・「教皇の『Crux』インタビューでの答えは、性的虐待への対応における誠実さを反映している」と虐待の専門家が評価

(2025.9.29  Crux  Editor  John L. Allen Jr.)

Expert says Pope’s Crux interview reflects ‘authenticity’ in dealing with sex abuse

(写真は、イエズス会のハンス・ゾルナー神父=クレジット:IADC)

 ローマ発―カトリック教会における性的虐待対策の第一人者であるイエズス会のハンス・ゾルナー神父が28日、電子メールによるCruxのインタビューに応じ、教皇レオ14世が最近の『Crux』のインタビューで示した姿勢は、教会の虐待スキャンダルへの包括的対応を特徴づける「誠実さ」を反映している、と評価した。

 ゾルナー神父は、教皇庁立グレゴリアン大学の「人類学研究所―人間の尊厳とケアに関する学際的研究」所長。2014年から2023年までバチカンの未成年者保護委員会の創設メンバーとして活動し、現在も聖職者省の諮問委員およびローマ教区保護委員会のメンバーだ。

 インタビューでゾルナー神父は、教皇レオ14世について、「非常に誠実な人物であり、虐待危機の全容を認識しているだけでなく、あらゆる形態の虐待が適切かつ専門的、差別化された方法で調査・対処され、効果的に防止されるよう全力を尽くしている」と指摘。

 特に、教皇が『Crux』のインタビューで「キリスト教の道徳的教えに則りながら、罰と償い、懺悔と赦しを対立させずに加害者に対処する方法」という問題を提起したことにも注目した。教皇はまた、教会内虐待被害者への「真摯で深い共感と慈愛」を求め、「教会関係者は被害者支援の最善策を決定する際に専門家の助力を必要とする可能性がある」と述べるとともに、虚偽の告発の危険性にも警鐘を鳴らし、「教会は被疑者の適正手続き上の権利を保護しなければならない」とした。 また、「教会が虐待スキャンダルに完全に飲み込まれてはならない… それは、教会が果たすべき使命という観点から世界が求めるものに対する真の対応とは言えないからだ」とも語っている。

 ゾルナー神父は、長年にわたって虐待被害者保護に取り組んできた専門家たちが、「教皇の発言によって、自分たちのこれまでの活動が肯定的に評価されたと感じている」と述べた。

 教皇が言及した「虚偽の告発問題」については「教会関係者がこの話題に触れると、一部の被害者が嫌悪感を抱く理由は理解できるが、それでも教皇がこのように指摘されたのは、正しい」とし、「過去には、被害者が痛ましい経験をしているにもかかわらず、自分たちの権利が全く考慮されない一方で、被疑者の権利が全てを優先されるケースがあまりにも多いことを学んだ。被疑者の権利が議論される際、この経験と教訓が被害者に苦痛をもたらすことが多い」としつつ、「今日では状況が変わった… 幾つかの後退はあったものの、性的虐待事件を調査し対処するために教会が講じた多くの措置は、教会が過去の行動を改め、被害者を認め、彼らに正義をもたらすことに真剣であることを繰り返し示してきた」と語った。

 そして「この意味で議論は継続しており、今や被害者と被告人の権利が互いにどう関わり、どう均衡させるかをより深く考察することが可能かつ必要となっている」と述べ、「教皇が言われるように、教会は虐待問題に過度に集中して他の優先事項を軽視することがあってはならない」と指摘した。

 さらに、「『過剰』と『不足』の危険は常に存在する… もちろん、教会は虐待問題に対処する場以上の存在だが、虐待問題への対応は、教会にとって単なる”周辺的な課題”以上の意味を持つ」と強調した。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 インタビューの一問一答は次の通り。

 

Crux問:全体として、教皇レオ14世がCruxとのインタビューで性的虐待危機について語った内容をどのように受け止めたか?

 

ゾルナー答:率直に言って、グレゴリアン大学のIADC(国際虐待防止センター)のチームと私は、自分たちの取り組みが肯定的に評価されたと感じている。教皇の最近の発言は、私たちが長年取り組んできた問題に言及している。それらは一般社会や専門家の間では全く議論されていないか、ごく表面的にしか扱われていないか、あるいはさらなる精緻化が必要な問題だ。

 例えば、虐待やその原因などとの「単なる」闘いを超えた、保護活動の積極的な正当化をどうするか、福音とカトリック社会教説に沿い、脅威や不必要な負担なしに人間の総合的な発達を促進する手段としての保護活動の積極的で動機づけとなる基盤をどうするか、などだ。キリスト教の道徳的教えに合致した形で加害者に対処する方法、罰・償い・悔い改め・赦しを互いに相対化させずに扱う方法も、課題に含まれる。

 

 

問:教皇は、「何よりもまず、教会が人々が耐えてきた痛みや苦しみに、真摯で深い感受性と共感を示す必要がある」と語っている。今日の被害者の大半が実際に教会関係者から、そのような対応を受けていると考えるか?

 

答:普遍的な教会全体を見渡すと、この問いに明確かつ決定的に答えるのは難しい。これは大陸ごとに異なる各地方教会間の差異だけでなく、個々の地方教会内部の差異にも起因する。差異は被害者への感受性や思いやりの度合いだけでなく、その感受性や思いやりの質にも及ぶ。この「質」とは、単に意識の高低やそれに伴う同情・思いやりの意思の問題ではない。

 それ以上に、私たちは文化的影響を受けた感受性と思いやりが表現され実現される形態をより良く理解し分類し、それらを相乗的に結びつけるという実践的・科学的課題に直面している。教皇が感受性と思いやりの問題に取り組むよう呼びかけた点が、まさにこの点において非常に強い主張となっている。

 

 

問:教皇はこう述べている—「おそらく私たちの多くは、被害を受けた人々が苦しむ中で最善の伴走方法を学ぶ初心者でしょう。専門家の助けを借り、被害者を支え続ける必要がある分野の一つだと考えます」と。あなたは専門家の一人として、この発言に励まされたか?

 

答:この発言は私たち全員にとって非常に励みになる、前向きな発言だ。専門的に主に保護活動に携わる者だけでなく、ボランティアとして、あるいは聖職者・奉献生活者・教会の責任分野で働く者として、保護の理念に基づいて自らの仕事を新たな方向へ向けようとする者にとってもそうだ。

 学び、それによって成長する必要性を指摘することで、教皇は大きなプレッシャーを取り除いている。そのプレッシャーとは、「完璧でなければならない」という思い込みに他ならない。特に虐待問題において、このプレッシャーは逆効果で、行動を阻害する。被害者の苦しみと教会の長年にわたる対応の失敗を考えれば、この問題に取り組むこと自体が重荷に感じられるのだ。

 誰も「過ちを犯したい」とは思わない。誰もが「最善を尽くし、真摯な献身を示そう」とするが、失敗は日常の一部だと気づく。人間の限界を考えれば、失敗はほぼ避けられない。重要なのは、保護活動を含む過ちや失敗から学び、新たに始め、善へと一歩一歩進む決意を持ち続けることだ。これら全ては、性的暴力の被害者が必要とするもの、彼らの権利と信徒共同体の中心における彼らの立場のためにある。

 

 

問:教皇は、虚偽の告発の可能性について警告し、「被疑者の適正な手続きの権利が守られねばならない」と述べ、「時にそれ自体が被害者にとってより大きな苦痛の原因となる」とされた。実際のところ、被害者にとって被告人の権利保護について語ることが苦痛となるケースは多いのか?

 

答:まず、性的暴力の被害者は自分自身の利益、権利、主張だけを考える権利を当然、持っているということを確認したい。彼らは、被告人の権利やその権利が守られているかどうかを気にする必要はない。それは教会法廷など他の者の責任だ。また、被告人の権利保護を担う者たちは、被害者から「被害者を犠牲にして、被告人の権利保護をすることはない」と信頼されねばならない。これこそが過去の最大の問題の一つだった。

 被害者は痛ましい経験を通じて、「あまりにも頻繁に自らの権利が全く考慮されず、被告人の権利だけが全てを支配すること」を知った。この経験と教訓こそが、被告人の権利が議論される際に、被害者に苦痛をもたらす原因となるのだ。

 古い有害なパターンが再び根付くのではないか、という懸念は理解できる。この文脈において、教皇の発言は特に重要だ。彼は被疑者の権利について語っているが、被害者を無視することなく、彼らの感情状態や正当な要求に言及し、その痛みを言葉にしている。

 

 

問:被疑者の権利への注目が不十分だった、という見方に同意するか?

 

答:その質問に答える前に、改めて一つのことを確認せねばならない。教会内の責任ある立場にある者たちは、これまで余りにも長く、余りにも頻繁に、加害者と教会の名声を守ることだけに関心を寄せてきた。性的暴力の被害者は事実上無視され、その苦しみは軽視され、権利は軽んじられ、声は封じられてきたのだ。

 教会がこの失敗に気づいた時、性暴力の被害者が注目の的となるのは必然だった。そうでなければ説明が困難であり、長年行われてきたこと、つまり教会が他の手段を用いて結局は加害者の側に立ち、被害者の権利を守らない試み—と解釈されていただろう。

 幾つかの挫折はあったものの、性的虐待事件を調査し対処するために教会が講じた多くの措置は、教会が過去の行動を改め、被害者を認め、彼らに正義をもたらすことに真剣であることを繰り返し示してきた。この意味で議論は継続しており、今や被害者と被疑者の権利が互いにどう関わり、どう均衡させるべきかをより深く考察することが可能かつ必要となっている。

 これは、適正な手続きを経て有罪判決を受けた被告が、有罪が確定したケースにも当てはまる。有罪判決と刑期を終えた後の加害者への対応、そしてこの文脈でどの標準化された手続きが適切かという問題は、世界のほとんどの市民社会と同様、依然としてほとんど解決されていない。

 

 

問:教皇はまたこう述べている。「教会全体がこの問題だけに集中させるわけにはいかない。それは、教会が使命として世界から求められていることへの真の応答とは言えないからだ」と。教会の使命における他の優先事項を犠牲にして、性的虐待問題に過度に焦点が当てられる危険性があると思うか?

 

答:過剰と不足の危険は常に存在する。もちろん教会は単なる虐待問題の処理場ではないが、虐待問題は教会にとって単なる”周辺課題”ではない。これは福音のメッセージにおける核心的焦点の一つだ。傷ついた者、弱い者、脆弱な者、虐待された者、周縁化された者への配慮という重大な課題であり、イエス・キリストが伝え実践したものである。

 では、教皇が示唆する「偏り」をどう回避するか?結局のところ、虐待問題を教会の全体的な生活、その省察と行動の枠組みに適切に統合することだ。これはまさに私たちがIADCにおける学術的・教育的活動で長年取り組んできたことだ。

 私たちの主張の核心は、脆弱な状況にある人々の安全への配慮としての「セーフガード」は虐待を経験した者、あるいは虐待の危険に晒されている者すべてに対するものであり、人間の全人的な発展への貢献である、ということだ。それは教会の使命の一部であり、性的暴力の被害者が当然に受けるべき権利である。

 性的虐待被害者に対するセーフガードには、二つの解釈の前提がある。

 第一に、虐待の教育・対応・予防のためには、被害者間の個体差を顧みず可能な限り、すべての人間が神の子供として与えられた可能性をさらに発展させることが必要である。それは将来への展望と、自己の成長及び自らの人生を形成する主体性へのアプローチを意味する。

 第二に、性的暴力の影響を受けた人々と共に、そして彼らのために安全を守ることは、教会が一般の人々に対して行う基本的行動と奉仕の模範である。あらゆる人間は本質的に脆弱であり、たとえその脆弱性が誰にも悪用されない幸運な立場にあっても、この脆弱性に対処する方法を学ばねばならない。

 これら二つの解釈的前提から、以下の結論を導く:

 第一に、性的虐待問題への孤立した焦点は、教会生活の表現における不均衡を招くだけでなく、保護活動に根ざした相乗効果の喪失にもつながる。性的虐待に関する議論は出発点に達したものの、終着点には至っていない。

 第二に、内容面から安全確保を通じて発展させる相乗効果の可能性には、構造的な対応が必要だ。具体的には、性的暴力事例に限定して安全確保を扱う担当のポストや委員会、作業部会などの構造は、孤立した結果を生む。それらは常に、教会の「真の」活動や使命とは別の「特例」として現れる。

 保護対策の成果をネットワーク化し、統合的に実現し、虐待現象への関心を教会の使命の重要な一部と捉えるなら、前述の人事・構造は、より広範な統合的制度枠組みに組み込まれる必要がある。これは解釈の基調を定め、ネットワーク化と連結のための制度的機会を提供する。保護対策の場合、これは保護対策が統合される制度的枠組みが、キリスト教的人間学に基づく「人間全体の総合的発展」という積極的なテーマによって特徴づけられることを意味する。

 

 

問:これまでの教皇レオ14世の性的虐待危機への対応をどう評価するか?

 

答:安全確保の分野では、一つの基準が極めて重要だ。それは「真正性」である。言い換えれば、「言葉と行動の一致」であり、これが信頼と献身の基盤となる。これ無しには、安全確保の中核である安全な空間・構造・関係性を構築するいかなる努力も実を結ばない。レオ14世がアウグスチノ会の総長であった頃、そして後にペルーの司教として、私は彼が非常に誠実な人物であることを知る機会があった、虐待問題の全容を認識しているだけでなく、あらゆる形態の虐待が適切かつ専門的、差別化された方法で調査・対処され、効果的に防止されるよう全力を尽くしてこられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年9月29日

・米カトリック・ニューオーリンズ大司教区、聖職者による性的虐待事件で総額2億3000万ドル(約340億円)を被害者たちに支払う和解案で合意

(2025.9.9 Crux   Jack Brook,  Associated Press)

 米国のカトリック、ニューオーリンズ大司教が8日、聖職者による性的虐待の被害者たちに対し総額2億3000万ドル(約340臆円)の和解金を支払う和解案で合意した。、被害者弁護団が8日発表したもので、この合意により、カトリック教会で相次いでいる賠償訴訟の中で、同大司教区で長年にわたって続いていた問題の最終解決に向けた道が開かれたことになる。

 今回の合意について、被害者弁護団は、「被害者たちの『ノー』の力が大司教区を動かし、大幅な増額を実現した」とし、大司教区は声明で、改定和解案を「全ての申し立て生存者の利益となる重要な前進」と述べた。。

 被害者は10月下旬までに和解案の承認可否について投票し、3分の2が承認が得られれば、来年にも支払いが開始される。被害者弁護団のブラッド・ナップ弁護士は、「現時点で、この和解案に反対する虐待被害者側の弁護士は一人もいない。弁護団の全員が支持している以上、否決される可能性は極めて低いと思う」と語っている。

 非営利団体BishopAccountability.orgのテレンス・マッキアナン代表によれば、大司教区の破産手続きは、性的虐待に関連する米国で進行中のカトリック教会破産事件十数件の中でも、最も長い年月を要しているものの一つ。米連邦裁判所で破産手続きを監督するメレディス・グラビル判事は、「この和解案が承認されない場合、事件を却下する」と警告している。

 無担保債権者公式委員会が公表した書簡によれば、破産和解が失敗した場合、被害者は新たな訴訟を通じて虐待被害の賠償を求める必要が生じ、裁判で決着するまでにさらに数年を要する可能性がある。また、大司教区が支払いを遅らせるために再び破産を申請する可能性も出て来ることになる。同委員会は破産事件における虐待被害者の利益を代表し、被害者に和解案の受け入れを促し、個別の虐待被害訴訟を裁判所に持ち込むことは、「攻撃的で敵対的な」大司教区との困難な対立を招き、被害者やその友人・家族が厳しい証言録取や長年の控訴手続きに巻き込まれ、被害者の「精神的・心理的苦痛」を悪化させる可能性が高い、と警告している。

 「多くの被害者は、この問題を解決する準備ができている」と、数十人の被害者を代理する弁護士クリスティ・シューベルトは述べた。「多くの被

害者は今すぐ一定の金銭を受け取りたいと考えている」と言うが、被害者の一人、ケビン・ブルジョワ氏は、「金銭的補償には限界があります。被害者が人生を再構築するために残りの生涯を費やす必要を考慮すれば、真に公平と言える金額など存在しない」と語る。

 ニューオーリンズ出身の彼は聖職者による性的虐待を受け、2020年以前に私的和解を成立させていた。彼は、教区による破産手続きが、「人々を疲れさせ」、虐待を助長した実態を公に隠蔽する手段となっている」とも指摘した。

 5月に大司教区が提示した和解案では、「大司教区が外部専門家を招き児童保護プログラムを評価させ、改善策を提言すること」を義務付けている。また大司教区は、「虐待関連文書を保管する施設を設けること」や「被害者が大司教と経験を共有できる公開フォーラムの開催」などを約束する内容になっていた。

 ニューオーリンズのグレゴリー・M・エイモンド大司教は8日の声明で「虐待被害者の利益となる形でこの破産手続きを完結させることに、私は強い希望と決意を抱いています… 毎日、虐待被害者のために祈っていること、そして彼らと会い、話を聞く機会を心待ちにしていることを知ってほしい…」と述べている。

 エイモンド大司教は、数十年にわたり司祭に対する告発に対処しなかった教会の失敗をめぐり、辞任を求める被害者たちの声に抵抗してきた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年9月14日

・中央アフリカ共和国で司祭による性的虐待の訴え、隠蔽を告発された司教は否定の声明(CRUX)

(2025.7.25 Crux   Africa Correspondent Ngala Killian Chimtom)

 カメルーン・ヤウンデ 発– 中央アフリカ共和国(CAR)のカトリック司教が16日に発表した声明で、教区司祭が関与したとされる性的虐待事件について沈黙し、隠蔽したとの、別の教区司祭からの告発を否定した。

 この司教は、ムバイキ教区のイエス・ルイ・モリーナ司教。声明で司教は、アラン・レ・パトリック・モコパメ神父から出された告発を「噂、不正確な情報、歪曲された解釈」にるものであり、「事実関係を明確にする必要を感じた」と述べた。

 モコバメ師は、司教が教区の司祭による性的虐待事件に対して、沈黙を保ち、事実上”共謀”したとして告発していた。告発は、モコパメ神父が7月13日に司教総代理のポストを解任された直後に発表されたが、これが教区内で、モリ―ナ司教に対する幅広い抗議を引き起こし、一部のカトリック信者が聖体祭の式典中に鍋を鳴らして抗議デモを行った。司教の住居への不法侵入も発生している。 

 モリーナ司教は声明で、こうした抗議行動を非常に強い言葉で非難。「鍋を使ったデモや司教の住居への無断侵入は、教会精神にも、私たち全員が呼びかけられている”シノドスの道”にも反する」とし、教会は「対立の場でも政治の舞台でもない」と述べた。

 また、モコバネ師を司教総代理ポストから外したことについては、「この人事は司教の専権事項であり、対立ではなく共働の精神で行うもの… 総代理は、司教が自由に選択して協力を求める司祭。司教のライバルではない」と語った。

 

 

性的虐待の告発

 

  司教が隠ぺいしたとされる教区司祭による性的虐待については、匿名での小児性愛の告発がもとになっているが、司教は声明で「これは虚偽。私は、カトリック教会と共に、いかなる形態の性的虐待にも断固として反対し、これらの行為を常に明確かつ厳格に非難してきたことを宣言する」とする一方、告発を受けた後になって「被害者を支援するための措置が講じられた」と弁明。

 「モコパメ神父に180ドルを渡し、被害者が婦人科医の診察を受けるための費用に充てられたが、医師の診断では、暴力行為の物理的証拠は見つからなかったと結論付けられている。また、被害者と加害者とされている神父の両方に心理士が派遣された」と述べた。

 また、声明で、「中央アフリカ司教会議が任命した公式の調査官が率いる公式な教会法に基づく調査が、当時、未成年者保護委員会の長だったモコパメ神父による初期調査と並行して行われ、その後、場士官の教理省に付託された。だが、教理省は2023年4月、関与した人物が未成年者ではなかったため、管轄外と判断した」。これと前後して、「2023年1月16日に、教区がこの件を自国の司法当局に通知し、教区が提供した教会の記録を基に独立した調査が開始された」と説明。

 

 モコパメ師は、「司教が加害者とされる司祭の出国を助けた」と非難していたが、司教はこれを否定。「(出国の)決定は、弁護士から『入国と出国は自由にできる』と通知を受けた後、被告の司祭自身が下したもの。私はこの件について相談を受けておらず、承認もしていない」と述べた。

 

 司教はさらに声明で、加害者とされている司祭が福音宣教省に対し、「司教が民事当局に事件を不適切に伝えたとして告発した」ことを明らかにするとともに、同司祭に「真摯な対話」を呼びかけ、「全員が真摯に共感を再建する決意がある限り、和解と対話への準備は継続する」とした。

 最後に、司教は、教区の教会共同体コミュニティに対して、祈りで団結し、平和のために働くよう求め、「主が私たちの過ちと、私たちを傷つけた者の過ちを赦されますように…  全員が役割を果たせば、平和は可能になります」としている。

 聖職者による性的虐待のスキャンダルは、2002年に米国の有力紙、ボストン・グローブが発表した虐待に関する報告で、初めて大々的に明るみに出され、世界中で聖職者の性的虐待が表面化。いまだに性的虐待と高位聖職者による隠ぺいに対する訴えが後を絶たないが、今回の中央アフリカの問題も、カトリック教会における虐待と隠蔽の”普遍的な性質”を浮き彫りにしている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年7月26日

所属司祭(当時)による女性信徒性的暴行でカトリック修道会・神言会に損害賠償を求める裁判10回目開く―被告・神言会「不法行為はない」と全面否定

(2025.7.23 カトリック・あい)

現在東京在住のカトリックの女性信徒が、会員司祭(当時)から繰り返し性的暴行を受けたとして、所属修道会の神言会日本管区に対して損害賠償を求める裁判の10回目が23日午前11時から、東京地方裁判所第615号法廷で開かれた。

前回裁判で原告代理人弁護士は準備書面で、被告・神言会から入手した報告書をもとに10項目以上にわたる性的暴行を働いたとされる会員司祭の行為に関する同修道会の不法行為を指摘していた。

23日の裁判には、被告代理人弁護士が、準備書面で、指摘された10項目以上のものは、全て「不法行為には当たらない」とした。

この中で、原告側が、当該司祭を出国させたのは、「追及を逃れさせるため」と指摘したのに対しては、「そのような意図はない」と否定。同修道会がその際に、当該司祭に100万円を渡し、逃亡を助けた、との指摘には、「あくまで生活資金」であり、指摘された行為には当たらない、などと答えた。

また裁判長から、被告代理人弁護士に対して、当該司祭が、女性に性的暴行を繰り返したとされるのは長崎教区の西町教会の主任司祭で、その後、東京教区に移り、さらに名古屋教区に移ったとされているが、修道会日本管区と日本のカトリック教会の教区などの組織上の関係を、次回裁判までに、明確に整理して説明するように、と”お願い“がなされた。

裁判を傍聴していた約30人の一人の司祭は、当該司祭の卑劣な行為、それをかばおうとする神言会の姿勢に、「どうしてこのようなことになるのか、同じ聖職者として理解できない。修道会も人を選んで司祭に叙階しているはずだが・・ そのような体制が機能していないように思われる」と強い疑問を呈していた。

次回の裁判は10月1日午後4時から615法廷、次々回は12月1日午後3時から606法廷で開催の予定。判決の前提となる証人尋問は来年1月の見通しだが、原告の田中時枝さんが初回から毎回出廷しているのに対し、代理人弁護士にまかせきりで、まだ一度も出廷していない神言会の日本管区長、当該・元司祭がどうするのか、今から注目される。

 

2025年7月23日

改・所属司祭(当時)による女性信徒性的暴行でカトリック修道会・神言会に損害賠償を求める裁判10回目が23日午前11時から東京地裁で

(2025.7.22 カトリック・あい)

 東京在住のカトリックの女性信徒に繰り返し性的暴行をしたとされる会員司祭(当時)が所属していた修道会の神言会日本管区に対して損害賠償を求める裁判の10回目が、7月23日午前11時から、東京地方裁判所第615号法廷で行われる。裁判後には、千代田線表参道駅から徒歩8分の青山外苑法律事務所(渋谷区神宮前 5-44-6)で説明会・支援者集会が予定されている。

 6月4日の前回裁判で、原告側は準備書面で、神言会から入手した会員司祭の行為に関する報告書をもとに10項目以上にわたる同修道会の不法行為を指摘した。被告神言会の代理人弁護士からは、準備書面を読み込む時間が無かったことなどを理由に反論はなかったが、22日の裁判で、どのような対応をするか注目される。

 前回裁判の準備書面で明らかにされた神言会が会員司祭(当時)に関して2018年以降まとめて来た報告書をもとに、原告代理人弁護士が指摘した主な内容として、裁判後の支援者集会で説明された内容のポイントは次の通り。

 ①問題の会員司祭は、被害者の訴えをもとに、神言会の日本管区の責任者が繰り返し問うても、訴えの性的加害について「やっていない」と絶対に認めようとせず、そればかりか、「被害者の妄想」とまで言った。

 ②(神言会は)このままでは、逮捕されたり、民事訴訟になるかも知れないので、出身国のチリに返すしかない、と100万円を与えて出国させた。

 ③これと前後して、本人は自分から神言会を退会し、司祭職も停止されていたが、2020年に日本に再入国し、信徒の女性と結婚して、日本で暮らし、同年10月にはその女性から神言会の日本管区にその旨の報告があった。だが、同管区は、原告被害者とその代理人弁護士には「本人はまだチリにいる」と言い続け、再三の追求に、「2020年7月に、再入国を初めて知った」と認めたものの、居住場所については「知らない」と言い続けた。昨年からの裁判の過程で、被告・神言会の代理人弁護士が、ようやく”首都圏”に本人がいることを認めたが、具体的な住所、連絡先は明らかにしないままになっている。

2025年7月22日

・ペルーの信徒団体による虐待の犠牲者たち、教皇の活動停止処分決定後の対応の遅さに不満

(2025.7.21 Crux  Senior Correspondent  Elise Ann Allen)

 ローマ発-ペルーを拠点とするカトリック信徒団体「 Sodalitium Christianae Vitae (SCV)」が性的虐待を含む虐待行為を広範に行っていたとして、教皇フランシスコから活動停止処分を受けたが、被害者たちは、その後、現地裁判所が出したSCV関連企業の行為を不当する判断などを評価する一方で、カトリック教会の司法面での対応の遅さと組織的な意思疎通の欠如を批判している。

 同国のカトリック信徒、ルイス・フェルナンド・フィガリが設立した信徒団体「 Sodalitium Christianae Vitae (SCV)」は今年初め、教皇フランシスコが亡くなる直前に、活動停止処分を受けた。バチカンで性的虐待問題を担当する教理省のシクルナ大司教による徹底した現地調査の結果をもとに、この信徒団体の本部と支部全ての活動を停止させるという異例の決定だった。各支部で発覚した虐待の中には、会員の身体的、心理的、精神的、さらには性的虐待も含まれており、その中には未成年者として虐待を受けた者も含まれていた。

 また、ペルーのピウラ州カタカオスでは、SCVのメンバーが所有または管理する企業が、農民グループに対して、土地買収の圧力をかけ、脅迫や司法面からの嫌がらせで農民を強制的に土地から追い出そうとしてきた。農民グループは、10年以上にわたって、複数のSCV関係企業による虚偽の申し立てや、暴力の行使で、自分たちの土地から追い出そうとする執拗な試みと闘ってきた。現在、SCV関係企業から少なくとも30~40の虚偽の刑事告訴を受け、「ペルー全国人権コーディネーター(CNDDHH)」が代理人として農民グループを司法面から支援。

 そうした中で、ピウラ州第4刑事裁判所は6月、SCVとつながりのあるConstructora Keheda社による土地簒奪の申し立てを却下する判決を下した。CNDDHHによると、この告発は2015年まで遡り、同社はカタカオス農民から先祖代々の共有地を奪い取ろうと、共有地取得記録を改ざんして公的登記所(Sunarp)に提出し、農産物輸出目的で開発しようとする営利企業に土地を売却したとされている。裁判所は判決の中で、カタカオス農民共同体が1980年代にさかのぼる権利証を持っていること、コンストラクタ・ケヘダが提出した証人は間接的で根拠のない証言をしていることを認めた。

 農民たちは、カタカオス地区の土地はすべて400年ほど前の先祖のものであり、したがって財産の譲渡は集会で過半数の承認を得なければならない、と主張。とりわけ農民たちは、「何年も土地を奪われ続け、土地を取り戻そうとすると、銃撃を含む暴力に遭い、「夫がSCVが運営する会社に雇われた犯罪組織に殺された」と主張する女性もいる。

 CNDDHHは判決を受けた声明で、この裁判所の判断を 「農民コミュニティから土地を奪おうとする企業が推進する犯罪化に、裁判所が正当に対する先例となるもの 」と評価した。

 だが、カタカオス農民たちは、この判決を評価する一方で、、SCV支部の元メンバーたちは、自分たちの裁判の進展の遅さや、教会組織や個人からのコミュニケーション不足に不満を漏らしている。四つのSCV支部の元会員で構成する「真実・正義・公正な賠償を求める会(AVJR)」は、SCVの清算手続きが遅々として進まないことを嘆き、被害者に対する賠償が迅速に行われるよう教皇レオ14世に求める声明を発表。「当協会は、被害者、生存者、その他当協会の使命に献身する人々を代表する当協会の活動の枠組みの中で、教会当局との当協会の調整の現状について、一般の人々に知らせることが必要であると考えている」と述べた。

 AVJRでは、生前の教皇フランシスコやバチカンの担当当局代表などに、SCVの活動停止処分後、「被害者支援のプロセス、プロセスの終結、カトリック教会との行動の調整について知らせてほしい 」と要請してきたが、「今日に至るまで、バチカンのどの部署からも、回答を受けていない」という。

 AVJRの関係者は、教皇フランシスコの死去と教皇レオ14世の就任という大きな動きの中で、教会としての具体的対応が遅れてるのを認めながら、「多くの人々が実際にSCVのメンバーから性的虐待やその他の被害を受けていること、訴えが無視され続けてきたことなどの現実を真剣に受け止めてもらいたい。バチカンはSCVの非道な行為を認め、活動を停止させたが、被害者たちへの賠償、心の癒しなどを目に見える形で示していない」と批判。

 「SCVの活動停止処分に踏み切られた教皇フランシスコと、その後継者であるレオ14世が約束された被害者に対するケアを実践するためには、そのプロセス、責任者、そして行動、期限、手続きについてできるだけ多くの人に知らせることが前提となる 」と主張している。

2025年7月22日

・教皇、バチカンの未成年者・弱者保護委員会の新委員長に仏のヴェルニー大司教を任命

(2025.7.5  Crux  |Managing Editor  Charles Collins)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
 Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.
2025年7月6日

・「聖職者性虐待、日本でも」—TBSテレビ「News23」で放映、”修道会”は「係争中」を理由に取材に応じず

(2025.7.4 カトリック・あい)

    東京教区の女性信徒が、長崎の教会にいたカトリック修道会、神言会の司祭に繰り返し性的暴行を受けたとして、同会に損害賠償を求めている裁判の9回目が今月23日に東京地裁で開かれる。それを前にして、4日午後11時からのTBSテレビ「News23」の特集で「聖職者性虐待、日本でも」のタイトルで取り上げられた。

TBSテレビ【news23】「聖職者から受けた性虐待を告白 日本でも“聖なる場”で続く訴え 新教皇・レオ14世の対応は?」

 「カトリック教会の新たなトップに選ばれたレオ14世。いま、注目されているのが、世界中で問題となってきた聖職者による性虐待への対応です。日本での被害を教皇にも知ってほしいと訴える女性がいます」で始まるこの特集では、東京地裁での原告被害者の女性や、仙台教区で性的虐待被害に遭った女性は実名で登場し、司祭から性的虐待を受けてからの長い年月の苦しみ、まともに対応しない修道会や教区司祭や責任者のへの怒りなどを切々と訴えた。

 だが、東京と仙台の原告被害者に対し、被告側は性的虐待をしたとされる司祭二人(一人は現在司祭をやめ、一人は死亡)やそれぞれが所属していた修道会、教区関係者は登場せず、実名も出さず、修道会(神言会)はTBSの取材に対し、「係争中なのでお答えできない」と事実上の取材拒否にあったことのみが伝えらえれた。

 特集は、東京地裁での原告になっている東京教区信徒、田中時枝さんの「バチカンにも実状について訴えの手紙を送っています。新しい教皇が訴えを受け止めてくれることを願っている」との言葉で締めくくられたが、周到な取材、とくに加害者側への取材が十分ではなかったようだ。

 聖職者による女性や弱者に対する性的虐待は世界中で問題になり続け、ドイツの教会などでは、それが聖職者、教会に対する信用失墜につながり、多くの信徒が教会を離れるなど深刻な事態が続いている。このような問題をあからさまにするのを避ける日本の風土では、司祭や信徒の数が少ないこともあり、表に出るケースは限られている。

 そうした中で、長崎教区、仙台教区で教区司祭が性的暴行を行ったことで被害女性から訴えられ裁判となった。しかし、これを認めようとしない教区の対応から裁判は数年に渡ったあげく、裁判所から和解勧告を受けて、教区側が”和解金”を払ったものの、被害者に対する謝罪も、精神的ケアも、教会に復帰させる努力もしていない。

 聖職者による性的虐待は、札幌教区でパリ外国宣教会の司祭による男性への性的虐待などの訴えが出ているが、教区側は「修道会のことなので」とし、同修道会の本部の対応も進んでない。ほかにも、東京教区などで、虐待被害の情報があるが、”かん口令”が敷かれていて、訴えが無視されるか、「被害者を精神的に傷つけることになる」などの理由で、現在に至る対応を明らかにしない、と言うのが実態だ。

 そうした中で、これまで一年前に始まった東京地裁での神言会裁判を中心に、週刊誌や一般紙には報じられることがあったが、テレビで、今回の神言会裁判に関係する形で性的虐待問題が取り上げられたのは初めて。TBSは2019年にも特集でカトリック聖職者の性的虐待問題を報じていた⇒https://youtu.be/rzp9hxUEzxM。だが、6年経っても、教会側、修道会側の対応は、実質的に何ら変わっていないことが明確だ。

 神言会裁判については、TBSの他にNHKも、実際に、これまでの裁判の法廷や支援者集会にテレビ取材が入っていることから、放映がさらに広がることも考えられる。これに、関係の修道会や教区が、どのような対応を示すか注目される.

2025年7月2日

・性的虐待疑惑のインドの司教が、独・ミュンスター教区から訪問禁止に(Crux)

  ドイツ、オルデンブルクのエッセンにある聖バルトロメウス教会。(写真提供:ウィキメディア)

 

(2025.6.25  Crux  Contributor   Nirmala Carvalho)

Bishop in India barred from visiting Germany due to abuse allegations

   ムンバイ発 ― インドの司教が、性的虐待疑惑を理由にドイツの教区への訪問を禁止された。 ザ・ニュース・ミニッツ(TNM)が25日までに伝えたところによると、ミュンスター教区によるこの決定は、3月にクマール司教が2005年から2007年にかけて性的虐待を行ったとされる事件に関する被害者からの告訴を受けて行われた、という。

 この司教は、ナルゴンダ教区のカルナム・ダマン・クマール司教。サレジオ会の会員だ。以前司祭を務めていたドイツの教区を再訪する予定を立てていたが、4月17日に、ミュンスター教区から「追って通知があるまで、同教区内での司祭としての活動を禁止する」との連絡を受けた。

 クマール司教は、2024年2月に教皇フランシスコからナルゴンダ司教に任命された。当時、彼はドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州にある独立都市ミュンスターの教区司祭を務めていたが、同教区の複数の教会でチャプレンをしていた際、性的虐待疑惑が起きた

 ミュンスター教区では司祭による性的虐待問題の担当者が、ミュンスター地方検察庁にも報告書を提出しており、同検察庁の広報担当官は、この告発を確認し、TNMの取材に「捜査が進行中だ」とし、「問題の申し立ては相当以前に発生したとされているため、刑事犯罪が既に時効になっているかどうかも調査する必要がある」と説明。具体的な捜査を開始するかどうかの判断は、調査結果を待って行う方針という。

 クマール司教は、2001年から2012年までミュンスター教区に勤務し、その後インドでの様々な任務を経て、2017年から2020年まで再びミュンスター教区で司祭を務めた後、2020年にオルデンブルクの聖バルトロメウス教区に異動した。

 ミュンスター教区は声明で、教皇フランシスコが2019年に公布した「カトリック教会における性的虐待の報告に関する規則」に基づき、「申し立てがあった教区は、バチカンの担当機関である教理省に報告する義務がある」と述べている。また、「被告の居住地を管轄する首都大司教にも通知する義務がある。ナルゴンダの司教の場合、通知先はハイデラバード大司教のアンソニー・プーラ枢機卿であり、ミュンスター教区はこれらの義務を果たした。プーラ枢機卿は、教理省に対し、この事件の調査を開始するよう要請する必要がある」と述べている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年6月26日

・16歳の少年を繰り返し性的虐待したと告発されたインド・ケララ州の司祭が職務停止に(Crux)

(2025.6.17 Crux  Contributor  Nirmala Carvalho)

   インド・ムンバイ発 ―ケララ州 のテリチェリー教区長、ジョセフ・パンプラニー大司教がこのほど、16歳の少年を繰り返し性的暴行したとして告発された同教区のポール・サットゥパランビル神父の司祭としての職務を停止する命令を出したことが17日、明らかになった。同州の人口の約2割がキリスト教徒で占められている。

 同神父への告発内容は、昨年5月15日から8月13日にかけて、少年を自宅に連れ込み、性的虐待を加えたというもの。警察当局によって逮捕された、という情報がある一方で、逮捕すべく行方をおっている、という見方もある。また、同神父は「陥れられたのだ」という教区職員の音声もインターネットで拡散しているという。

 パンプラニー大司教は声明で、「本教区のアティルマヴの聖パウロ教会の主任司祭であるポール・タトゥパランビル神父による児童虐待疑惑の深刻さとスキャンダラスな性質、そしてその後の警察の捜査を考慮し、この件に関して法的専門家を含む適切な協議を行った後、本教区の大司教としての立場において、同神父を主任司祭の職から即時解任する」とし、さらに「彼は司祭としての職務を遂行することを停止される。停止の対象には、本教区の内外を問わず、聖体礼儀の執行や公の場での神の言葉の説教などが含まれる」と述べ、「この職務停止は、被告人がこの件に関して定められた法的​​手続きを経て無罪が宣告されるまで有効である」と付け加えた。

 (翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年6月18日

・アイルランド教会で、修道者、教区司祭による性的虐待の申立件数が昨年度報告で前年度の1・5倍、385件に

Blackrock College, Ireland(Blackrock College in Dublin, Ireland, where extensive abuse took place over decades, according to a documentary that led to the June 2025 report by the National Board for Safeguarding Children in the Catholic Church in Ireland. | Credit: Sarah777, Public domain, via Wikimedia Commons)

 アイルランドのカトリック教会における子どもの保護に関する委員会(NBSCCCI)が10日、2024年度の年次報告書を発表した。

 報告書によると、2024年4月1日から2025年3月31日までの期間に、委員会に通知された性的虐待の申し立て件数は、前回の2023年度報告の252件から、385件と1.5倍に増え、2009年に毎年この数字を発表するようになって以来の最多となった。

 申し立て385件の加害者は376人で、内訳は男子修道者318人、教区司祭39人、女子修道者16人、所属不明の男性3人。

 39人の教区司祭のうち、20人がすでに死亡、3人が司祭をやめ、3人が服役中、4人が聖職を離れ、4人が謹慎中、1人がそのまま聖職を継続、4人が所属不明となっている。

 男女修道者、所属不明の334人のうち、221人が死亡、5人が休職、5人が現役のまま、31人が服役中、21人が謹慎中、12人が教会を去り、17人が聖職を離れ、22人が身分不明だ。

 申し立てのあった385件の被害者が実際に虐待に遭った時期は、282件が1960年から1989年。2000年以降は2件だ。残りは、時期が特定できていない。

 報告書は、「子ども時代に何らかの虐待を受けた人たちにとって、これは非常に困難な行為であることは間違いないが、長年耐えてきたトラウマに正面から取り組み始めることができるのは良いことだ」と評価。報告書作成に携わってくれた人々に感謝を表明している。

 また今回の報告書は、アイルランドのカトリック教会が2016年に児童保護方針を発表して以来、教区と修道会を対象に続けてきたもので、今回が最後となるが、NBSCCCIは、各教区、修道会が今年末までに、現在の教会の3つの基準の下での実践を見直すプロセスを開始することを期待。子どもたちと共にある教会が安全で歓迎される場となるのを保証するものとなるよう求めている。

 

 アイルランドでは昨年9月に、宗教法人が運営するデイ・スクール(主に不登校や学校に行きづらい子どもたちが通う施設)および全寮制の学校における性的虐待に関する調査報告書が発表され、メディアで大々的に報道された。このことが、被害者たちに、自分たちの受けた虐待を表に出す力を与えたようだ、と報告書は分析している。

 これは、2022年にラジオ放送されたドキュメンタリー番組「ブラックロック・ボーイズ」がもとになり、昨秋、Spiritan修道会が運営するダブリンの全寮制・デイスクールのブラックロック・カレッジで大規模な虐待が行われていたことが明らかになり、それを受けて、政府による全国調査の結果、1927年から2013年の間に308校で2395件の虐待の申し立てがあり、その中には性的虐待、レイプ、性的暴行に関する広範な証言が含まれていた。

 スピリタン修道会は、最近の報告によると、同会の修道者による性的虐待の被害者125人に対し、€880万(約14億6000万円)を支払っている。

2025年6月17日

(評論)未成年者・弱者保護委員会と面談した教皇に「聖職者の性的虐待への具体的対応」という”リトマス試験紙”(Crux)

 (2025.6.6 Crux    Senior Correspondent   Elise Ann Allen)

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年6月7日

・バチカンの未成年者・弱者保護委員会のオマリー枢機卿「教会は性虐待被害者と家族を第一にすべきだ」

(2025.6.5  Vatican News  Christopher Wells)

    バチカンの未成年・弱者保護委員会のショーン・オマリー枢機卿が、委員会メンバーと教皇レオ14世の面談の前日の4日夜、Vatican Newsとの会見に応じ、委員会の活動、聖職者による虐待に関する教会内の意識向上、教会の優先事項、特に被害者とその家族を第一に考える必要性について語った。 教皇との面談後の5日昼、委員会は声明を発表し、「教皇との初めての面談は1時間に及び、反省、対話、そして教会による子どもと弱い立場の人の保護への新たなコミットメントの重要な機会となった」と指摘。「私たちは、謙虚さと希望をもって、教皇フランシスコが2022年に出された使徒憲章「Praedicate Evangelium(福音を宣教せよ)」で私たちに託された使命を遂行する。その使命とは、普遍的な保護基準の策定と推進において教皇に助言し、説明責任、正義、思いやりのある文化の構築において教会に同行することだ」と述べた。

 米国のボストン名誉大司教であり、教皇庁未成年者保護委員会の創設者の一人であるオマリー枢機卿はVatican Newsとの会見で、未成年者や社会的弱者の虐待問題に取り組む教会の継続的な努力の優先事項として、「透明性」「責任感」「教育」の必要性を指摘。「教会は、その使命そのものによって、神の愛と憐れみの表現でなければならず、それゆえ、子どもや若者のケアと保護は、私たちの使命の中心である必要がある 」ことを、人々が理解することの重要さを強調した。

 そして、「教会のメッセージに人々が耳を傾けるのは、『自分たちのことを教会の指導者たちが気にかけている』と確信したときだけだ。私たちは、子供たちのことを気にかけている。子供たちの安全を気にかけているのだ』と語った。

 オマリー枢機卿との一問一答は以下の通り。

・・・・・・・・・

問:委員会が設立されて以来、この数年間、あなたが委員会とともに行ってきた活動について少しお話を伺いたい。未成年者保護委員会がその使命を果たすためにどのように取り組んできたのか。

答: 長年にわたって委員会の一員であったこと、そしてその間に委員長を務めたことは、大変な名誉だった。委員会が発足したのは、本当に教皇フランシスコの要請によるものだった。私たちは実に3つの反復を行ってきた。委員会は3つのグループから構成され、世界各国から集まった児童保護の分野で豊富な経験を持つ人々によって構成されている。

 そして常に、被害者やその両親を委員会のメンバーとして迎えてきた。このことは、私たちが行っていることを現実のものとし、被害者の集まりと接触し、彼らの経験や、教会がどのように彼らに対して反応し、教会における聖職者虐待の問題に対処してきたかについての彼らの経験を理解する上で、非常に貴重なものだった。

 この数年間、委員会が行ってきたことにはある種の進化があった。私たちの主な目的は、セーフガードの分野で教皇のアドバイザーとなることだった。また、教会の教育活動、特に指導者たちがセーフガードを理解するための教育活動にも深く関わってきた。子供や未成年者の保護と保護を促進するためのガイドラインやプロトコルの見直しや開発にも携わってきた。最近では、セーフガードをめぐって教会で何が行われているのか、何が成功し、何が不足しているのかを判断するための年次報告書の策定もしている。

 ここ数年、私たちは特に、セーフガードの問題が議論され始めたばかりの、多くの教会が資金不足に陥っている南半球の教会に関わってきた。そこで委員会は基金を立ち上げた。私たちは様々な司教協議会やカトリック財団から支援を受け、これらの国々の人々を訓練するためのメモラーレ・センターに資金を提供した。

 このようなことが何年もかけて発展し、委員会は、以前は非常に独立した、ある意味でバチカンの部局と別個の存在だったが、今では教理省の部局の一部となった。そして今、新たな入り口を得て、さまざまなバチカンの省庁との対話を深め、バチカンにおける保護文化の促進に貢献することができるようになった。

 ここ数年、私たちは、世界各国の司教団の定期バチカン訪問に深く関わってきた。5年ごとに、各国の司教協議会はバチカンで各省の長官や教皇と会合を持ち、各教区で過去5年間に起こったことを報告する。そして今、私たちの仕事は、性的虐待への各司教団の対応を、その報告の一部とすることだ。司教たちのバチカン訪問に受け入れ側として参加することは、とても貴重なことだ。

 そして、司教たちがこの分野全体についてもっと学び、支援を受けたい、という関心と願望を持っているのを知るのは、とても喜ばしいことだ。残念なことに、司教たちはしばしば孤立し、自分たちだけで非常に困難な決定や政策決定をしようとしてきた。それは、多くの間違いや、時には不作為を招くことになる。司教協議会を強化し、世界中の教区における虐待防止への信徒の参加を促進することは、委員会の非常に重要な貢献であると思う。

 

 

問:年次報告書の策定について言及されたが、これは委員会の新しい活動だ。昨年から策定が始まり、現在、新たな年次報告書を準備中とのことだが。その中身は。私たちは何を期待できるだろうか?

答: 今年10月には2024年版の年次報告書を発表したい。主なテーマは賠償と回心の正義だ。報告書は、22カ国と2つの宗教団体のアドリミナ訪問の会議から抽出されたもので、私たちは、セーフガード、統計、政策、それらがどのように実行されてきたか、何が課題であったか、何が間違いであったかについて、これらの共同体や司教協議会と対話する機会を得た。

 これによって、教会の透明性を促進し、人々に何が起きているのか、良いことも悪いことも知ってもらうことができる。年次報告書は、今後の私たちの使命遂行の中で非常に重要な役割を果たすと思う。

 

 

問:保護という分野での教皇のアドバイザーとしての役割について話された。新教皇レオ14世が誕生した今、児童虐待の防止に関して、今日の教会における優先事項を教えてもらえるだろうか?

答:優先事項はこれまでと同じだと思う。つまり、被害者とその家族を第一に考えている。確かに透明性は確保されている。過去において、教会の最悪の行動は、「犯罪を隠蔽し、報告しないこと」だった。だから、民事当局と協力することは、とてもとても重要な前進なのだ。透明性を確保し、人々に何が起きているのかを知らせ、責任感を持たせる。そして、教会における全体的な教育プロセスの重要性を認識させることで、教会は、私たちの使命そのものによって、神の愛と憐れみの表現である必要があり、したがって、子どもたちや若者のケアと保護は、私たちの使命の中心でなければならない。

 そして、繰り返して言うが、「自分たちのことを気にかけている」と人々が確信した場合にのみ、人々は私たちのメッセージに耳を傾ける。私たちは子供たちのことを気にかけている。子供たちの安全を心配している。だから、これらは継続的な優先事項なのだ。教皇フランシスコは、数年前に世界のすべての司教協議会会長を集め、これらのことを真剣に取り組むよう呼びかけた。それはまた、非常に重要な前進だった。

 だが、グローバル・サウスでは、多くの国々がこの問題に取り組み始めたばかりであり、委員会は特に彼らを支援することに重点を置いている…

 

 

問:ここ数年、あるいは数十年の間に、教会内の意識が高まってきている。教皇フランシスコだけでなく、ベネディクト16世やヨハネ・パウロ2法王など、最近の教皇たちの献身も見てきたが、彼らの献身は、教会全体の新たな意識と一致していると言えるのだろうか? 今後数年間を展望して、どのような希望の兆しが見えるだろうか?

答: 教皇たちの宣言は非常に重要だと思う。もちろん、一般社会のメディアや教会のメディアも、これらの問題を人々に知らしめるのに大いに役立っている。それは非常に痛みを伴うものだったが、重要なプロセスだった。福音書にあるように、真実は私たちを自由にするものだ。だから、メディアの役割は、とてもとても重要だった。

 でも多くの場合、カトリック信者は懐疑的だった— 「これは反カトリック主義」だ。あるいは、「金のためだ 」とか 「嘘だ 」といったものだ。だから、教皇たちがこの問題を深刻に受け止め、透明性を求め、被害者たちに赦しを請い、直接会うことで、カトリック信者と世界中の人々の意識が高まった。

 そして、これまでは教会に多くの関心が向けられてきたが、最近では、少なくとも米国では、スカウトや公立学校、スポーツ団体にも、多くの関心が向けられている。つまり、性的虐待は、人間の問題なのだ。それでも、教会にいる私たちは、このようなことが教会内で起こることがどれほど恐ろしいことか、人々が宗教的感情や献身、信仰に対して感じる裏切りのようなものを目の当たりにしている。だから、いろいろな意味で、虐待をより恐ろしいものにしている別の側面がある。

 

 

問:他に付け加えることは?

A. この数年間、委員会の委員を務めることができ、また、委員会のメンバーであるスタッフの素晴らしい献身的な人たちと一緒に働くことができたことは、私にとって大変光栄なことであったと申し上げたい。そして、この委員会を設立し、支援してくださったフランシスコ教皇に心から感謝している。そして、委員会が今後、教皇レオと一緒に仕事をすることをとても待ち望んでいることを知っている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2025年6月6日

・教皇レオ14世が教皇庁未成年者保護委員会と面談、性的虐待の防止と被害者保護に「最大限の努力」を要請

Pope Leo XIV meets with the Pontifical Commission for the Protection of MinorsPope Leo XIV meets with the Pontifical Commission for the Protection of Minors  (@Vatican Media)

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年6月5日

改・所属司祭の性的虐待の損害賠償を求める9回目の裁判で、原告側、被告の神言会の報告書もとに10件以上の不法行為を指摘

(2025.6.4 =6.10訂正  カトリック・あい)

 東京在住のカトリックの女性信徒に繰り返し性的暴行をしたとされる会員司祭(当時)が所属していた修道会の神言会日本管区に対して損害賠償を求める裁判の9回目が4日午後4時から、東京地方裁判所第615号法廷で行われ,司祭、修道女、一般信徒など約50人が傍聴した。前回のNHKに引き続き、今回はTBSの映像取材が、裁判後の説明会・支援者集会も含めて行われた。

 この日、原告側は新たに提出した準備書面で、神言会から入手した会員司祭の行為に関する報告書をもとに10項目以上にわたる同修道会の不法行為を指摘。被告神言会の代理人弁護士からは、準備書面を読み込む時間が無かったことなどを理由に反論はなかった。次回裁判は7月23日午前11時から、次々回は10月1日午後4時からそれぞれ、同じ法廷で開かれる予定。

 なお、4日の裁判の準備書面で、神言会が作成した会員司祭(当時)に関して2018年以降にまとめて来た報告書をもとに、原告代理人弁護士が指摘した主な内容として、裁判後の支援者集会で説明された内容を整理すると、次の通りとなる。

 ①問題の会員司祭は、被害者の訴えをもとに、神言会の日本管区の責任者が繰り返し問うても、訴えの性的加害について「やっていない」と絶対に認めようとせず、そればかりか、被害者の妄想とまで言った。

 ②このままでは、逮捕されたり、民事訴訟になるかも知れないので、出身国のチリに返すしかない、と100万円を与えて出国させた

 ③これと前後して、本人は自分から神言会を退会し、司祭職も停止されていたが、2020年に日本に再入国し、信徒の女性と結婚して、日本で暮らし、同年10月にはその女性から神言会の日本管区にその旨の報告があった。だが、同管区は、原告被害者とその代理人弁護士には「本人はまだチリにいる」と言い続け、再三の追求に、「2020年7月に、再入国を初めて知った」と認めたものの、居住場所については「知らない」と言い続けた。昨年からの裁判の過程で、被告・神言会の代理人弁護士が、ようやく”首都圏”に本人がいることを認めたが、具体的な住所、連絡先は明らかにしないままになっている。

 原告代理人弁護士は、以上について、「神言会自身がまとめた報告書で、事実上、不法行為を重ねてきたことを認めた形になっている。なぜ、このような加害者を、修道会が守ろうとしているのか。真実を認めることを恐れている、としか言いようがない」と述べ、来春の結審を前提に、これまで法廷に一度も顔を出したことのない神言会の代表者、そして加害者の元会員司祭を証人として出廷させたい、としている。

2025年6月4日