・バチカン未成年者保護委員会、世界の教会に向けた性的虐待防止の新指針策定開始

Pope Francis addresses a meeting with the members of Pontifical Commission for the Protection of MinorsPope Francis addresses a meeting with the members of Pontifical Commission for the Protection of Minors  (Vatican Media)

 委員会が同日発表した声明によると、新指針は、「教会全体で、子供たちや弱い立場にある人々にとって安全な環境を作り出す取り組みを強化」することを目的とし、「世界のすべてのカトリック教会で導入、実施される保護基準の規範」を目指す。

 そして、新指針の役割として、「安全確保についての良い慣行に従って教会における虐待からの保護を促進するのに役立つこと」を強調し、虐待によって衝撃を受けた人々の支援に焦点を絞ること、虐待に対して適切な対応をすることの重要性も指摘している。

 また、これまでの作業で、委員会は「過去10年の間に教会と市民社会が行った活動の分析に基づき、世界の現地の教会のそれぞれの安全保護指針と対策を支援するための新指針の基本原則をまとめているが、さらに、全世界の司祭、一般信徒を対象にウエブサイトを利用した4つの言語による”オンライン調査”を実施する。教皇フランシスコは2016年の使徒的書簡「As a Loving Mother」で、「(性的虐待からの)保護の義務は教会全体に委ねられている」とされており、寄せられた回答は、年末に向けて委員会で検討の上、新指針に反映される。そして新指針は、世界のすべての教会に通知され、現在、各教会がもっている保護指針を新指針に従って更新し、それを委員会に送り、審査を受けることになる、という。

 声明ではまた、新指針では、世界の各現地教会に対して「教皇フランシスコの使徒的書簡 『Vos estis lux mundi(あなたがたは世の光)』の指示に従って、虐待の訴えを受け付け、管理するための、また、特に虐待の影響を受けたすべての人、特に被害者を支援するための体制を確立することを求めることになる」としている。

 声明で述べられている、新指針の他のポイントは、「虐待によって影響を受けた人々、共同体への寄り添い」「教会全体に安全環境を確実にする文化面での配慮」「(被害訴えなどについて)利用しやすい手順の明記」「弱者保護と責任の取り方について、教会指導者の明確な誓約」「教会のすべての聖職者に対する、リスク防止のための継続的な指導、訓練、『保護の文化』への司牧の。 能力の構築 」などだ。

 さらに声明は、未成年者保護委員会は「教会全体の保護指針を更新するプロセスを主導することに加えて、新指針の実行を確実にするための財政的あるいは人的資源が不足している現地教会の支援を行う」と言明。それに沿って、「関係機関と連携して、現地教会の安全防護指針の策定と実施の確実にするための能力構築プログラムを作っている。プログラムは、『誰も、助けを得ないまま、取り残されることはない』という聖母への祈りにちなんで「Memorare」と呼ばれている、と説明している。

 また、「新指針の策定と教会全体の能力構築の進捗状況は、教皇が委員会に要請された『保護政策と手順に関する年次報告書』で明らかにする」とし、 年次報告書の概要は今年 10 月に、世界の現地教会からの報告も含めた完全版は来年 10 月に、それぞれ発表される予定だ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2023年6月25日