(2021.9.22 Vatican News By Benedict Mayaki, SJ)
ワルシャワで開かれている中東欧カトリック教会の代表による「聖職者の性的虐待から未成年者や弱い立場にある大人たちを守る会議」が終盤を迎え、主催者のバチカン・未成年保護委員会代表のショーン・オマリー枢機卿が22日、性的虐待の危機への対応における教会の司牧的回心の必要性を強調した。
枢機卿は、Vatican Newsに、自身の個人的体験として、宣教司牧中にこの危機の壊滅的な影響を目の当たりにしたことを語り、危機的状況に対応するための教会の継続的な努力について語った。
*司教と司祭に司牧的な回心が求められている
その中で、枢機卿は、米国の4つの教区で司教を務めた自己の経験を振り返り、そのうち3つの教区で深刻な課題に直面し、被害者保護の重要性を痛感した、と述べた。
そして、自身が担当した教区での、また、教皇ベネディクト16世にアイルランド・ダブリンへの派遣された際の、性的虐待被害者と家族と面会した経験を振り返り、「性的虐待の危機が人々の『教会に対する信頼と信仰』に与える壊滅的な影響の大きさ」を痛感したこと、それを踏まえて、被害者が癒される道を助ける努力の一環としての「被害者の話を聞くことの重要性」を改めて強調した。
さらに、「被害者の何人かは、自分たちが不当な扱いを受けたことに怒りを感じ、正義と癒しを求めています。多くの人が教会に戻る道を探していますが、彼らは教会から拒絶されたと感じ、自分たちの訴えを信じてもらえないのではないか、トラブルメーカーと見なされるのではないか、と恐れています。このため、多くの人が教会への信頼を失っているのです」と指摘。
枢機卿は、「イエスの最優先事項には、福音を伝える前に、まず、『癒し』があります。傷ついた人々が教会に戻ることができるように、彼らを癒し、彼らの訴えの耳を傾けることを含めた、司祭と司教の司牧的な回心が求められているのです」と訴えた。そして、「私たちが子供たちのことを気にしないと思われたら、小児性愛者の司祭を、ある場所から別の場所に移して、子供たちを危険にさらしている、と思われたら、人々は福音を信じないでしょう」と語った。
*必要な教会の継続的な対応
このような状況に直面して、枢機卿は、さまざまな国からの教会指導者を集め、「学びたい、という大きな願望」を示す今回の会議を含めて、被害者の求めに応え、「神の民」の保護を確実にするための教会の継続的な取り組みの必要性を強調。教皇フランシスコと前任者のベネディクト16世に対して、性的虐待の被害者と面会するように求める”特権”を行使し、それに応じたお二人が「自分たちの教皇職に残る非常に深遠な経験」であると痛感され、「それ以来、特に教皇フランシスコは多くの被害者たちをお会いになり、今も連絡を取り合っておられます」と述べた。