組みに参加したいと願う一般信徒の声を歓迎する必要があります。
シノダル(共働的)な識別をさらに前進させるために、教会は特に、聖職者たち、つまり司教の主要な協力者である司祭たちからの言葉や経験をさらに集める必要があります。司祭の秘跡の務めは教会全体の活動にとって不可欠です。助祭は、その職務を通じて、最も弱い立場にある人々に対する教会全体の配慮を示します。
教会はまた、聖霊の呼びかけの”見張り番”である奉献生活者の預言的な声によって、問いかけられるようにする必要があります。 信仰を自分と共有していないが真理を求めているすべての人々―その人々の中にも、過越の神秘に関わる可能性をすべての人に提供する聖霊がおられる—に注意を払う必要があります(Gaudium et Spes 22)。
私たちが住んでおり、たとえ矛盾があっても愛し、奉仕するよう求められているこの世界は、教会に、その使命のあらゆる分野で協力を強化することを求めています。
教皇フランシスコは、「神が三千年紀の教会に期待しておられるのは、まさにこのシノダリティ(共働性)の道です」(2015年10月17日)と言われました。。 この呼びかけに応えることを恐れる必要はありません。 教会の母マリアが旅の最初の方として、私たちの巡礼に同行してくださいます。 喜びのときも悲しみのときも、彼女は私たちに御子をお見せになり、信頼するように勧められます。 そして彼、イエスこそが、私たちの唯一の希望なのです!
バチカン市国、2023 年 10 月 25 日
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)