(2023.10.4 Vatican News By Christopher Wells)
教皇フランシスコは4日午前9時から聖ペトロ広場で、第16回司教会議通常総会の開会ミサを、およそ2万5千人の信者たちを前に、新任を含む120人の枢機卿、370人のシノドス参加司教と共に捧げられ、「信頼と喜びをもって、聖霊と共に歩もう」と呼びかけられた。
シノドス総会開会を付ける荘厳ミサは、教会、教皇、司教たち、そして教皇に託された群れ、そして一般の指導的立場にある人々、男女すべてへの神の保護と祝福を願う伝統的な聖歌Laudes Regiaeで始まった。
教皇はミサ中の説教で、その前に読まれたマタイ福音書に記されたイエスの地上での宣教における「困難な瞬間」を思い起こされ、「イエスは、先を見ることのできる眼差しを持っておられます。イエスは御父の知恵をたたえ、目に見えないところで育つ善いもの、素朴な人々に歓迎される御言葉の種、夜でも歩むべき道を示す神の国の光を、識別することがおできになります」と語られた。
そして、シノドス総会の開会に当たって、「私たちには、人間の戦略、政治的打算、イデオロギー的闘争で構成される”まったく自然”なビジョンは必要ありません。それよりも、私たちは御父を祝福し、疲れ抑圧されている人々を喜んで迎えてくださるイエスの眼差しと共に歩むためにここにいるのです」と強調。
さらに、「イエスは、拒絶に直面しているにもかかわらず、失望に囚われることなく、御父に目を向け、嵐の中でも落ち着きを保っておられます… そしてイエスは、私たちが神の働きを深く思いめぐらし、現在置かれている状況を識別できる教会となるよう、求めておられます」とされたうえで、 「分裂的で論争的な精神を持って今日の困難な課題と問題に顔を向けるのではなく、交わりである神に目を向け、畏敬と謙遜の心を持ってイエスを祝福し讃え、唯一の主としてイエスを認めるように」と語られ、 ベネディクト16世の言葉を引用しながら、シノドス総会が直面する「根本的な課題」は、「神が今の人々に語られた現実を、人々の救いとなるように、どうやって伝えるかにある」と指摘された。
また教皇は、「イエスはその生涯を通じて、最も弱い者、苦しんでいる者、見捨てられた者たちに対して、父なる神の喜びを持って迎える眼差しを向けておられ、私たちを喜び迎える教会に誘い、恐れることなく互いに出会うことを可能にする心を持つよう、呼びかけておられます… シノドス(共働)的な対話の中で神の民として共に歩む素晴らしい『聖霊における旅』で、私たちは主との一致と友情を深め、現代の課題を主とともに見つめることが可能となります」と説かれた。
教皇は説教の最後に、神の民に向けて、今日祝われている聖フランシスコの足跡をたどるように勧められ、イエスが聖フランシスコに「行って私の教会を修復しなさい」と呼びかけられたことを取り上げて、「今回のシノドス総会は、私たちに、母である教会がいつも浄化を一つ用としていることを思い起させるものとなります」と強調され、世界の信徒たちに、「謙虚さと一致、祈りと慈善、という福音の武器のみを取るように」と促された。そして、「シノドス総会は政治的な集会ではなく、聖霊において招集されたもの。二極化した議会ではなく、恵みと交わりの場です」とされ、 「聖霊は、私たちの予測や消極的な姿勢を超える新しいものを創造するために、しばしば私たちの予想を打ち砕きます… 総会の主人公である聖霊に心を開き、信頼と喜びをもって神と共に歩みましょう」と呼びかけられた。
**********(バチカン放送より)
「共に歩む教会のため − 交わり、参加、そして宣教」をテーマとする「世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会」は、初めての試みとして、地方教会レベル、大陸レベル、世界レベルにおける、3ステージを持った、一つの大きな「歩み」として準備されてきた。
2021年10月10日、バチカンでの開幕ミサをもって同シノドスの歩みが始まり、この後、2022年夏まで、第一ステージ、地方教会レベルでの、集い・傾聴・識別などの作業が行われた。次いで、2022年秋から2023年春にかけて、第2のステージである大陸レベルでの会議・考察・提案・総括などの歩みが続いた。
そして、「共に歩む教会のため」というテーマのとおり、地方教会から始まり、大陸別の集いと作業を経て、教会内のあらゆる役割の多くの人々の参加・協力を交えながら入念に準備されてきた同シノドスは、ようやく最終ステージである、ローマでの世界代表司教会議・総会の第1会期(2023年10月4日〜10月29日)を迎えるに至った。総会の第1会期終了後は、2024年秋開催の第2会期に向け、同シノドスの歩みは続いていく。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)