(2023.7.17 Vatican News Edoardo Giribaldi)
米国カトリック司教協議会(USCCB)の児童青少年保護事務局が17日、2022年年次報告書「児童と青少年の保護のための憲章の実施に関する調査結果と勧告」を発表。その中で、「子どもと弱い立場にある大人の安全を確保する呼びかけを続ける教会の継続的な取り組み」を強調している。
今回の報告書は、2002年に米国の司教団が「児童と若者の保護のための憲章」を導入し、聖職者による未成年者性的虐待を防止し、子供と若者を保護するための手順を確立して以来、20回目。
*被害者の勇気と不屈の精神を讃える
報告書の序文で、USCCB会長のティモシー・P・ブログリオ大司教は、この報告書を「守り、癒し、支える奉仕における継続的な努力を訴える一里塚」であるとし、「信頼していた聖職者から危害、虐待、性的虐待を受け、苦しみを訴え、共有した、私たちの姉妹や兄弟たちの勇気と不屈の精神」によって報告書が作り上げられた、と述べた。
2021年7月1日から2022年6月30日までの期間を対象としたこの報告書によると、この期間の虐待被害者の総数は1998人、被害件数は2704件で、人数は2021年報告書よりも399人、2020年報告書よりも1548人減ってはいる。減少の理由について報告書は、「主として、訴訟、補償プログラムへの移行や教会の破産によって、訴えることをしない人が増えたため」としている。
この期間の被害報告の83パーセントを占める2217件は最初に弁護士によって教区、教区代表者に知らされている。うち16件は現時点で未成年者が関係するもので、その他は、現時点で青年になっている人が未成年の時に起きたものだ。
* 被害者支援と安全確保への継続的取り組み
報告書は、また対象期間中に訴え出た254人の被害者とその家族、それ以前に訴えていた1589人の被害者に、教区と管区が支援を提供していることを強調。
さらに、「子供たちと弱い立場にある大人の安全を確保するための呼びかけを継続する教会の継続的な取り組み」に焦点を当て、 具体的には、2022年の一年間に、聖職者、職員、ボランティアに対して合計214万件の身元調査を実施し、210万人以上の成人と290万人以上の子供と若者に、虐待の危険信号を見分け、それを関係部署に報告する方法について指導を行った、としている。