・被害者が望むのは、まず話を聴いてもらうこと、教会に歓迎され、支えれていると感じることも」ー教皇庁未成年者・弱者保護委員会の報告書担当者が語る

 16日に発表された教皇庁未成年者・弱者保護委員会の「教会における未成年者保護政策・手続きに関する第2回年次報告書」を担当した法学者モード・デ・ボア=ブキッキオ氏がVatican Newsとのインタビューに応じ、第二回報告書から浮かび上がった主要な要素を強調した。

 報告書では、金銭的補償を超えた賠償の重要性、被害者との対話と傾聴の必要性、教会内の性的虐待問題に対処するためのデータ収集の必要性、そして地理的地域ごとに異なる進捗状況が示されたが、これらは、未成年者保護教皇庁委員会が木曜日に発表した「教会における未成年者保護政策・手続きに関する第2回年次報告書」から浮かび上がった重要な側面の一部であり、同報告書作成作業部会の責任者を務める法学者マウド・デ・ボア=ブキッキオ博士が強調した点だ。。

 国際機関での児童保護の豊富な経験を持つブキッキオ博士は、この第2回報告書が賠償に焦点を当てた背景について、世界中の現地教会が被害者との対話を継続し、その声に耳を傾けることを支援するのが目的と強調した。

 

 インタビューの要旨は次の通り。

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*賠償問題への取り組みの手引書-金銭補償が被害者に必要な唯一の解決策ではない

 

Q:この第2回年次報告書から浮かび上がった主な要素は何ですか?

A:今回の報告書は世界中の教会による性的虐待対策の評価と進捗の観点から非常に重要な前進です。今年は”移行期正義”の概念(教会文脈では「対話的正義」と呼称)の中でも特に「賠償」という側面に焦点を当てることを決定しました。従来の手法に従い、様々な関係者との対話を通じて、賠償問題への取り組み方に関する現地教会向けの実践的ツール『手引書』を開発しました。

 全ての提言を要約するつもりはありませんが、重要なのは、金銭的補償が賠償や被害者のニーズへの唯一の解決策ではないことを明確に示している点です。私たちは被害者とその声に非常に注意深く耳を傾けました。これが報告書作成の方法論のもう一つの側面です。彼らが言うのは、基本的に「私たちが望むのは、話を聴いてもらうことだ」ということです。金銭的補償を受けること以上に、歓迎され支えられていると感じることが重要な場合もある。これが第2回年次報告書の極めて重要な側面です。

 本報告書ではデータ不足への懸念も強く表明しました。データは極めて重要です。データがなければ問題も存在しないから。教会自体や教皇庁省庁を通じて入手した内部データを超え、あらゆる可能な情報源から追加データを収集しようと努めました。

 

 

*今回報告書の主要テーマは「賠償」、次回は「正義と司法へのアクセス」

 

Q: 第1回報告書から第2回報告書の間の進展は?

A;私たちは極めて重要な課題に取り組んでいます。変化が一夜にして起こることを期待できません。必要なのは、この対話を継続し、提言のフォローアップを行うことです。それはローマでの議論だけでなく、当然ながら現地教会との間でも行われねばなりません。前述の通り、対話を継続することで彼らを支援しています。

 まず第一に、被害者と向き合う必要性に対する認識と理解が深まっていることが確認できました。この点では一定の進展が見られます。十分とは言えませんが、初年度報告書の影響が確実にこのレベルで感じられると確信しています。もちろん、被害者・生存者の状況はそれぞれ異なり、状況に応じた対応が必要です。事情が大きく異なるため、その判断は現地教会に委ねられます。

 民事当局への通報の必要性についても、国によって大きく異なります。義務化されている場合もあれば、通報者の判断に委ねられる場合もあります。この点については、確実に実施されていることを確認する必要があります。しかし全体として、ゆっくりと、一歩一歩、進歩していると考えています。

 第二回年次報告書は、第1回年次報告書を発表した時点で既に計画されていました。そこでは、対話的正義の概念がいくつかの柱から成ると説明しました。私たちのアプローチは各柱を個別に扱うことで、今年は「賠償」が対象でした。来年は正義と司法へのアクセスがテーマとなります。これも明らかに非常に重要な報告書となるでしょう。そして最後に、制度改革と真実の問題があります。なぜなら、真実こそが私たちがここで主張するすべての基盤ではないでしょうか?

 

 

*「地域」と言うよりも「教会」の中に対応が進んでいるところがあるが、対応に差

 

Q: 本報告書は、様々な国や教区における教会の保護方針と手続きに焦点を当てています。改善や進展が見られた地域はどこですか?また、まだ課題が残っていると思われる地域はどこですか?

A:この点では、教会は三つのカテゴリーに分けられます。ここで言う教会には修道会も含まれます。かなり進んでいる「地域」というよりも、「教会」があると言えます。そうして教会は、ガイドラインを公表し、被害者からの聴き取りのための適切な手続きやプロトコルを整えているなど、転換の道においてかなり先を行っているのです。

 次に、この問題が新しい概念であるため、取り組みを始めたばかりの教会があります。従来は制裁や懲戒手続きが中心で、加害者に焦点が当てられ、被害者は完全に無視されていました。そして残念ながら、それよりもさらに初期段階にある教会も存在します。当然ながら、ローマの教皇庁機関と連携し、これらの教会をその道へと導くことが極めて重要です。

 以上のように教会は三つのカテゴリーに分類されますが、地域的な位置付けはできません。グローバル・サウス(発展途上地域)の方が遅れているという見方は当然ながら、例外も存在します。報告書でも指摘したように、非常に興味深い地域的な実践例があります。例えばトンガでは、被害者への地域社会ベースの支援が非常に重視されており、これは非常に興味深い事例です。同時に、グローバル・ノース(先進地域)の欧州においても、一部の教会は非常に優れた取り組みを行っている一方、他の教会はそうでないという状況です。非常に多様な状況が展開されています。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年10月17日

・「アジア・アフリカ・中南米の多くの地域の教会では、性的虐待被害者を支援する人的、物的援資源が依然として不十分」-教皇庁未成年者・弱者保護委員会が報告書

2024.10.29 Rapporto Annuale Tutela Minorum inglese(2025.10.16 Vatican News  Edoardo Giribaldi)

 教皇庁未成年者・弱者保護委員会が16日、 「カトリック教会における保護政策」に関する第2回年次報告書を発表。被害者への「情報に基づく傾聴」と経済的・心理的・精神的支援の指針を示す一方、透明性の高い情報発信、教会の公的な責任受諾、報告体制の効率化の必要性を強調した。

 第2回年次報告書は、実際に虐待を受けた人々の声に積極的に耳を傾けることで作成され、世界の現地の教会にとって実践的な手引書となるもの。

 教会共同体が「回復的措置」を実施するのを支援することを目的とし、報告プロセスを段階的に追跡し、全般的に簡素化することを求めている。

 勧告事項には、初期段階での被害者に対する「情報に基づく傾聴」、事件に関する情報へのアクセス、経済的・心理的・精神的支援が含まれ、これら全ては、「引き起こされた被害を認める」透明性のある公式声明と、公的な責任の引き受けを伴うべきだ、としている。

 教皇が7月に教皇庁委員会委員長に任命されたティボー・ヴェルニ大司教は、この使命を「永遠の巡礼」と表現した。

 

被害者及び非教会組織に直接、訴えを聞く

 この報告書は、第1回年次報告書と同様、虐待被害者で構成される年次報告書フォーカスグループとの協議を経て作成された。自発的に結成された同グループのメンバーは、年齢・性別・民族的背景の多様性を考慮して選ばれ、世界4大陸からの参加者が含まれた。非教会組織からも追加データが収集されたが、浮上した主要課題には「より傾聴する教会の必要性」と「報告・内部告発のための明確な体制の欠如」があった。

 

被害を認める教会の公式声明の発表、責任の受け入れ

 報告書の前半は、被害者への回復的措置に焦点を当てている。これは「情報に基づく傾聴」に基づき、被った被害に見合ったものだ。

 地域の教会共同体のための手引書としては、まず第一に、被害者が自らの経験を共有できる「安全な空間」の創設を求めていることを指摘。これには教会当局との直接的な対話も含まれる。

 報告書は「償い」の概念を分析しています。回勅Dilexit nos(私たちを愛している)はこれを「個人の義務であると同時に、ケアと相互尊重の環境を育むことを目的とした、被害者を除く共同体全体の共有責任」と定義しており、教会は、「引き起こされた被害を認める公式声明」を発表し、自らの責任を公に受け入れるよう求められる。

被害者の専門的カウンセリングと霊的支援

 報告書は次に、被害者に対する専門的なカウンセリングと霊的伴走を「特に長期的視点に留意しつつ」確保するため、複数の分野にわたって展開される支援の問題に取り組むことを明記。これには、医療・心理ケアを含む虐待に起因する費用に対する適切な経済的支援が含まれる。また、虐待を実行または助長した者に対する重大な制裁を課すことで被害者保護を強化するよう求め、被害者は「虐待の加害者、およびそれを可能にした者や隠蔽した者による責任の所在について、不確かな状態に置かれてはならない」としている。

被害者が自身の事件に関する情報へのアクセスを可能にする

報告書は、被害者が自身の事件に関する情報にアクセスできることの「基本的」必要性を強調し、これは癒しの過程における重要な要素であると指摘。また「集団的癒しの過程」を促進するため、聖職者・修道者・信徒を対象とした認識向上プログラムを求めている。

不作為により被害者に二次被害をもたらした教会指導者の解任手続きの簡素化と情報公開

 

 その他の重要な提言として、委員会は「過去の行政上の措置および/または不作為により被害者/生存者にさらなる害をもたらした」教会指導者の解任に向けた「簡素化した手続き」の重要性を再確認している。

 また、辞任や解任の理由に関する「明確な情報伝達」と、現地教会や修道会が安全対策方針の実施において達成した進捗の効果的な評価を推奨。この目的のため、委員会は人権・虐待防止・保護を専門とするカトリック大学が参加する「国際学術ネットワーク」の創設を提案し、報告書対象国における関連データ収集を提言している。

保護機関による体系的、義務的な報告メカニズムの確立

 報告書はさらに、地域レベルの保護機関が使用する「体系的かつ義務的な報告メカニズム」の確立を提案。

 教会共同体は、教皇フランシスコが「現状と改善すべき点を信頼性をもって報告し、権限ある当局が行動できるようにする」と求めた方針に沿い、「透明性の向上と制度的説明責任の行使を促進する」能力を有すると報告書は指摘する。

 最後に、報告書は「保護の奉仕」における支援と伴走役として、現地教会における教皇大使の重要な役割を再確認している。

調査対象の現地教会

 第1節では、イタリア、ガボン、日本、赤道ギニア、エチオピア、ギニア(コナクリ)、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ポルトガル、スロバキア、マルタ、韓国、モザンビーク、レソト、ナミビア、マリ、ケニア、ギリシャ、ならびに北アフリカ司教協議会(アルジェリア、モロッコ、西サハラ、リビア、チュニジアを含む)など、複数の国の現地教会における保護活動を検証している。

 データは、委員会による各国司教団のバチカン定期訪問プロセスを通じて収集された情報の分析に基づき、その他の情報源で補完されている。

イタリアの状況

 イタリアに関しては、ラツィオ、リグーリア、ロンバルディア、サルデーニャ、シチリア、エミリア=ロマーニャ、トスカーナの各教区を訪問した。報告書は、長年にわたり、予防と保護のための「統合されたツールと政策」の開発において著しい進展があったと指摘している。

 委員会は、イタリア司教協議会(CEI)が「調整、研修、監督」のための多層的システム(国家、地域、教区、教区間)を構築した取り組みを評価している。これは専門的かつ適切に訓練された人材で現地教会を支援することを目的としている。

 同会議は、16の地域保護サービス、226の教区・教区間サービス、108の相談センターが存在し、牧的支援を提供し報告を受け付けていると報告している。

 しかしながら課題は残る。委員会は、一部の地方教会が市民社会との先駆的な取り組みや協働を進めているものの、「地域間の格差」が依然として存在し、報告の受理・分析を行う中央集権的な事務局が欠如している点を指摘している。これは一貫性のある効果的な事例管理を確保するために必要な構造である。

大陸別教会の評価と模範的実践

 

 報告書は世界的に見て、米州・欧州・オセアニアの一部教会が賠償への強いコミットメントを示す一方、「金銭的補償への過度の依存」が癒しのプロセスに対する「包括的理解」を制限するリスクがある、と指摘。さらに中南米・アフリカ・アジアの多くの地域では、被害者への伴走支援資源が依然として不十分である。

 しかしながら、いくつかの模範的事例が強調されている。例えば:トンガの伝統的共同体癒し実践Hu Louifi、米国における被害者支援サービスの年次報告書、ケニア・マラウイ・ガーナにおける継続的なガイドライン見直しプロセス、ボルツァーノ=ブレッサノーネ教区における真実究明プロジェクト「見つめる勇気」(Il coraggio di guardare)などである。

ローマ教皇庁と省庁間連携

 報告書の第三節では、保護問題における教皇庁の権限と省庁間連携の促進について考察。特に、福音宣教省・初伝道・新個別教会課の貢献を検証。同課は各地の教会共同体を支援し、一般行政だけでなく保護活動も監督している。約1200の教会管轄区域を支援し、本報告書作成に積極的に参画した。

 

社会奉仕活動と保護

 第四節は教会の社会的側面を分析し、未成年者及び脆弱な立場の成人の権利を促進する取り組みを強調する。

 今回の報告書では、信徒団体「マリアの業-フォコラーレ運動」に適用されたパイロット手法が紹介されている。委員会は同運動が最近採択した改革を歓迎しており、具体的には:虐待事例管理のための独立中央委員会の設置、性的虐待に関する情報方針、被害者支援と金銭的補償に関するガイドラインなどが挙げられる。

メモラーレ・イニシアチブ

 報告書の最終部では、メモラーレ・イニシアチブの進捗状況に焦点を当てている。2022年に委員会によって設立されたこのイニシアチブは、司教協議会、修道会、慈善財団から専用資金を集め、資源が限られているグローバル・サウス(南半球)の教会を支援している。

 現在、世界中の地域メモラーレ・イニシアチブを支援するための20の協定が締結されており、さらに十数件が交渉中である。

 参加地域は次の通り。

 ルワンダ、ベネズエラ、メキシコシティ大司教区(メキシコ)、AMECEA – 東アフリカ司教協議会連合、チュブート教区管区(アルゼンチン)、ホンジュラス、ウルグアイ、ハイチ、モンバサ教区管区(ケニア)、サン・ルイス・ポトシ教区管区(メキシコ)、トンガ、中央アフリカ共和国、マラウイ、パラナ教区管区(アルゼンチン)、パラグアイ、IMBISA – 南アフリカ司教地域間会議、パナマ、サンタフェ教区(アルゼンチン)、コスタリカ、ジンバブエ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年10月17日

・ボリビアで30人の未成年者を性的虐待した元司祭が、18年の逃亡の末にウルグアイで逮捕

(2025.10.6  Crux  Contributor   Eduardo Campos Lima)

Ex-priest accused of abusing 30 boys finally detained in Uruguay after 18 yearsThe house in Uruguay where Juan José Santana Trinidad lived for 18 years after fleeing Bolivia.

 ブラジル・サンパウロ発 – 2005年から2007年にボリビア中東部のタパカリでカトリック宣教師をしていた男が、当時、未成年者30人に性的虐待をしたとして、ウルグアイの国家警察に逮捕された。

 この男は、元司祭フアン・ホセ・サンタナ・トリニダード。18年にわたる逃亡の末、9月26日にウルグアイ・サルト市の実家で国家警察に逮捕された。引き渡し手続きを終えた後、ボリビアへ移送される見通しだ。

 サンタナは、司祭・宣教師としてタパカリにあるアンヘル・ヘルミ寄宿学校を運営していた当時、8歳から17歳までの70人以上の寄宿生のうち30人を性的虐待した。このことは、2007年、地元の修道女が、性的虐待の現場に遭遇して明らかになった。当時、サンタナは38歳だった。

 被害者たちは、捜査当局の調べで、サンタナの行為の恐ろしさを明らかにした。少年たちを寄宿舎の自室に連れ込み、ドアを施錠したうえで、自慰行為から肛門性交に至るまで、様々な性的行為を強要した。

 当時、寄宿学校を管轄していたコチャバンバ教区のティト・ソラリ大司教は、事件発覚を受けて、司法当局への協力を約束し、被害者への支援も表明。2011年にサンタナの司祭職を剥奪した。

 サンタナは犯罪発覚直後にボリビアを脱出し、ウルグアイにある実家にこもった。散歩のため数分間だけ外出する日々を送っていたが、記者たちが少なくとも3回、サルトで彼を見つけ接触した。

 直近では8月、ウルグアイ紙『エル・パイス』の記者が同市で彼に話を聞いたが、サンタナは毎回、「全ては昔の話。語るのが難しい」と繰り返し、被害者やその家族への謝罪の言葉は一切聞かれなかった。「打ちのめされている。言えるのはこれだけだ。あの事件以来、生きる意味を見失った…言葉が出ない…家族や両親のことばかり考えて、彼らと共にこの苦難を乗り越えようとした。どうにもならない状況もある。自分の力ではどうにもならないことが」とサンタナは2023年、ボリビア紙『エル・デベル』の記者エリック・オルテガに語った。

 ボリビアの捜査当局が国際刑事警察機構(インターポール)に彼の逮捕を正式に要請し、ジャーナリストが彼の居場所を容易に突き止めたにもかかわらず、ウルグアイの捜査当局は当時、彼を逮捕しようとしなかった。ウルグアイのカトリック教会の最高位聖職者であるダニエル・ストゥルラ枢機卿は、「犯罪は、ボリビアで発生しており、ウルグアイの教会はサンタナに対する苦情を一切受けたことがない」と報道陣に語っっていた。

「有罪なら、彼は自らの行為に責任を取らねばならない」とストゥルラ枢機卿は地元テレビ局Canal 12のニュース番組Telemundoで語り、ボリビア司教協議会の法律顧問スサナ・インチ・サインツはCruxに対し、「教会はスキャンダル発生時にサンタナの責任追及のために可能な限りの措置を講じたが、彼を拘束する権限は持たない」と弁明。「当時、ソラリ大司教は事件を知ると捜査当局に直ちに報告し、全面的な協力を約束した。しかし、当時捜査対象だった人物の拘束は保証されなかった」と述べた。

 また、「当時、この種の状況への適切な対応に関する教会法上の規定は、今日のように明確ではなかったが、ソラリ大司教は、この事件を公にして捜査当局に通報し、司祭職はく奪の教会法上の手続きを踏んだ… 教会は自由の権利を制限できず、拘束や投獄の権限も持たない。それは裁判所の専属管轄権であり、この場合はボリビア司法の管轄です。被告の居場所が報道を通じて既に判明していたにもかかわらず、ボリビアの捜査当局が、当時もその後も必要な予防措置が取られなかったのは不可解です」とも語った。

 ボリビア教会性虐待被害者ネットワークのスポークスマン、エドウィン・アルバラドは『Crux』の取材に対し、サンタナが長期間にわたって処罰を免れてきたことに疑問を呈するとともに、「今回の逮捕は真実と正義に向けた重要な一歩です。身柄引き渡し手続きを経てボリビアに移送されたことで、ようやくボリビアで裁判にかけられ、被害者たちに対する何らかの正義が実現すると考えている」とし、地元市民団体からも支援を受けている被害者たちと連絡を取り合っており、今後もこの事件の経過を見守っていく、と強調した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年10月9日

・「司教協議会、修道会の兄弟的協力が鍵だ」-教皇庁未成年者・弱者保護委員会が総会で保護対策推進を再確認

Tutela Minorum Plenary Assembly in KrakowTutela Minorum Plenary Assembly in Krakow 

 

 

Pontifical Commission for Protection of Minors advances safeguarding at Plenary

The Pontifical Commission for the Protection of Minors concludes its Autumn Plenary Assembly held in Krakow, Poland.

The Pontifical Commission for the Protection of Minors concluded its Autumn Plenary Assembly in Krakow on Friday, marking five days of dialogue, strategic planning, and reflection focused on advancing safeguarding within the Church.

Held from 29 September to 3 October, the gathering brought together Commission members, experts, and regional representatives to advance the body’s mandate as outlined in Praedicate Evangelium. This was the first Plenary Assembly held under the leadership of Archbishop Thibault Verny, appointed President earlier this year.

First Assembly under new presidency

In his inaugural address, Archbishop Verny called for a renewed commitment to safeguarding as integral to the Church’s identity and mission. He outlined four strategic aims: fostering a universal safeguarding culture, developing a shared language through the Universal Guidelines Framework (UGF), strengthening regional networks through the Annual Report, and deepening dialogue with civil institutions.

Acknowledging both progress made and systemic gaps that persist, Archbishop Verny highlighted listening to victims and survivors, promoting transparency, and building accountable structures. He encouraged Commission members to act “with courage and compassion,” noting the urgency of unresolved safeguarding challenges and the global expectation for moral clarity and pastoral care from the Church.

Universal Guidelines Framework in final draft

A major focus of the Plenary was the Universal Guidelines Framework, which has been tested over the past year in pilot projects across four continents — in Zimbabwe, Tonga, Poland, and Costa Rica — and enriched by a synodal listening process.

Members reviewed the final draft of the Framework, which incorporates theological and canonical insights. The text will now be submitted to the Commission President for dialogue with relevant Dicasteries of the Roman Curia before being presented to the Holy Father.

Victim-Survivor engagement

The Commission reaffirmed its commitment to centring the voices of victims and survivors through enhanced protocols and formation in outreach. Discussions focused on “Conversional Justice,” a framework emphasising truth, justice, reparations, and institutional reform as essential elements of healing.

Victims and survivors continue to play a key role in shaping the Commission’s work, particularly in the upcoming Second Annual Report, which highlights their contributions and perspectives.

Second Annual Report to focus on reparations

The Commission’s Second Annual Report on Church Policies and Procedures for Safeguarding (Reporting Year: 2024) will be released on 16 October in five languages. Continuing its exploration of Conversional Justice, the report focuses on reparations and introduces new external data sources to support transparency and accountability.

The Plenary also reviewed the Instrumentum Laboris for the Third Annual Report (Reporting Year: 2025), which will enter a synodal phase of dialogue and further data collection.

Building safeguarding capacity through the ‘Memorare Initiative’

Members assessed progress on the Memorare Initiative, which aims to strengthen local safeguarding capacity and is closely aligned with both the UGF and Annual Report.

Seventeen active projects are underway across the Americas (10), Africa (6), and Asia (1), contributing to a global ecosystem of safeguarding.

Collaboration with the Polish Bishops’ Conference

The Assembly concluded with a meeting with members of the Polish Bishops’ Conference, reinforcing the Commission’s commitment to accompany local Churches in their safeguarding efforts.

Reflecting on the decision to hold the Plenary in Poland, Archbishop Verny highlighted the importance of listening to victims and survivors and engaging local communities:

“It is about listening, walking humbly with victims. It is through and by the victims/survivors that we journey and discern. The Church is not separate from society—it walks with society; it is embedded in society. This culture of safeguarding must be lived in dialogue with society, learning from it in terms of foresight and protection.”

Archbishop Verny also stressed the importance of mutual learning across regions, noting that safeguarding advances in some parts of the Global South provides valuable lessons for other contexts:

“We must not assume that we are safe from the risk of further abuse happening because we have published policies and set up offices. Safeguarding complacency, safeguarding fatigue is setting in, and this is a major risk factor in bad decisions being made. We must continue to learn from one another and never oppose one another. Subsidiarity and fraternal collaboration with episcopal conferences and religious congregations are key.”

2025年10月4日

・会員聖職者(当時)による性的虐待の『神言会裁判』、三年目に

(2025.10.1  カトリック・あい)

 聖職者による性的虐待で深い傷を負った女性信者が、所属(当時)修道会・神言会に損害賠償を求める裁判が二回目の年を越し、三年目に入ることが確定した。

 10月1日午後4時から東京地方裁判所第615法廷で開かれた11回目の裁判で、今後の日程について、12回目は12月1日、13回目は年を越して2月9日に開くことが決まったもので、これまで原告側が希望していた来年春の結審は、担当裁判長の移動も予定されていることから断念せざるを得なくなった。

 裁判の日程は、裁判長が原告、被告双方と調整して決めることになっているが、7月の10回目まではほぼ毎月開かれていたが、7月の段階で裁判長が来春に転出することが明らかになってから、傍聴席からやり取りを見る限り、被告の神言会の代理人弁護士側の都合で間隔を二か月以上に延びる結果になっている。このため、傍聴していた原告支援者からは、故意に引き延ばしを図り、聖職者の性的虐待の現状に理解のある現在の裁判長に判断させないようにしているのでは、との見方も出ている。

 また、1日の裁判では、被告側が、「教区と修道会などの組織などについてもう少しはっきりと説明するように」との裁判長の指示を受けた形で提出した二枚の準備書面に関して、原告側から質問があった。準備書面では、教区長が高見大司教だった長崎教区の教会性的虐待を働いたとされる神言会所属(当時)の司祭は、同教会に2016年から2019年まで務め、2019年4月に東京教区の吉祥寺教会に異動した。「この異動は、この裁判で取り上げられている件に関連してなされたものではなかった」との趣旨が述べられている。

 これについて、原告側は、「関連してなされたものでない、と言うなら、それを裏付けるような異動の基準が神言会にはあるはずではないか」、また神言会が長崎教区の教会から東京教区の教会に異動させた場合、東京教区にその人物についての報告は「当然されるものではない」と準備書面にあるが、「絶対に報告してはならない」と言うような決まりでもあるのか、と被告側に説明を求めた。これに対し被告側は即答できず、「確認してから答える」と説明を先延ばしした。

 また、準備書面では、長崎教区長について当時の、高見大司教を実名で出しているのに対し、東京教区長については(神言会の会員である菊地大司教という)実名を出していない、ことに違和感を覚える関係者もいたようである。

2025年10月1日

・「教皇の『Crux』インタビューでの答えは、性的虐待への対応における誠実さを反映している」と虐待の専門家が評価

(2025.9.29  Crux  Editor  John L. Allen Jr.)

Expert says Pope’s Crux interview reflects ‘authenticity’ in dealing with sex abuse

(写真は、イエズス会のハンス・ゾルナー神父=クレジット:IADC)

 ローマ発―カトリック教会における性的虐待対策の第一人者であるイエズス会のハンス・ゾルナー神父が28日、電子メールによるCruxのインタビューに応じ、教皇レオ14世が最近の『Crux』のインタビューで示した姿勢は、教会の虐待スキャンダルへの包括的対応を特徴づける「誠実さ」を反映している、と評価した。

 ゾルナー神父は、教皇庁立グレゴリアン大学の「人類学研究所―人間の尊厳とケアに関する学際的研究」所長。2014年から2023年までバチカンの未成年者保護委員会の創設メンバーとして活動し、現在も聖職者省の諮問委員およびローマ教区保護委員会のメンバーだ。

 インタビューでゾルナー神父は、教皇レオ14世について、「非常に誠実な人物であり、虐待危機の全容を認識しているだけでなく、あらゆる形態の虐待が適切かつ専門的、差別化された方法で調査・対処され、効果的に防止されるよう全力を尽くしている」と指摘。

 特に、教皇が『Crux』のインタビューで「キリスト教の道徳的教えに則りながら、罰と償い、懺悔と赦しを対立させずに加害者に対処する方法」という問題を提起したことにも注目した。教皇はまた、教会内虐待被害者への「真摯で深い共感と慈愛」を求め、「教会関係者は被害者支援の最善策を決定する際に専門家の助力を必要とする可能性がある」と述べるとともに、虚偽の告発の危険性にも警鐘を鳴らし、「教会は被疑者の適正手続き上の権利を保護しなければならない」とした。 また、「教会が虐待スキャンダルに完全に飲み込まれてはならない… それは、教会が果たすべき使命という観点から世界が求めるものに対する真の対応とは言えないからだ」とも語っている。

 ゾルナー神父は、長年にわたって虐待被害者保護に取り組んできた専門家たちが、「教皇の発言によって、自分たちのこれまでの活動が肯定的に評価されたと感じている」と述べた。

 教皇が言及した「虚偽の告発問題」については「教会関係者がこの話題に触れると、一部の被害者が嫌悪感を抱く理由は理解できるが、それでも教皇がこのように指摘されたのは、正しい」とし、「過去には、被害者が痛ましい経験をしているにもかかわらず、自分たちの権利が全く考慮されない一方で、被疑者の権利が全てを優先されるケースがあまりにも多いことを学んだ。被疑者の権利が議論される際、この経験と教訓が被害者に苦痛をもたらすことが多い」としつつ、「今日では状況が変わった… 幾つかの後退はあったものの、性的虐待事件を調査し対処するために教会が講じた多くの措置は、教会が過去の行動を改め、被害者を認め、彼らに正義をもたらすことに真剣であることを繰り返し示してきた」と語った。

 そして「この意味で議論は継続しており、今や被害者と被告人の権利が互いにどう関わり、どう均衡させるかをより深く考察することが可能かつ必要となっている」と述べ、「教皇が言われるように、教会は虐待問題に過度に集中して他の優先事項を軽視することがあってはならない」と指摘した。

 さらに、「『過剰』と『不足』の危険は常に存在する… もちろん、教会は虐待問題に対処する場以上の存在だが、虐待問題への対応は、教会にとって単なる”周辺的な課題”以上の意味を持つ」と強調した。

 

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 インタビューの一問一答は次の通り。

 

Crux問:全体として、教皇レオ14世がCruxとのインタビューで性的虐待危機について語った内容をどのように受け止めたか?

 

ゾルナー答:率直に言って、グレゴリアン大学のIADC(国際虐待防止センター)のチームと私は、自分たちの取り組みが肯定的に評価されたと感じている。教皇の最近の発言は、私たちが長年取り組んできた問題に言及している。それらは一般社会や専門家の間では全く議論されていないか、ごく表面的にしか扱われていないか、あるいはさらなる精緻化が必要な問題だ。

 例えば、虐待やその原因などとの「単なる」闘いを超えた、保護活動の積極的な正当化をどうするか、福音とカトリック社会教説に沿い、脅威や不必要な負担なしに人間の総合的な発達を促進する手段としての保護活動の積極的で動機づけとなる基盤をどうするか、などだ。キリスト教の道徳的教えに合致した形で加害者に対処する方法、罰・償い・悔い改め・赦しを互いに相対化させずに扱う方法も、課題に含まれる。

 

 

問:教皇は、「何よりもまず、教会が人々が耐えてきた痛みや苦しみに、真摯で深い感受性と共感を示す必要がある」と語っている。今日の被害者の大半が実際に教会関係者から、そのような対応を受けていると考えるか?

 

答:普遍的な教会全体を見渡すと、この問いに明確かつ決定的に答えるのは難しい。これは大陸ごとに異なる各地方教会間の差異だけでなく、個々の地方教会内部の差異にも起因する。差異は被害者への感受性や思いやりの度合いだけでなく、その感受性や思いやりの質にも及ぶ。この「質」とは、単に意識の高低やそれに伴う同情・思いやりの意思の問題ではない。

 それ以上に、私たちは文化的影響を受けた感受性と思いやりが表現され実現される形態をより良く理解し分類し、それらを相乗的に結びつけるという実践的・科学的課題に直面している。教皇が感受性と思いやりの問題に取り組むよう呼びかけた点が、まさにこの点において非常に強い主張となっている。

 

 

問:教皇はこう述べている—「おそらく私たちの多くは、被害を受けた人々が苦しむ中で最善の伴走方法を学ぶ初心者でしょう。専門家の助けを借り、被害者を支え続ける必要がある分野の一つだと考えます」と。あなたは専門家の一人として、この発言に励まされたか?

 

答:この発言は私たち全員にとって非常に励みになる、前向きな発言だ。専門的に主に保護活動に携わる者だけでなく、ボランティアとして、あるいは聖職者・奉献生活者・教会の責任分野で働く者として、保護の理念に基づいて自らの仕事を新たな方向へ向けようとする者にとってもそうだ。

 学び、それによって成長する必要性を指摘することで、教皇は大きなプレッシャーを取り除いている。そのプレッシャーとは、「完璧でなければならない」という思い込みに他ならない。特に虐待問題において、このプレッシャーは逆効果で、行動を阻害する。被害者の苦しみと教会の長年にわたる対応の失敗を考えれば、この問題に取り組むこと自体が重荷に感じられるのだ。

 誰も「過ちを犯したい」とは思わない。誰もが「最善を尽くし、真摯な献身を示そう」とするが、失敗は日常の一部だと気づく。人間の限界を考えれば、失敗はほぼ避けられない。重要なのは、保護活動を含む過ちや失敗から学び、新たに始め、善へと一歩一歩進む決意を持ち続けることだ。これら全ては、性的暴力の被害者が必要とするもの、彼らの権利と信徒共同体の中心における彼らの立場のためにある。

 

 

問:教皇は、虚偽の告発の可能性について警告し、「被疑者の適正な手続きの権利が守られねばならない」と述べ、「時にそれ自体が被害者にとってより大きな苦痛の原因となる」とされた。実際のところ、被害者にとって被告人の権利保護について語ることが苦痛となるケースは多いのか?

 

答:まず、性的暴力の被害者は自分自身の利益、権利、主張だけを考える権利を当然、持っているということを確認したい。彼らは、被告人の権利やその権利が守られているかどうかを気にする必要はない。それは教会法廷など他の者の責任だ。また、被告人の権利保護を担う者たちは、被害者から「被害者を犠牲にして、被告人の権利保護をすることはない」と信頼されねばならない。これこそが過去の最大の問題の一つだった。

 被害者は痛ましい経験を通じて、「あまりにも頻繁に自らの権利が全く考慮されず、被告人の権利だけが全てを支配すること」を知った。この経験と教訓こそが、被告人の権利が議論される際に、被害者に苦痛をもたらす原因となるのだ。

 古い有害なパターンが再び根付くのではないか、という懸念は理解できる。この文脈において、教皇の発言は特に重要だ。彼は被疑者の権利について語っているが、被害者を無視することなく、彼らの感情状態や正当な要求に言及し、その痛みを言葉にしている。

 

 

問:被疑者の権利への注目が不十分だった、という見方に同意するか?

 

答:その質問に答える前に、改めて一つのことを確認せねばならない。教会内の責任ある立場にある者たちは、これまで余りにも長く、余りにも頻繁に、加害者と教会の名声を守ることだけに関心を寄せてきた。性的暴力の被害者は事実上無視され、その苦しみは軽視され、権利は軽んじられ、声は封じられてきたのだ。

 教会がこの失敗に気づいた時、性暴力の被害者が注目の的となるのは必然だった。そうでなければ説明が困難であり、長年行われてきたこと、つまり教会が他の手段を用いて結局は加害者の側に立ち、被害者の権利を守らない試み—と解釈されていただろう。

 幾つかの挫折はあったものの、性的虐待事件を調査し対処するために教会が講じた多くの措置は、教会が過去の行動を改め、被害者を認め、彼らに正義をもたらすことに真剣であることを繰り返し示してきた。この意味で議論は継続しており、今や被害者と被疑者の権利が互いにどう関わり、どう均衡させるべきかをより深く考察することが可能かつ必要となっている。

 これは、適正な手続きを経て有罪判決を受けた被告が、有罪が確定したケースにも当てはまる。有罪判決と刑期を終えた後の加害者への対応、そしてこの文脈でどの標準化された手続きが適切かという問題は、世界のほとんどの市民社会と同様、依然としてほとんど解決されていない。

 

 

問:教皇はまたこう述べている。「教会全体がこの問題だけに集中させるわけにはいかない。それは、教会が使命として世界から求められていることへの真の応答とは言えないからだ」と。教会の使命における他の優先事項を犠牲にして、性的虐待問題に過度に焦点が当てられる危険性があると思うか?

 

答:過剰と不足の危険は常に存在する。もちろん教会は単なる虐待問題の処理場ではないが、虐待問題は教会にとって単なる”周辺課題”ではない。これは福音のメッセージにおける核心的焦点の一つだ。傷ついた者、弱い者、脆弱な者、虐待された者、周縁化された者への配慮という重大な課題であり、イエス・キリストが伝え実践したものである。

 では、教皇が示唆する「偏り」をどう回避するか?結局のところ、虐待問題を教会の全体的な生活、その省察と行動の枠組みに適切に統合することだ。これはまさに私たちがIADCにおける学術的・教育的活動で長年取り組んできたことだ。

 私たちの主張の核心は、脆弱な状況にある人々の安全への配慮としての「セーフガード」は虐待を経験した者、あるいは虐待の危険に晒されている者すべてに対するものであり、人間の全人的な発展への貢献である、ということだ。それは教会の使命の一部であり、性的暴力の被害者が当然に受けるべき権利である。

 性的虐待被害者に対するセーフガードには、二つの解釈の前提がある。

 第一に、虐待の教育・対応・予防のためには、被害者間の個体差を顧みず可能な限り、すべての人間が神の子供として与えられた可能性をさらに発展させることが必要である。それは将来への展望と、自己の成長及び自らの人生を形成する主体性へのアプローチを意味する。

 第二に、性的暴力の影響を受けた人々と共に、そして彼らのために安全を守ることは、教会が一般の人々に対して行う基本的行動と奉仕の模範である。あらゆる人間は本質的に脆弱であり、たとえその脆弱性が誰にも悪用されない幸運な立場にあっても、この脆弱性に対処する方法を学ばねばならない。

 これら二つの解釈的前提から、以下の結論を導く:

 第一に、性的虐待問題への孤立した焦点は、教会生活の表現における不均衡を招くだけでなく、保護活動に根ざした相乗効果の喪失にもつながる。性的虐待に関する議論は出発点に達したものの、終着点には至っていない。

 第二に、内容面から安全確保を通じて発展させる相乗効果の可能性には、構造的な対応が必要だ。具体的には、性的暴力事例に限定して安全確保を扱う担当のポストや委員会、作業部会などの構造は、孤立した結果を生む。それらは常に、教会の「真の」活動や使命とは別の「特例」として現れる。

 保護対策の成果をネットワーク化し、統合的に実現し、虐待現象への関心を教会の使命の重要な一部と捉えるなら、前述の人事・構造は、より広範な統合的制度枠組みに組み込まれる必要がある。これは解釈の基調を定め、ネットワーク化と連結のための制度的機会を提供する。保護対策の場合、これは保護対策が統合される制度的枠組みが、キリスト教的人間学に基づく「人間全体の総合的発展」という積極的なテーマによって特徴づけられることを意味する。

 

 

問:これまでの教皇レオ14世の性的虐待危機への対応をどう評価するか?

 

答:安全確保の分野では、一つの基準が極めて重要だ。それは「真正性」である。言い換えれば、「言葉と行動の一致」であり、これが信頼と献身の基盤となる。これ無しには、安全確保の中核である安全な空間・構造・関係性を構築するいかなる努力も実を結ばない。レオ14世がアウグスチノ会の総長であった頃、そして後にペルーの司教として、私は彼が非常に誠実な人物であることを知る機会があった、虐待問題の全容を認識しているだけでなく、あらゆる形態の虐待が適切かつ専門的、差別化された方法で調査・対処され、効果的に防止されるよう全力を尽くしてこられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年9月29日

・米カトリック・ニューオーリンズ大司教区、聖職者による性的虐待事件で総額2億3000万ドル(約340億円)を被害者たちに支払う和解案で合意

(2025.9.9 Crux   Jack Brook,  Associated Press)

 米国のカトリック、ニューオーリンズ大司教が8日、聖職者による性的虐待の被害者たちに対し総額2億3000万ドル(約340臆円)の和解金を支払う和解案で合意した。、被害者弁護団が8日発表したもので、この合意により、カトリック教会で相次いでいる賠償訴訟の中で、同大司教区で長年にわたって続いていた問題の最終解決に向けた道が開かれたことになる。

 今回の合意について、被害者弁護団は、「被害者たちの『ノー』の力が大司教区を動かし、大幅な増額を実現した」とし、大司教区は声明で、改定和解案を「全ての申し立て生存者の利益となる重要な前進」と述べた。。

 被害者は10月下旬までに和解案の承認可否について投票し、3分の2が承認が得られれば、来年にも支払いが開始される。被害者弁護団のブラッド・ナップ弁護士は、「現時点で、この和解案に反対する虐待被害者側の弁護士は一人もいない。弁護団の全員が支持している以上、否決される可能性は極めて低いと思う」と語っている。

 非営利団体BishopAccountability.orgのテレンス・マッキアナン代表によれば、大司教区の破産手続きは、性的虐待に関連する米国で進行中のカトリック教会破産事件十数件の中でも、最も長い年月を要しているものの一つ。米連邦裁判所で破産手続きを監督するメレディス・グラビル判事は、「この和解案が承認されない場合、事件を却下する」と警告している。

 無担保債権者公式委員会が公表した書簡によれば、破産和解が失敗した場合、被害者は新たな訴訟を通じて虐待被害の賠償を求める必要が生じ、裁判で決着するまでにさらに数年を要する可能性がある。また、大司教区が支払いを遅らせるために再び破産を申請する可能性も出て来ることになる。同委員会は破産事件における虐待被害者の利益を代表し、被害者に和解案の受け入れを促し、個別の虐待被害訴訟を裁判所に持ち込むことは、「攻撃的で敵対的な」大司教区との困難な対立を招き、被害者やその友人・家族が厳しい証言録取や長年の控訴手続きに巻き込まれ、被害者の「精神的・心理的苦痛」を悪化させる可能性が高い、と警告している。

 「多くの被害者は、この問題を解決する準備ができている」と、数十人の被害者を代理する弁護士クリスティ・シューベルトは述べた。「多くの被

害者は今すぐ一定の金銭を受け取りたいと考えている」と言うが、被害者の一人、ケビン・ブルジョワ氏は、「金銭的補償には限界があります。被害者が人生を再構築するために残りの生涯を費やす必要を考慮すれば、真に公平と言える金額など存在しない」と語る。

 ニューオーリンズ出身の彼は聖職者による性的虐待を受け、2020年以前に私的和解を成立させていた。彼は、教区による破産手続きが、「人々を疲れさせ」、虐待を助長した実態を公に隠蔽する手段となっている」とも指摘した。

 5月に大司教区が提示した和解案では、「大司教区が外部専門家を招き児童保護プログラムを評価させ、改善策を提言すること」を義務付けている。また大司教区は、「虐待関連文書を保管する施設を設けること」や「被害者が大司教と経験を共有できる公開フォーラムの開催」などを約束する内容になっていた。

 ニューオーリンズのグレゴリー・M・エイモンド大司教は8日の声明で「虐待被害者の利益となる形でこの破産手続きを完結させることに、私は強い希望と決意を抱いています… 毎日、虐待被害者のために祈っていること、そして彼らと会い、話を聞く機会を心待ちにしていることを知ってほしい…」と述べている。

 エイモンド大司教は、数十年にわたり司祭に対する告発に対処しなかった教会の失敗をめぐり、辞任を求める被害者たちの声に抵抗してきた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年9月14日

・中央アフリカ共和国で司祭による性的虐待の訴え、隠蔽を告発された司教は否定の声明(CRUX)

(2025.7.25 Crux   Africa Correspondent Ngala Killian Chimtom)

 カメルーン・ヤウンデ 発– 中央アフリカ共和国(CAR)のカトリック司教が16日に発表した声明で、教区司祭が関与したとされる性的虐待事件について沈黙し、隠蔽したとの、別の教区司祭からの告発を否定した。

 この司教は、ムバイキ教区のイエス・ルイ・モリーナ司教。声明で司教は、アラン・レ・パトリック・モコパメ神父から出された告発を「噂、不正確な情報、歪曲された解釈」にるものであり、「事実関係を明確にする必要を感じた」と述べた。

 モコバメ師は、司教が教区の司祭による性的虐待事件に対して、沈黙を保ち、事実上”共謀”したとして告発していた。告発は、モコパメ神父が7月13日に司教総代理のポストを解任された直後に発表されたが、これが教区内で、モリ―ナ司教に対する幅広い抗議を引き起こし、一部のカトリック信者が聖体祭の式典中に鍋を鳴らして抗議デモを行った。司教の住居への不法侵入も発生している。 

 モリーナ司教は声明で、こうした抗議行動を非常に強い言葉で非難。「鍋を使ったデモや司教の住居への無断侵入は、教会精神にも、私たち全員が呼びかけられている”シノドスの道”にも反する」とし、教会は「対立の場でも政治の舞台でもない」と述べた。

 また、モコバネ師を司教総代理ポストから外したことについては、「この人事は司教の専権事項であり、対立ではなく共働の精神で行うもの… 総代理は、司教が自由に選択して協力を求める司祭。司教のライバルではない」と語った。

 

 

性的虐待の告発

 

  司教が隠ぺいしたとされる教区司祭による性的虐待については、匿名での小児性愛の告発がもとになっているが、司教は声明で「これは虚偽。私は、カトリック教会と共に、いかなる形態の性的虐待にも断固として反対し、これらの行為を常に明確かつ厳格に非難してきたことを宣言する」とする一方、告発を受けた後になって「被害者を支援するための措置が講じられた」と弁明。

 「モコパメ神父に180ドルを渡し、被害者が婦人科医の診察を受けるための費用に充てられたが、医師の診断では、暴力行為の物理的証拠は見つからなかったと結論付けられている。また、被害者と加害者とされている神父の両方に心理士が派遣された」と述べた。

 また、声明で、「中央アフリカ司教会議が任命した公式の調査官が率いる公式な教会法に基づく調査が、当時、未成年者保護委員会の長だったモコパメ神父による初期調査と並行して行われ、その後、場士官の教理省に付託された。だが、教理省は2023年4月、関与した人物が未成年者ではなかったため、管轄外と判断した」。これと前後して、「2023年1月16日に、教区がこの件を自国の司法当局に通知し、教区が提供した教会の記録を基に独立した調査が開始された」と説明。

 

 モコパメ師は、「司教が加害者とされる司祭の出国を助けた」と非難していたが、司教はこれを否定。「(出国の)決定は、弁護士から『入国と出国は自由にできる』と通知を受けた後、被告の司祭自身が下したもの。私はこの件について相談を受けておらず、承認もしていない」と述べた。

 

 司教はさらに声明で、加害者とされている司祭が福音宣教省に対し、「司教が民事当局に事件を不適切に伝えたとして告発した」ことを明らかにするとともに、同司祭に「真摯な対話」を呼びかけ、「全員が真摯に共感を再建する決意がある限り、和解と対話への準備は継続する」とした。

 最後に、司教は、教区の教会共同体コミュニティに対して、祈りで団結し、平和のために働くよう求め、「主が私たちの過ちと、私たちを傷つけた者の過ちを赦されますように…  全員が役割を果たせば、平和は可能になります」としている。

 聖職者による性的虐待のスキャンダルは、2002年に米国の有力紙、ボストン・グローブが発表した虐待に関する報告で、初めて大々的に明るみに出され、世界中で聖職者の性的虐待が表面化。いまだに性的虐待と高位聖職者による隠ぺいに対する訴えが後を絶たないが、今回の中央アフリカの問題も、カトリック教会における虐待と隠蔽の”普遍的な性質”を浮き彫りにしている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年7月26日

所属司祭(当時)による女性信徒性的暴行でカトリック修道会・神言会に損害賠償を求める裁判10回目開く―被告・神言会「不法行為はない」と全面否定

(2025.7.23 カトリック・あい)

現在東京在住のカトリックの女性信徒が、会員司祭(当時)から繰り返し性的暴行を受けたとして、所属修道会の神言会日本管区に対して損害賠償を求める裁判の10回目が23日午前11時から、東京地方裁判所第615号法廷で開かれた。

前回裁判で原告代理人弁護士は準備書面で、被告・神言会から入手した報告書をもとに10項目以上にわたる性的暴行を働いたとされる会員司祭の行為に関する同修道会の不法行為を指摘していた。

23日の裁判には、被告代理人弁護士が、準備書面で、指摘された10項目以上のものは、全て「不法行為には当たらない」とした。

この中で、原告側が、当該司祭を出国させたのは、「追及を逃れさせるため」と指摘したのに対しては、「そのような意図はない」と否定。同修道会がその際に、当該司祭に100万円を渡し、逃亡を助けた、との指摘には、「あくまで生活資金」であり、指摘された行為には当たらない、などと答えた。

また裁判長から、被告代理人弁護士に対して、当該司祭が、女性に性的暴行を繰り返したとされるのは長崎教区の西町教会の主任司祭で、その後、東京教区に移り、さらに名古屋教区に移ったとされているが、修道会日本管区と日本のカトリック教会の教区などの組織上の関係を、次回裁判までに、明確に整理して説明するように、と”お願い“がなされた。

裁判を傍聴していた約30人の一人の司祭は、当該司祭の卑劣な行為、それをかばおうとする神言会の姿勢に、「どうしてこのようなことになるのか、同じ聖職者として理解できない。修道会も人を選んで司祭に叙階しているはずだが・・ そのような体制が機能していないように思われる」と強い疑問を呈していた。

次回の裁判は10月1日午後4時から615法廷、次々回は12月1日午後3時から606法廷で開催の予定。判決の前提となる証人尋問は来年1月の見通しだが、原告の田中時枝さんが初回から毎回出廷しているのに対し、代理人弁護士にまかせきりで、まだ一度も出廷していない神言会の日本管区長、当該・元司祭がどうするのか、今から注目される。

 

2025年7月23日

改・所属司祭(当時)による女性信徒性的暴行でカトリック修道会・神言会に損害賠償を求める裁判10回目が23日午前11時から東京地裁で

(2025.7.22 カトリック・あい)

 東京在住のカトリックの女性信徒に繰り返し性的暴行をしたとされる会員司祭(当時)が所属していた修道会の神言会日本管区に対して損害賠償を求める裁判の10回目が、7月23日午前11時から、東京地方裁判所第615号法廷で行われる。裁判後には、千代田線表参道駅から徒歩8分の青山外苑法律事務所(渋谷区神宮前 5-44-6)で説明会・支援者集会が予定されている。

 6月4日の前回裁判で、原告側は準備書面で、神言会から入手した会員司祭の行為に関する報告書をもとに10項目以上にわたる同修道会の不法行為を指摘した。被告神言会の代理人弁護士からは、準備書面を読み込む時間が無かったことなどを理由に反論はなかったが、22日の裁判で、どのような対応をするか注目される。

 前回裁判の準備書面で明らかにされた神言会が会員司祭(当時)に関して2018年以降まとめて来た報告書をもとに、原告代理人弁護士が指摘した主な内容として、裁判後の支援者集会で説明された内容のポイントは次の通り。

 ①問題の会員司祭は、被害者の訴えをもとに、神言会の日本管区の責任者が繰り返し問うても、訴えの性的加害について「やっていない」と絶対に認めようとせず、そればかりか、「被害者の妄想」とまで言った。

 ②(神言会は)このままでは、逮捕されたり、民事訴訟になるかも知れないので、出身国のチリに返すしかない、と100万円を与えて出国させた。

 ③これと前後して、本人は自分から神言会を退会し、司祭職も停止されていたが、2020年に日本に再入国し、信徒の女性と結婚して、日本で暮らし、同年10月にはその女性から神言会の日本管区にその旨の報告があった。だが、同管区は、原告被害者とその代理人弁護士には「本人はまだチリにいる」と言い続け、再三の追求に、「2020年7月に、再入国を初めて知った」と認めたものの、居住場所については「知らない」と言い続けた。昨年からの裁判の過程で、被告・神言会の代理人弁護士が、ようやく”首都圏”に本人がいることを認めたが、具体的な住所、連絡先は明らかにしないままになっている。

2025年7月22日

・ペルーの信徒団体による虐待の犠牲者たち、教皇の活動停止処分決定後の対応の遅さに不満

(2025.7.21 Crux  Senior Correspondent  Elise Ann Allen)

 ローマ発-ペルーを拠点とするカトリック信徒団体「 Sodalitium Christianae Vitae (SCV)」が性的虐待を含む虐待行為を広範に行っていたとして、教皇フランシスコから活動停止処分を受けたが、被害者たちは、その後、現地裁判所が出したSCV関連企業の行為を不当する判断などを評価する一方で、カトリック教会の司法面での対応の遅さと組織的な意思疎通の欠如を批判している。

 同国のカトリック信徒、ルイス・フェルナンド・フィガリが設立した信徒団体「 Sodalitium Christianae Vitae (SCV)」は今年初め、教皇フランシスコが亡くなる直前に、活動停止処分を受けた。バチカンで性的虐待問題を担当する教理省のシクルナ大司教による徹底した現地調査の結果をもとに、この信徒団体の本部と支部全ての活動を停止させるという異例の決定だった。各支部で発覚した虐待の中には、会員の身体的、心理的、精神的、さらには性的虐待も含まれており、その中には未成年者として虐待を受けた者も含まれていた。

 また、ペルーのピウラ州カタカオスでは、SCVのメンバーが所有または管理する企業が、農民グループに対して、土地買収の圧力をかけ、脅迫や司法面からの嫌がらせで農民を強制的に土地から追い出そうとしてきた。農民グループは、10年以上にわたって、複数のSCV関係企業による虚偽の申し立てや、暴力の行使で、自分たちの土地から追い出そうとする執拗な試みと闘ってきた。現在、SCV関係企業から少なくとも30~40の虚偽の刑事告訴を受け、「ペルー全国人権コーディネーター(CNDDHH)」が代理人として農民グループを司法面から支援。

 そうした中で、ピウラ州第4刑事裁判所は6月、SCVとつながりのあるConstructora Keheda社による土地簒奪の申し立てを却下する判決を下した。CNDDHHによると、この告発は2015年まで遡り、同社はカタカオス農民から先祖代々の共有地を奪い取ろうと、共有地取得記録を改ざんして公的登記所(Sunarp)に提出し、農産物輸出目的で開発しようとする営利企業に土地を売却したとされている。裁判所は判決の中で、カタカオス農民共同体が1980年代にさかのぼる権利証を持っていること、コンストラクタ・ケヘダが提出した証人は間接的で根拠のない証言をしていることを認めた。

 農民たちは、カタカオス地区の土地はすべて400年ほど前の先祖のものであり、したがって財産の譲渡は集会で過半数の承認を得なければならない、と主張。とりわけ農民たちは、「何年も土地を奪われ続け、土地を取り戻そうとすると、銃撃を含む暴力に遭い、「夫がSCVが運営する会社に雇われた犯罪組織に殺された」と主張する女性もいる。

 CNDDHHは判決を受けた声明で、この裁判所の判断を 「農民コミュニティから土地を奪おうとする企業が推進する犯罪化に、裁判所が正当に対する先例となるもの 」と評価した。

 だが、カタカオス農民たちは、この判決を評価する一方で、、SCV支部の元メンバーたちは、自分たちの裁判の進展の遅さや、教会組織や個人からのコミュニケーション不足に不満を漏らしている。四つのSCV支部の元会員で構成する「真実・正義・公正な賠償を求める会(AVJR)」は、SCVの清算手続きが遅々として進まないことを嘆き、被害者に対する賠償が迅速に行われるよう教皇レオ14世に求める声明を発表。「当協会は、被害者、生存者、その他当協会の使命に献身する人々を代表する当協会の活動の枠組みの中で、教会当局との当協会の調整の現状について、一般の人々に知らせることが必要であると考えている」と述べた。

 AVJRでは、生前の教皇フランシスコやバチカンの担当当局代表などに、SCVの活動停止処分後、「被害者支援のプロセス、プロセスの終結、カトリック教会との行動の調整について知らせてほしい 」と要請してきたが、「今日に至るまで、バチカンのどの部署からも、回答を受けていない」という。

 AVJRの関係者は、教皇フランシスコの死去と教皇レオ14世の就任という大きな動きの中で、教会としての具体的対応が遅れてるのを認めながら、「多くの人々が実際にSCVのメンバーから性的虐待やその他の被害を受けていること、訴えが無視され続けてきたことなどの現実を真剣に受け止めてもらいたい。バチカンはSCVの非道な行為を認め、活動を停止させたが、被害者たちへの賠償、心の癒しなどを目に見える形で示していない」と批判。

 「SCVの活動停止処分に踏み切られた教皇フランシスコと、その後継者であるレオ14世が約束された被害者に対するケアを実践するためには、そのプロセス、責任者、そして行動、期限、手続きについてできるだけ多くの人に知らせることが前提となる 」と主張している。

2025年7月22日

・教皇、バチカンの未成年者・弱者保護委員会の新委員長に仏のヴェルニー大司教を任命

(2025.7.5  Crux  |Managing Editor  Charles Collins)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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2025年7月6日

・「聖職者性虐待、日本でも」—TBSテレビ「News23」で放映、”修道会”は「係争中」を理由に取材に応じず

(2025.7.4 カトリック・あい)

    東京教区の女性信徒が、長崎の教会にいたカトリック修道会、神言会の司祭に繰り返し性的暴行を受けたとして、同会に損害賠償を求めている裁判の9回目が今月23日に東京地裁で開かれる。それを前にして、4日午後11時からのTBSテレビ「News23」の特集で「聖職者性虐待、日本でも」のタイトルで取り上げられた。

TBSテレビ【news23】「聖職者から受けた性虐待を告白 日本でも“聖なる場”で続く訴え 新教皇・レオ14世の対応は?」

 「カトリック教会の新たなトップに選ばれたレオ14世。いま、注目されているのが、世界中で問題となってきた聖職者による性虐待への対応です。日本での被害を教皇にも知ってほしいと訴える女性がいます」で始まるこの特集では、東京地裁での原告被害者の女性や、仙台教区で性的虐待被害に遭った女性は実名で登場し、司祭から性的虐待を受けてからの長い年月の苦しみ、まともに対応しない修道会や教区司祭や責任者のへの怒りなどを切々と訴えた。

 だが、東京と仙台の原告被害者に対し、被告側は性的虐待をしたとされる司祭二人(一人は現在司祭をやめ、一人は死亡)やそれぞれが所属していた修道会、教区関係者は登場せず、実名も出さず、修道会(神言会)はTBSの取材に対し、「係争中なのでお答えできない」と事実上の取材拒否にあったことのみが伝えらえれた。

 特集は、東京地裁での原告になっている東京教区信徒、田中時枝さんの「バチカンにも実状について訴えの手紙を送っています。新しい教皇が訴えを受け止めてくれることを願っている」との言葉で締めくくられたが、周到な取材、とくに加害者側への取材が十分ではなかったようだ。

 聖職者による女性や弱者に対する性的虐待は世界中で問題になり続け、ドイツの教会などでは、それが聖職者、教会に対する信用失墜につながり、多くの信徒が教会を離れるなど深刻な事態が続いている。このような問題をあからさまにするのを避ける日本の風土では、司祭や信徒の数が少ないこともあり、表に出るケースは限られている。

 そうした中で、長崎教区、仙台教区で教区司祭が性的暴行を行ったことで被害女性から訴えられ裁判となった。しかし、これを認めようとしない教区の対応から裁判は数年に渡ったあげく、裁判所から和解勧告を受けて、教区側が”和解金”を払ったものの、被害者に対する謝罪も、精神的ケアも、教会に復帰させる努力もしていない。

 聖職者による性的虐待は、札幌教区でパリ外国宣教会の司祭による男性への性的虐待などの訴えが出ているが、教区側は「修道会のことなので」とし、同修道会の本部の対応も進んでない。ほかにも、東京教区などで、虐待被害の情報があるが、”かん口令”が敷かれていて、訴えが無視されるか、「被害者を精神的に傷つけることになる」などの理由で、現在に至る対応を明らかにしない、と言うのが実態だ。

 そうした中で、これまで一年前に始まった東京地裁での神言会裁判を中心に、週刊誌や一般紙には報じられることがあったが、テレビで、今回の神言会裁判に関係する形で性的虐待問題が取り上げられたのは初めて。TBSは2019年にも特集でカトリック聖職者の性的虐待問題を報じていた⇒https://youtu.be/rzp9hxUEzxM。だが、6年経っても、教会側、修道会側の対応は、実質的に何ら変わっていないことが明確だ。

 神言会裁判については、TBSの他にNHKも、実際に、これまでの裁判の法廷や支援者集会にテレビ取材が入っていることから、放映がさらに広がることも考えられる。これに、関係の修道会や教区が、どのような対応を示すか注目される.

2025年7月2日

・性的虐待疑惑のインドの司教が、独・ミュンスター教区から訪問禁止に(Crux)

  ドイツ、オルデンブルクのエッセンにある聖バルトロメウス教会。(写真提供:ウィキメディア)

 

(2025.6.25  Crux  Contributor   Nirmala Carvalho)

Bishop in India barred from visiting Germany due to abuse allegations

   ムンバイ発 ― インドの司教が、性的虐待疑惑を理由にドイツの教区への訪問を禁止された。 ザ・ニュース・ミニッツ(TNM)が25日までに伝えたところによると、ミュンスター教区によるこの決定は、3月にクマール司教が2005年から2007年にかけて性的虐待を行ったとされる事件に関する被害者からの告訴を受けて行われた、という。

 この司教は、ナルゴンダ教区のカルナム・ダマン・クマール司教。サレジオ会の会員だ。以前司祭を務めていたドイツの教区を再訪する予定を立てていたが、4月17日に、ミュンスター教区から「追って通知があるまで、同教区内での司祭としての活動を禁止する」との連絡を受けた。

 クマール司教は、2024年2月に教皇フランシスコからナルゴンダ司教に任命された。当時、彼はドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州にある独立都市ミュンスターの教区司祭を務めていたが、同教区の複数の教会でチャプレンをしていた際、性的虐待疑惑が起きた

 ミュンスター教区では司祭による性的虐待問題の担当者が、ミュンスター地方検察庁にも報告書を提出しており、同検察庁の広報担当官は、この告発を確認し、TNMの取材に「捜査が進行中だ」とし、「問題の申し立ては相当以前に発生したとされているため、刑事犯罪が既に時効になっているかどうかも調査する必要がある」と説明。具体的な捜査を開始するかどうかの判断は、調査結果を待って行う方針という。

 クマール司教は、2001年から2012年までミュンスター教区に勤務し、その後インドでの様々な任務を経て、2017年から2020年まで再びミュンスター教区で司祭を務めた後、2020年にオルデンブルクの聖バルトロメウス教区に異動した。

 ミュンスター教区は声明で、教皇フランシスコが2019年に公布した「カトリック教会における性的虐待の報告に関する規則」に基づき、「申し立てがあった教区は、バチカンの担当機関である教理省に報告する義務がある」と述べている。また、「被告の居住地を管轄する首都大司教にも通知する義務がある。ナルゴンダの司教の場合、通知先はハイデラバード大司教のアンソニー・プーラ枢機卿であり、ミュンスター教区はこれらの義務を果たした。プーラ枢機卿は、教理省に対し、この事件の調査を開始するよう要請する必要がある」と述べている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年6月26日

・16歳の少年を繰り返し性的虐待したと告発されたインド・ケララ州の司祭が職務停止に(Crux)

(2025.6.17 Crux  Contributor  Nirmala Carvalho)

   インド・ムンバイ発 ―ケララ州 のテリチェリー教区長、ジョセフ・パンプラニー大司教がこのほど、16歳の少年を繰り返し性的暴行したとして告発された同教区のポール・サットゥパランビル神父の司祭としての職務を停止する命令を出したことが17日、明らかになった。同州の人口の約2割がキリスト教徒で占められている。

 同神父への告発内容は、昨年5月15日から8月13日にかけて、少年を自宅に連れ込み、性的虐待を加えたというもの。警察当局によって逮捕された、という情報がある一方で、逮捕すべく行方をおっている、という見方もある。また、同神父は「陥れられたのだ」という教区職員の音声もインターネットで拡散しているという。

 パンプラニー大司教は声明で、「本教区のアティルマヴの聖パウロ教会の主任司祭であるポール・タトゥパランビル神父による児童虐待疑惑の深刻さとスキャンダラスな性質、そしてその後の警察の捜査を考慮し、この件に関して法的専門家を含む適切な協議を行った後、本教区の大司教としての立場において、同神父を主任司祭の職から即時解任する」とし、さらに「彼は司祭としての職務を遂行することを停止される。停止の対象には、本教区の内外を問わず、聖体礼儀の執行や公の場での神の言葉の説教などが含まれる」と述べ、「この職務停止は、被告人がこの件に関して定められた法的​​手続きを経て無罪が宣告されるまで有効である」と付け加えた。

 (翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年6月18日