・「性的虐待は神が与えられた人間性への裏切り、虐待への”沈黙”を打ち破る必要」ー教皇、仏西部ナントの被害者代表たちに

Meeting of the delegation from the Diocese of Nantes, FranceMeeting of the delegation from the Diocese of Nantes, France 

(2023.11.29  Crux Staff)

  教皇フランシスコが28日、聖マルタ館で、フランスのナント教区の聖職者の性的虐待被害者のグループと面会された。教皇は肺の炎症を引き起こす長引く細菌感染症に悩まされ、ここ数日間スケジュールを大幅に削減していたにもかかわらず、この面会の約束は守られた。

 教皇と性的虐待被害者たちの会見は、フランシスコが教皇在任期間中住んでいるカサ・サンタ・マルタのゲストハウスで行われた。 被害者たちには、聖ガブリエルのモンフォール兄弟修道会とナント教区の「認識と賠償委員会(CRR)」の司祭が同行した。面会は、被害者らが教皇庁未成年者保護委員会(PCPM)本部の当局者らと行った一連の会合に続いて行われた。 公式バチカンニュースウェブサイトは、PCPMとの会合を「地元の教会と会衆とともに追求する証言、記憶、予防の道に焦点を当て、聞き、学び、対話する瞬間」と呼んだ。

 教皇が面会の機会に書かれ、参加者に渡されたメッセージの中で、教皇は、聖職者による性的虐待の被害者が「家族とともに何が真実で善であるかを追求してきた場で、最大の悪に苦しんでいる」ことを認められ、暴力や虐待による子どもの権利の破壊は、神から与えられた人間性への裏切りです」と強く批判された。

 バチカン放送によると、教皇はさらに、「私はPCPMに対し、私に代わってあなたがたの言葉に耳を傾け、『教会と地域社会から虐待を根絶する』という私たちの共通の決意をいっそう固め、鼓舞するために、あなたがたの証言を集めるように要請しました。虐待に対する”沈黙”を破るために、それぞれが自分の役割を果たし、共に努力してください」と要望。さらに、「被害者や生存者の声に耳を傾ける、という積極的かつ敬意を持った寛容さが受け手にあれば、この沈黙は打ち破ることができます」と被害者たちを励まされた。

  脆弱な状況にある成人の被害者が性的に虐待された事件に対する教皇の対応は、しばらくの間、精査されてきた。 元イエズス会のマルコ・ルプニク神父が、約30年にわたって20人近くの成人被害者(そのほとんどは信心深い女性)を性的に虐待したとして告発された事件の処理に関しては、ますます憂慮すべき詳細が明らかになり、この1年で監視が強化されている。 ルプニクが最初に訴追を免れたのは、山ほどの証拠があり、被告人が弁護する十分な機会があったにもかかわらず、教皇が裁判を可能にする公訴時効を解除しなかったためだった。

 その後、ルプニクはイエズス会を去り、故郷スロベニアで彼を良い地位の司祭として受け入れてくれる司教を見つけた。 ルプニクが引き続き公務を続けるというニュースに対するメディアの圧力とスロベニアの人々による強い抗議を受けて、教皇は10月下旬になって、ルプニクに対する捜査再開に同意された。 この”逆転”措置を説明する際、バチカンはルプニクの事件の処理における「重大な問題」を挙げ、それはPCPM によって教皇の注意を喚起したことによる、としていた。

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2023年11月29日