・フランス司教団の性的虐待スキャンダル公表に、バチカンも衝撃(LaCroix)

(2022.11.9 La Croix   Loup Besmond de Senneville | Vatican City)

 フランスで大勢の司教が性的虐待や隠ぺいを働いていたことが同国司教協議会(CEF)から公表されたことで、バチカン当局は、教会法に関する秘密保持規則を改訂する必要の可能性を認め始めているようだ。

*教皇は公表を事前に知っていかのか?

 教皇フランシスコは、CEFの公表の前に、11人の司教が性的虐待や隠ぺいで刑法、民法上の取り調べを受けいることを知っていただろうか? バーレーンからの帰国途上の機内記者会見で、教皇は知っていたがどうか明らかにしなかったが、こうは言われた。

 「教会は、すべてを明らかにしようとしています… 教会の関係者の中には、まだ、これ(聖職者の性的虐待が深刻な問題であること)をはっきりと認識していない人がいます… 私たちは、勇気を持って実行していますが、誰もが勇気を持っているわけではありません」。

 La Croixが話を聞いたローマの情報筋は、このフランスの司教団の発表に、皆、ショックを受け、落胆している。

 35年ほど前に14歳の子供に「非難すべき」行為を行ったことを自己の声明で認めたジャン=ピエール・リカール枢機卿が、聖職者による性的虐待問題を扱うバチカン教理省のメンバーであることで、さらに関係者のショックは大きくなっている。世界の枢機卿で、性的虐待に関わったとされた者は、リカール枢機卿で4人目だ。

 

*”透明性”をめぐる議論が起きる?

 今回のCEFの衝撃の公表は、フランスの教会の「性的虐待に関する独立委員会 (CIASE) 」から、極めて多くの聖職者が未成年性的虐待に関与しているとする報告書が発表されて 1 年余り後にもたらされた。報告書は、バチカンの一部の主要な幹部職員をひどく動揺させ、「フランスの教会は、自分自身を撃った」と批判する者さえいた。

 今回の公表の前、フランスのミシェル・サンティエ司教が、性的虐待に対する制裁の形で早期退職を認められていたことが、遅れて明らかになり、問題になった際、バチカン当局者は「私たちは、全面的な透明性ではなく、真実を伝える方法を見つけねばならない」と語っていた。

 あるバチカンの専門家は、今回の公表によって、性的虐待に関わる問題の透明化の行き過ぎを批判する声から、それを評価し、世界の教会にこれに倣う行動を求める声まで、「幅広い議論を引き起こす可能性が高い」とし、「かなりの衝撃を引き起こし、教会を侵食している『聖職者主義』の文化と、誰もが向き合わねばならなくなるだろう」と予想している。

*チリの司教団のような”集団辞任表明”はない?

 バチカンの誰もが、2018 年にチリの司教たちが性的虐待危機への対応を誤り、集団辞任表明に追い込まれたのを覚えている。だが、バチカン当局者は「100人のフランス司教の全員または大部分が同時に去っても、フランスの教会を飲み込んだ危機を解決するのに何の役にも立たない」と信じており、同じようなことが繰り返されることはありそうにない。

  透明性を強調する流れの中で、性的虐待に対する制裁を公に発表する方向に進む必要があるのだろうか。 「何が罪で、何が違反かを明確に区別し、そのうえで、何らかの形の開示のひつようがある」とバチカンの情報筋は述べた。

 CEFのムーラン・ボーフォート会長は、数週間後にバチカンを訪問する予定。また、バチカンは通例であれば、フランスのすべての教区で、今回公表された司教による性的虐待・隠ぺいに関する調査をすることになるが、受ける側も含めて人的資源が足りず、”非現実的”とされた。代わりに、れる. しかし、この計画は、教区事務局に十分な人的資源が不足しているため、非現実的であると見なされた. 代わりに、教理省の長官であるルイス・ラダリア 枢機卿が司教たちをバチカンに呼ぶことになった。

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(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年11月10日