バチカンで能「復活のキリスト」を披露、日本との国交75周年記念(CJC)

 (2017.6.26 CJC)バチカン(ローマ教皇庁)のカンチェレリア宮殿で6月23、24の両日、「勧進能」が宝生流・金剛流の合同で行なわれた。23日は能『翁』(宝生流)と、能『羽衣』(金剛流)が、24日は能『翁』(宝生流)、と復曲能『復活のキリスト』(宝生流)が演じられた。バチカンでの本格的な能楽公演は1984年以来という。

  日本とバチカンの国交樹立75周年記念行事の一環で、『復活のキリスト』は宝生流の唯一のキリスト教演目。公益社団法人・宝生会主宰によるもので、在バチカン日本大使館が共催した。

  『復活のキリスト』は1957年4月21日、ドイツ人宣教師ヘルマン・ホイヴェルス神父原作、17代宝生流宗家・宝生九郎の演出により、宝生能楽堂で初演。63年に、キリスト能制作事業として『キリスト文化と日本古典芸術祭』での再演が最後となったものを復活した「復曲能」。今回の上演では、主役のキリストを宝生流宗家の宝生和英さん(31)が務めた。□

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◎バチカン科学アカデミー新会長にドイツの経済学者ブラウン氏
 【CJC】バチカン科学アカデミーの新会長に、教皇フランシスコはドイツの農業経済学者ヨアヒム・フォン・ブラウン氏を任命した。
 ブラウン氏は、ボン大学教授(経済と技術)兼開発調査センター長。栄養失調に関する権威として知られる。ゲッチンゲン大学、キール大学教授、国際食料政策研究所(IFPRI)所長などを歴任、科学アカデミーには2012年から会員に選ばれている。□
2017年7月1日

 バチカン銀行が44億円の利益上げる(CJC)

 (2017.6.26 CJC)CNS通信報道としてカトリック新聞が6月25日付けで、バチカン(ローマ教皇庁)の『宗教事業協会』(通称バチカン銀行)は2016年に3600万ユーロ(約44億円)の利益を上げた、と伝えている。

  同協会の16年末時点の資産は57億ユーロ(約7018億円)で、その中には1万5千近い顧客の預金と投資が含まれる。顧客のほとんどは全世界の修道会やバチカン省庁とその従業員やカトリック司祭。同協会の年次報告書が明らかにした。同協会が6月12日に発表した声明によると、利益の全額が使徒座(バチカン)に引き渡され、同協会の引当金勘定に回ることはないという。□

2017年7月1日

 バチカン・来秋のシノドス準備へ若者の声を聞くウエブサイト開設

(2017.6.13 Vatican Radio)全世界司教会議(シノドス)準備事務局が13日、来年10月開催する「若者たち、信仰と召命の判断」が主題のシノドスを準備するための専用ウエブサイトを14日から開設する、と発表した。全世界の司祭、信徒を巻き込んだ準備作業の一環で、全世界の若者の積極的な参加、質問への回答を含めた意見表明を期待している。アドレスはhttp://youth.synod2018.va。

 発表文によると、このウエブサイトは、シノドス準備のために全世界からの若者たちの幅広い、対話方式による参加してもらうように企画された。使用言語はイタリア語、英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語で、若者たちに直接、質問を投げかけ、回答を受ける。回答は、事務総長あてで、締め切りは11月30日。シノドスの準備書面の作成に生かされる。

2017年6月24日

 第15回シノドス準備文書の質問票、各教区へ配布(日本カトリック司教協議会)

 2018年10月、「若者、信仰そして召命の識別」をテーマに、世界代表司教会議(シノドス)第15回通常総会が、バチカンにおいて開催されます。今回は、青年がテーマとなるシノドスで、日本からは代表司教として、勝谷太治司教(札幌教区)が参加予定です。

 今回のシノドスのための準備文書が、ことし1月、シノドス事務局から送付され、邦訳ののち、各教区に配布されました。準備文書の巻末には、シノドス総会を準備するため、各国からの意見を集約するための質問が添付されており、司教協議会、青少年部門がこれを整理して、全国の皆さんに答えていただくための質問票を準備し、これも各教区に配布されています。

 各教区事務局、教区青年担当を通じて、この質問票のとりまとめを行っていますので、関係各位のご協力をよろしくお願いいたします。中央協議会への回答送付の締め切りは、7月末となっています。来年のシノドスが実り多いものとなりますよう、皆さまのお祈りをお願いいたします。

質問票は以下の通りです。

      世界代表司教会議(シノドス)第 15 回通常総会「若者、信仰、そして召命の識別」準備文書の質問

. 本質問の目的は、「権限ある」当該機関が若者の世界に対する理解を表し、召命(司祭・修道者及び、信徒としての一般的な神の呼びかけ)に同伴する、という経験を考察する際の助けとなることです。これは、シノドスの作業文書すなわち「討議要綱」草案を作成するための情報収集を意図しています。
・日本カトリック司教協議会青少年司牧部門では、青少年司牧にかかわる担当司祭や教会内外の青年が質問に答えやすいように、シノドス準備文書に掲載された質問の中から、日本の教会として回答が必要な事項を抜粋し、また、わかりにくい質問については表現を変え、質問書の改訂版を作成いたしました。以下の点に留意し、ご回答くださいますようにご協力をお願いいたします。
・ 項目毎に最大 1 ページ以内でまとめてください。必要に応じて資料を別に添付することもできます。個人で、または複数で分かち合って作成してもかまいません。
・ 翻訳文書にある「1.統計データの収集」の質問事項については、日本全体のデータを青少年司牧部門で作成いたしますのでこの質問項目からは省いています。
・ それぞれの質問事項の前に主な回答対象者を( )にて表していますが、それぞれの教区、修道会で回答できる項目にご回答ください。
・ 質問事項の提出方法は以下の通りです。
①書 式: 自由(教区名(修道会名)、回答者名を明記してください)②締 切: 2017 年 7 月末日必着
③送付先: 日本カトリック司教協議会 第 15 回シノドス代表参加者 勝谷太治宛
〒135-8585 東京都江東区潮見 2-10-10 カトリック中央協議会 司教協議会秘書室気付 FAX 03-5632-4465

E-mail gensec@cbcj.catholic.jp(なるべく E-mail 送信していただけますと助かります)

 (注・バチカンのシノドス準備事務局が開設中の「若者シノドス」準備サイト(http://youth.synod2018.va)を使って、直接、事務総長あてに、11月30日までに回答を送れば受け付けてもらえる。英語、あるいはイタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語での回答が必要だが、回答内容は比較的やさしい。語学の訓練にもなるので挑戦してみては!・・「カトリック・あい」より)

質問事項
(司牧者による回答)
1.状況を考察する
a)若者、教会、社会
①教会は、どのような方法・手段で、若者の現実を把握していますか。②今日の日本における若者にとって、人生を歩む上で起こりうる課題と、それらを乗り越えることができる機会はどのようなものがありますか。③教会の組織の「中」で(例年行われているか否かにかかわらず)、どのような若者の集まりが、大きな成功を収めていますか。それはなぜですか。④教会の組織の「外」で(例年行われているか否かにかかわらず)、どのような若者の集まりのが、大きな成功を収めていますか。それはなぜですか。⑤今日若者が、教会に真に求めている(内面・外面)のはどんなことですか。⑥今日若者が、小教区、地区、教区などの教会共同体で役割を担って活動するには、どんな参加の仕方や可能性がありますか。⑦教会に来ない若者(教会から離れた青年、まだ洗礼を受けていない青年)と、どのようにしてつながりを持つことができますか。またつながりをもつことができる場所や機会があれば書いてください。
(司牧者による回答)
b)若者のための召命司牧プログラム(9・10 の回答は教育関係者でも可)

 ⑧家族や小教区は、どのように若者の人生の選択(広い意味での召命)に関わっていますか。⑨(ミッション校やコレジオなども含む)小・中・高等学校、大学、その他の教育機関は、召命の識別において、どのように若者の養成に貢献していますか。⑩デジタル世界が発展し、社会や文化に変化が生じてきています。それをどのように考えていますか。⑪ワールドユースデーや他の国内外のイベントは、通常の司牧活動にどのように組み込まれていますか。⑫あなたの教区では、どのように若者のための召命司牧プログラムを計画していますか。。
(司牧者・召命担当者・神学校関係者等による回答)
c)若者に寄り添う司牧従事者
⑬聖職者や他の養成に携わる人は、どのくらいの時間を個人的霊的指導に使っていますか。またそれをどのような方法で行っていますか。 ⑭若者の養成のための取り組み、計画、行事の中で、召命司牧にかかわる人々のために、制度化(年間計画に入っている等)されたものがありますか?⑮神学校においてどのような個人指導(霊的指導を含む)が行われていますか。
(司牧者・青年による回答)
d)地域別の質問
アジア ①日本において、カトリック以外で、若者を引き付けている他の宗教の集りは何ですか。なぜ、またどのような方法で、若者を引き付けているのでしょうか。②世俗主義が優位を占める社会の中で、キリスト教の教えは、どのように日本文化の価値観と結びつていますか。 ③若者のための司牧活動で、特にメディア、スポーツ、音楽などは、どのように有効活用されていますか。

(司牧者・青年による回答)
2.活動の分かち合い
①あなたが現在置かれた状況において、同伴者と共に成長できるような霊的活動の機会を挙げてください(あなたが青年と一緒に行っている、青年のための活動は何ですか)。世界の教会という視点に立って最も興味深く、適切であると思われる活動を、3 つ選び、以下の形式に基づいて述べてください。(活動ごとに 1 ページ以内で回答)① <説明> 数行で、大まかに活動について述べてください。対象者は誰ですか。どこでどのように活動が行われていますか。② <分析> 叙述形式でも良いので、重要な要素をよりよく理解できるよう、活動を評価してください。その目的は何ですか。理論的な根拠は何ですか。最も興味深い視点は何ですか。どのようにそれらを展開しますか。③ <評価> その活動の最終目標は何ですか。もし達成されない場合の後の展開はどうしますか。なぜ達成されないのでしょうか。その長所と短所は何ですか。社会的、文化的、そして教会のレベルにおける影響はどのようなものでしょうか。その活動はどのような意味で重要、若しくは啓発的なものですか。
以 上


なお、シノドス事務局から送付された「準備文書」は以下のページです。

世界代表司教会議(シノドス)第 15 回通常総会「若者、信仰、そして召命の識別」準備文書 日本語訳 2017 年 5 月 25 日 バチカン

 「これらのことを話したのは、わたしの喜びがあなたがたの内にあり、あなたがたの喜びが満たされるためである」(ヨハネ 15・11)。これは、あらゆる世代のすべての人々のための神の計画です。その中には、第三千年期を生きるすべての若者が一人残らず含まれます。
福音の喜びを宣べ伝えることは、神によって委ねられた教会の使命です。「新しい福音宣教」をテーマとするシノドスと、使徒的勧告『福音の喜び』は、いかにこの使命を現代世界において成し遂げるかを扱いました。一方、「家庭」をテーマとした二つのシノドスと、シノドス後の使徒的勧告『愛のよろこび』は、家庭が福音の喜びを見いだすための助けとなるものでした。
教会はこの使命に従い、また「若者、信仰、そして召命の識別」をテーマとするシノドスを通して新しい方法を紹介しながら、どうしたら若者がいのちと愛の充満への招きに気付き、受け入れることができるか、彼らを導く方法を考察することにしました。それと共に教会は、今日、福音を告げ知らせるための最も効果的な方法を識別する際に、若者の助けを求めることにしました。若者の話に耳を傾けることによって、教会は再び、神が現代世界で語りかけることばを聴くでしょう。サムエル(サムエル記上 3・1-21 参照)とエレミヤ(エレミヤ 1・4-10 参照)の時代と同様に、若者は聖霊によって導かれ、わたしたちの時代の時のしるしを識別することができます。教会は、若者の願望に耳を傾けることにより、将来の世界と教会が歩むよう招かれている道を、垣間見ることができるのです。
愛の召命は、日々の生活の中での一連の選択を通して、一人ひとり、具体的な形を取ります。それらの選択は、生活様式(結婚、聖職、奉献生活など)、職業、社会的、公的な取り組み、ライフスタイル、時間や金銭の管理などに表れます。これらの選択が自らの意志でなされるのか、単に受け入れただけなのか、意識的か無意識かにかかわらず、誰もこれらの選択を行うことから免れません。召命の識別の目的は、それらの選択を、信仰の光に照らして、皆が招かれている喜びの充満に向かう一歩へといかに変えていくかを見いだすことです。
教会は、「若者の力と素晴らしさの根拠となるものを知っています。それらは具体的には、仕事に喜んで取り掛かる力、後退せずに完全に自分自身を投入する力、立ち上がり新しいやりがいを求めて再び始める力などです(第二バチカン公会議若者へのメッセージ、1965年 12 月 8 日)。教会の霊的な伝統という財産は、良心の養成と真の自由へと導く、多くの手段を与えてくれます。

2017年6月24日

 司教任命にもっと一般信徒の意見を・・枢機卿会議が検討(Tablet)

2017 .6.16 Tablet by Daniele Palmer)

 インドのボンベイ大司教で教皇フランシスコの側近、オズワルド・グレイシャス枢機卿が、枢機卿9人で構成する教皇顧問会議(G9)が「司教の選定に当たって、一般信徒の関与を高める方向」で検討していることを、National Catholic Reporter 紙に明らかにした。

 新司教の選定は、通常は隣接教区の司教たち、前任者、当該国に駐在するバチカン大使、そして教皇の要請のもとに行われることになっており、一般信徒も時として相談を受けることがあるとされているが、グレイシャス枢機卿によれば、実際には、「これまでバチカン大使の裁量に委ねてきた」のだとし、「それを義務的なものとすべきでないかどうか、について検討を重ねていた」という。

 バチカン大使に一般信徒の意見を聴くことを義務付けることで、新司教選定が従来よりももっと「客観的に」なされるようになり得る。選定に意見を述べる範囲を公式に上位聖職者以外に広げた場合、教区の司祭、信徒とよく協調行動のとれる人物が選ばれるかも知れない。グレイシャス枢機卿はそのようにプラス面を指摘する一方、「誤った人物を司教に選んだ場合、教会の司牧活動を何年も後退させる可能性もある」とクギを差している。

 もしも、教皇が顧問会議の勧告を受けれた場合、教会運営に一般信徒をより多く参加させようとする現在の彼の努力の見本になるだろう。教皇とその側近たちは、バチカンあるいは地方教会の管理運営に一般信徒をより多く参加させることは、より多くの司牧的対応を考慮したものになる-信徒たちの求めるものをもっと良く認識し、それにもっと良く合うようになる-と考えている。

 G9は現在、バチカンの新たなapostolic constitution の原案つくりを託されているが、過去において、教皇庁の欠かせない職務を担当する部局の幹部ポストの一般信徒への開放を決めた実績がある。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

 

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher” and that you quote our website address http://www.thetablet.co.uk)

 

 

 

 

 

2017年6月20日

 ”横領司教”に抗議して司祭数十人が辞表・・インドネシアで(Tablet)

 

(2017.6.16  Tablet  by Catholic News Service)

  インドネシアの数十人のカトリック司祭が、同国フローレス島の担当司教が10万ドル(約1100万円)の教会の資金を私的に使い込んだしとして、これに抗議して職務を放棄した。Ucanews.comによると、同国ルーテン教区の少なくとも69人の司祭が、6月中旬、司教代理や小教区管理者としての職務を放棄、辞表を提出し、ウベルトス・レテン司教が彼らの「教区経営の全面見直すように」との要求を受け入れるよう、強く求めた。

 これについて、レテン司教は12日、記者たちに「司祭たちには、職務を離れてほしくないが、辞任は彼らが自由に判断することだ」と語り、「もし教会を愛するのであれば、人々の不安を静めねばならない」と述べたが、自らに対する申し立てに対してはコメントを拒んだ。

 抗議中の司祭たちのスポークスマンとなっているマーテン・チェン師は「教会が聖霊の導きに沿ったものとなる」ために教区経営の全面見直しは絶対に必要、と強調し、「教会運営、財政管理とともに、司牧活動についても、刷新が必要です」と訴えている。何人かの司祭はucanews.comに対して、自分たちがこのような行動にやむを得ず出たのは、レテン司教と話し合いによる問題解決が全くなされなかったため、と説明した。

 抗議行動に加わっているある司祭は匿名を条件に、「前向きな反応があれば、このようなことをしなかっただろう」としたうえで、レテン司教の具体的な問題行動として、司教がインドネシア司教団から9万4000ドル、司教区から3万ドルをそれぞれ内密に借り入れたが、会計報告に記載しなかったことを明らかにし、その使途について、ある会合で、彼が司祭たちに「米国でパイロットになる勉強をしている貧しい家庭の若者への資金援助に使った」と説明したものの、その具体的な中身の説明を求められたのに対して、「そのようなことを知る必要はない」と回答を拒否した、という。

 同司祭によると、この問題に関して昨年、同教区の167人の司祭の内112人がレテン司教を信任しないとする文書に署名した。その理由は、問題の使途不明金がレテン司教と恋愛関係にある女性に渡っているという疑念を持っているからだという。2014年に、司教のこうした関係について知っていると言明した司祭が、司祭職を辞め、その内容を公けにしたが、司教はこの訴えを「中傷だ」と批判している。

 別の司祭によれば、この問題はインドネシア司教協議会で調査が行われ、報告にまとめてバチカンに送ったが、「バチカンはまだ何の対応もしていない」と語っている。

(翻訳「カトリック・あい」南條)

 (Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher” and that you quote our website address http://www.thetablet.co.uk)

 

 

2017年6月20日

 仏ルモンド紙が「枢機卿就任予定のマリの大司教がスイスの銀行に秘密口座」と報道(Tablet)

 PICTURE: Cardinal-designate Jean Zerbo of Bamako, Mali, is pictured while greeting visitors in Bamako on 25 May. He will be among five new cardinals to be created by Pope Francis at a Vatican consistory on June 28.

(2017・6・6  Tablet   Ellen Teague, Rose Gamble)フランスの高級紙、ル・モンドが、5月31日付け記事で、マリ共和国のジャン・ゼルボ大司教(73)がスイスの複数の銀行への口座開設に関与している、と報道した。ゼルボ大司教については先日、教皇フランシスコにより枢機卿に選ばれることが発表され、6月28日にバチカンで他の新枢機卿と共に就任式が行われる予定だ。

 マリの司教会議はこれを否定しているが、同紙によれば、マリ大司教を含む数名の司教がスイス銀行の口座に1200万ユーロ(約15億円)を預金しているという。口座を開いたのは、2002年初頭。当時、ゼルボ大司教は、マリ司教会議の財務を管理していた。口座はスイスの銀行幹部とゼルボ大司教を含む教会幹部との間で秘密裏に開設された。同紙の調査によれば、2002年にモナコで7つの口座が開設され、現在はジュネーブのHSBCプライベートバンクに口座があり、現在も使われている。

 マリのカトリック教会は極めて乏しい資金で運営されており、バマコの司教座聖堂は現在、老朽化で使用できず、信徒たちなどから集めている補修費も十分集まらず、しばしば近くの駐車場でミサを捧げる状態だ。このような状態の中で、多額の資金がスイスの銀行に秘密に置かれているのは、極めて不自然で、この報道をきっかけに関係者の間で大きな議論を呼んでいる。

 この問題について、ゼルボ大司教は、英国BBCの取材に対して、「自分は、スイス口座に関連したマリの教会関係者の一人ではない」と関与を否定、「海外の資金はすべて、フランスのコロニアルミッショナリーから引き継いだものだ」と語っている。

(翻訳・「カトリック・あい」岡山康子)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher” and that you quote our website address http://www.thetablet.co.uk)

 

2017年6月17日

 枢機卿会議開く―バチカン改革を継続検討

(2017.6.14 バチカン広報局)第20回枢機卿会議が12日から14日にかけて、教皇フランシスコ隣席の下に開かれた。 グレグ・バーク報道官によると、会議では、世界の教会に対して教皇庁の各部局がよりよく奉仕するための方策についてさらなる検討を進めた。これには、司教候補を選ぶための、聖職者、一般信徒などからなる協議の場の設置も含まれた。

 他の課題としては、バチカンへの権力集中を減らす試みとして、教皇庁の部局の機能の一部を世界の各教区の司教たちや司教団への移管の可能性-例えば、未婚の終身助祭の司祭叙階の審査と認可、伴侶を失った終身助祭の再婚や司祭叙階の申請への対応についての権限の、聖職者省から司教協議会への移管の可能性-も検討された。また、福音宣教省などいくつかの教皇庁部局についてもさらなる検討が加えられた。

 枢機卿会議は、また教皇庁の諸宗教対話評議会、東方教会省、法文評議会、そして最高裁判所・内赦院・控訴院の三つの裁判機関の計6つの部局にの在り方に関する教皇に提出予定の諸文書の検討を進めた。また、ジョージ・ペル枢機卿は自身が責任者を務める財務事務局の予算策定や財務計画立案などに関する業務改善案を提出。広報事務局のダリオ・エドアルド・ビガーノ局長からは教皇庁の新システムの導入などコミュニケーション・システムの改革作業についての報告が出された。

 次回の枢機卿会議は9月11、12、14日に開かれる予定。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

 

 

 

2017年6月15日

 バチカン・来秋のシノドス準備へ若者の声を聞くウエブサイト開設

2017年6月15日

「言葉や口先だけでなく、行いで・・」教皇「貧しい人たちの日」制定ー11月19日に

(2017.6.13 バチカン放送)教皇フランシスコが、カトリック教会の記念日として「貧しい人たちの日」を新たに制定された。典礼暦の年間第33主日に記念され、第1回目の今年度は11月19日(日)がその日となる。教皇はこの日に、出会いと友情、連帯や、具体的な支援の機会を多く設けるよう希望されている。

 教皇は、「いつくしみの聖年」の終了後、典礼暦の中に特別の日を設け、全世界のキリスト教共同体が、最も貧しく助けを必要とする人たちへのキリストの愛をより具体的に証しするよう、希望を表明されていた。今回の「貧しい人たちの日」制定にあたり、教皇はメッセージを出され、「貧しい人たちと分かち合うことが福音の最も深い真理の理解につながるように」と祈られた。

 メッセージは、冒頭で「子たちよ、言葉や口先だけでなく、行いをもって誠実に愛し合おう」という「ヨハネの手紙1」の言葉( 3,18)を引用し、「キリスト者に必要なのは虚しい言葉ではなく、具体的な行いです」と強調。そして「師イエスにならい、貧しい人々の叫びにその黎明期から重きを置いてきた教会は、これらの人々への奉仕を大切にしてきました」として、「重い皮膚病の人を抱擁し、施しを与えただけにとどまらず、彼らと共に暮らすことを決意したアッシジの聖フランシスコのように、貧しい人のために自らを捧げる人々」を数多く生んだ、教会の歴史を回顧している。

 「貧しさは、キリストの弟子にとって『貧しいイエスに従う』という『召命』でもあることを忘れないように」と全世界の教会、信徒たちに求め、「貧しさとは、『自分の限界と罪の状態を認めることができる謙遜な心』、『幸福の条件としてお金や成功を求めない心』でもあります」としたうえで、「キリストに眼差しを据え、貧しい人々の中にキリストを見出し、奉仕した聖フランシスコにならい、真の貧しさを証しするように」と促された。

 また、今日の社会で「貧困」を明確に定義することは難しいが、それでも「貧困は、疎外や、暴力、拷問、囚人生活、戦争、自由と尊厳の欠如、無学、医療危機、失業、人身売買、亡命、強制移住などに苦しむ非常に多くの顔となって、毎日、私たちに訴えているのです」とし、「福者パウロ6世の言葉にあるように、これらの貧しい人々は『福音的な権利』によって教会に属しています」「貧しい人を受け入れ、助けを差し伸べるために開かれる手は、幸いです」と強調された。

 さらに、カトリック教会の他の記念日と並んで、「貧しい人たちの日」を制定することで、「イエスの貧しい人々への特別な愛、という素晴らしい福音的要素を加えることを願っています」とし、「貧しい人たちの日」に、「全教会とすべての善意の人々は、助けと連帯を求める人々の手を見つめなくてはなりません」。具体的には、「多くの交流行事とともに、貧しい人々と一緒にミサに与ること」は、翌週祝われる『王であるキリスト』の祭日にさらに深い意味」を与え、「身近にいる貧しい人々に積極的に寄り添い、受け入れる機会にして欲しい」と訴えられた。

 メッセージの締めくくりに、教皇は「『貧しい人たちの日』を記念する上で基礎となるものは、常に『祈り』。特に『主の祈り』を『貧しい人々の祈り』として、観想しながら唱えるように勧め、「貧しい人たちの存在は、問題要素ではなく、福音の本質を受け入れ、それを生きるための財産なのです」と念を押された。

 

2017年6月14日

「諸宗教対話の場でも、女性が一層、活躍できるように」と教皇

教皇フランシスコ、教皇庁諸宗教対話評議会の関係者と

(2017.6.10 バチカン放送)教皇フランシスコは9日、「普遍の兄弟愛の教育における女性の役割」をテーマに定例総会を開いた教皇庁諸宗教対話評議会(議長:ジャン・ルイ・トーラン枢機卿)の関係者とお会いになった。

 この会見で、教皇は「多様化、グローバル化した今日において、社会の中で普遍の兄弟愛を教える女性の役割を、もっと認識する必要があります」と強調し、「女性がその賜物を共同体の中で発揮する時、社会がそれを認識することで、良い方向へと変容しながら、人類家族の本質的一致について一層考えを深めることができるのです」と話された。

 そして、「女性が地域・国内・国際社会の様々なレベルで、社会・経済・政治、そして教会生活に関わっていく」ことを希望され、「受容と相互尊重を生み出すことができる女性たちは、教育者として特別な召命を持っています」と指摘。「女性たちは母としての役割以外にも、家庭教育の中心を果たし、教育界におけるその貢献は計り知れません」と語られた。

 さらに、「男性も女性も、すべての人が、それぞれの感受性と役割をもって、兄弟愛と平和の教育に参加するよう求められ」ており、「中でも生命の神秘と密接に結びついた女性は、命を大切に守る心と、愛だけが世界で皆の共存を可能にするという確信によって、兄弟愛の精神を推進する大きな力を備えているのです」と念を押された。

 「普遍の兄弟愛の教育では、友情や相互尊重を築くとともに、諸宗教対話を学ぶことが必要」と強調され、「女性は、生活の面からも諸宗教の対話に取り組み、多文化的な現実について理解を深めるために貢献できますが、同時に宗教体験や神学などのレベルでも、意見を交わすことができます」としたうえで、「人に耳を傾け、受容する力と、寛大に開かれた心をもって、女性が諸宗教対話において、一層、活躍できるように」と希望を述べられた。

 

2017年6月11日

「使徒的勧告『(家庭における)愛の喜び』は西欧の『緩み過ぎ』に警鐘」と有力枢機卿

 (2017.6.1 Crux  ジョン・L・アレンJr, イネス・サン・マーチン)   教皇フランシスコの使徒的勧告「Amoris Laetitia(家庭における)愛の喜び」を批判する人々は「慎重な姿勢を取りつつ、離婚して再婚した信徒に聖体拝領の道を開けることが、結婚の崩壊に対する寛容な姿勢を加速する」と危惧しているが、Cruxとの会見に応じた教皇の側近、ウイーン大司教のクリストフ・ショーンボルン枢機卿は、この使徒的勧告に真剣に耳を傾ければ、「識別を重視せよ」との呼びかけが西欧社会の「緩みすぎた傾向」に警鐘を鳴らしているのが分かる、と強調した。

  ドミニコ会士のショーンボルン枢機卿は欧州の高位聖職者の中でも指導的立場にあり、その聡明さでも知られているが、現在の西欧社会とキリスト教会の現状について、「一般的に人々は離婚や再婚の問題意識が甘くなりがちだ。一方で厳格になりすぎる者もいるが、教皇は Amoris Laetitiaで、大変重要なことを指摘されている。それは識別することの重要性だ。厳格な人々も、甘い人々も、識別をしっかりしている、とは言えない。厳格な人々はすべてを識別もせずに何もかも分かっているかのように考え、甘い人々は何でもよいことにしてしまっている」と語った。

  この言葉は、Amoris Laetitiaの昨年春の発表をきっかけに西欧の教会関係者の間で大問題になっている離婚・再婚者への聖体拝領を認めることの是非の判断は、この勧告を基にすれば、現在、多くの教会で実際にされているよりも、もっと厳格な識別の過程を経てなされるだろう、との見通しを示したものだ。

  枢機卿はまた、この使徒的勧告が世界中の教会で受け入れられるまでには、長いプロセスが必要であり、「現在、司教グループの間で様々な解釈が行われているのは、問題視することではない」との判断を示した。カトリック教会は早急に現実的な結論を引き出そうと急ぐべきではなく、もっとこの勧告の真意を読み取ること、特に識別の必要性を認識することに集中すべきであり、その過程で「議論することが必要。司教や信徒たちの意見が一致しなくても、気にかけることはありません」としている。

 (翻訳「カトリック・あい」岡山康子)

2017年6月6日

 監督が語る教皇フランシスコの半生、『ローマ法王になる日まで』(読売新聞)

・この映画は、映像的には優れているが、内容は、波乱万丈、‶地獄” を体験した半生を二時間弱に圧縮したこともあり、浅い。教皇を深く理解するために、この映画の原本になったと思われ、バチカンの高位聖職者も読んでいる「教皇フランシスコの挑戦―闇から光へ」(ポール・バレリー著、南條俊二訳、春秋社刊)をお読みいただきたい。(「カトリック・あい」南條俊二)

(2017.6.7 読売新聞)2013年3月に就任した第266代ローマ法王フランシスコ。映画「ローマ法王になる日まで」(公開中)は母国アルゼンチンの軍事独裁政権下で難しい教会運営を担うなど、時代に翻弄された彼の半生の物語だ。イタリアのダニエーレ・ルケッティ監督は「一人の人間の成長を描く教養小説」と語る。

 本名はホルヘ・マリオ・ベルゴリオ。カトリック中央協議会(東京都江東区)によると、1936年ブエノスアイレス生まれで、イエズス会入会後、73年にアルゼンチン管区長に任命された。76~83年の軍事独裁政権時代には、軍の圧力に苦しみ、神父が虐殺される悲劇に見舞われながらも職責を果たしていった。

 独裁政権は宗教を否定する共産主義と対立する点で教会には都合が良く、神父の中には様々な立場があった。「政権に好意的か、政権に無関心だが虐待されている人に手を差し伸べるか、政権に反対するか。教会が持ったニュアンスをできるだけ正確に表現しようと思った」といい、ベルゴリオは「2番目の立場」と監督はみる。

 映画では、軍の弾圧で多くの人が失踪していることについて、彼が海軍大将に批判的な言葉を投げるシーンも描かれる。「聖職者になる過程をまっすぐ描く古典的な映画でなく、彼の変化や教会が複数の立場を持っていたことを明らかにしたかった」と語る。

 法王は、トランプ米大統領の移民流入阻止政策について、大統領選時に批判するなど国際情勢に対して積極的に発言。政治的な影響力も見せている。「人間の中心にあるべきものはお互いの愛情であると、彼はずっと主張してきている。法王は今、平和のために行動している唯一の進歩主義者と言えるかもしれない」(文化部 武田裕芸)

 映画『ローマ法王になる日まで』は、6月3日から東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で公開中。

2017年6月2日

 教皇と米大統領の会談は「命、信教の自由、そして良心」に焦点(Crux 関連・読売)

Pope and Trump focused on life, religious freedom and conscience, Vatican says

U.S. President Donald Trump stands with Pope Francis during a meeting, Wednesday, May 24, 2017, at the Vatican. (Credit: AP Photo/Evan Vucci, Pool.)

(2017.5.24 Crux スタッフ)  教皇フランシスコとトランプ米大統領の初の会談が24日朝、バチカンの教皇執務室で行われ、会談後に教皇庁から発表された声明で「両者は共通の関心事項について30分間の話し合いを持った。命、信教の自由、良心を重視するjoint commitmentについても話われた」ことが明らかにされた。

 声明は通常の外交辞令的な表現で、両者の会談は「誠心誠意」なものだった、とし、米国におけるトランプ政権とカトリック教会の関係について、「医療保険、教育、移民への支援の分野での人々への対応において、穏やかな協力が期待される」と今後への期待を表明した。

 このほか、会談ではさまざまな国際問題についても話し合われ、声明は「国際問題に関する多様なテーマ、政治的な交渉と宗教間対話を通しての世界平和の推進について意見が交換された。その中で特に、中東情勢とキリスト教共同体社会の保護に言及があった」と説明した。迫害されているキリスト教徒の保護はトランプ大統領が選挙戦で主要課題に掲げていたもので、この問題を米国の外交政策の要石にすると公約しており、教皇にとっても重要課題となってきている。教皇は、あらゆる宗派の新たなキリスト教徒による殉教によって分かち合われる「血の広大な信仰一致」に繰り返し言及している。

 声明はまた、トランプ大統領が外交儀礼として、教皇の側近であるパロリン国務長官、ギャラガー外務局長とも会見した、とした。

 今回の会談に先立って、バチカンとホワイトハウスの高官たちは、2人の友好的な会合を期待していることを強調していたが、発表された声明はまさにそうしたトーンに貫かれていた。トランプ大統領が言明しているメキシコからの移民流入防止の国境への壁の建設問題や地球温暖化防止のパリ合意からの離脱、そして教皇が回勅  Laudato’ Siで推奨している地球温暖化防止策の推進などには、直接触れられることがなかった。

 もっとも、教皇は賢明な策をとった。会談後に大統領に手渡した贈り物に、「(家庭における)愛の喜び」「福音の喜び」の二つの使徒的勧告とともに、Laudato’ Siの文書を入れることで、意思を示したのだった。

 この会談について、ホワイトハウスはいまのところ、声明を出しておらず、教皇のほかにイタリアの大統領、首相とも会っているが、記者説明も予定されていない。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

トランプ氏「光栄です」、法王は無言…会談冒頭

(2017.5.24 読売新聞 ローマ=佐藤友紀)トランプ米大統領は24日、バチカンを訪れ、ローマ法王フランシスコと会談した。 両者は移民問題への対応などをめぐり対立した経緯があるが、和解の糸口を探った模様だ。

 会談冒頭、トランプ氏は報道陣の前で握手した後、「(お会いできて)大変光栄です」と語りかけたが、法王は無言だった。会談は約30分間行われ、ローマ法王庁によると、中東情勢やキリスト教徒をめぐる問題など国際情勢について幅広く話し合ったという。トランプ氏は会談後、記者団に「法王は偉大だ。会談はすばらしかった」と述べた。

 米ホワイトハウスによると、トランプ氏は黒人公民権運動を率いたキング牧師の著作の初版本などを法王にプレゼントした。法王は、平和の象徴とされるオリーブの木がモチーフのメダルをトランプ氏に贈った。

 ローマ法王は昨年2月、トランプ氏が米大統領選でメキシコ国境に壁を築いて不法移民の流入を阻止すると主張していたことについて「キリスト教徒ではない」と厳しく批判。トランプ氏も「宗教指導者が個人の信仰に疑問を投げかけるのは恥ずべきことだ」と反撃していた。環境問題を巡っても、地球温暖化に懐疑的なトランプ氏と、環境問題への対応を求める法王の間には意見の隔たりが目立つ。

 一方、キリスト教徒が国民の約7割を占める米国で、法王は米国民の尊敬を集めており、トランプ氏がローマ法王との対立を続ければ支持者離れにつながると懸念する声があった。トランプ氏は今回の初外遊で、カトリック教会(キリスト教)の総本山であるバチカン訪問に先立ち、イスラム教の聖地メッカがあるサウジアラビア、ユダヤ教の聖地「嘆きの壁」も訪問した。キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の3大宗教の中心地を回ることで、宗教による分断の修復をアピールする狙いがあり、法王との会談を重視していた。

 

2017年5月24日

 教皇、ラオスなど〝周辺地域〟中心に5名の枢機卿を新たに任命、日本はゼロ(CRUX)

  • (2017.5.21 Crux バチカン特派員 イネス・サン・マーチン)フランシスコは21日の昼の祈りの終わりに、ご自身のトレードマークとなったやり方-熟練のバチカン評論家や最側近の人々の不意を突く形-で、新枢機卿5人を選任したことを明らかにした。教会の新たなプリンスたちの選任式は6月28日に行われ、聖ペトロ、聖パウロの祭日に当たる翌29日、教皇と5人のミサが行われる。これで、フランシスコが教皇に就任されて以来、新任した枢機卿は合計60人、うち49人が次期教皇の選挙権を持つことになる。

  • (論評)枢機卿は、カトリック教会における教皇の最高顧問で重要な案件について教皇を直接に補佐する「枢機卿団 」を構成するとともに、個々の枢機卿は、教会全体にかかわる日常的な職務について教皇を助ける。80歳未満の枢機卿は、次期教皇の選挙権をもつ。そのように教会にとって重要なポストに、今回も日本からは選ばれることはなかった。今回、信徒4万6000人のラオスからも枢機卿が誕生することになったが、日本では、2009年12月に白柳誠一枢機卿が帰天されて以来、7年半も枢機卿が選任されていない。アジアの主要国で枢機卿をもたないのは日本以外はバチカンと国交のない共産主義独裁の中国だけだろう。なぜそのような事態が続いているか、日本の教会指導部は信徒とともに、現在の日本社会が抱える悩み、苦しみと真摯に向き合い、対応しているのか、「貧しい人々のための貧しい教会」という教皇フランシスコの思いに応えているのか、真剣に反省する必要がある。(「カトリック・あい」代表、元読売新聞論説副委員長・南條俊二)

 

  •  5人の選任には、誰もが驚きを禁じ得なかったろう。彼らが世界の様々な地域から選ばれたという事実は「教会の普遍性、世界にあまねく広がる」ことを表している、と教皇は説明され、「私たちは、新しい枢機卿たちを聖ペトロと聖パウロの保護に委ねます」と述べ、「そうして、使徒たちの第一人者の取り次ぎにより、彼らは教会共同体の忠実な奉仕者となり、人々の使徒の取り次ぎにより、福音の喜びに満ちた伝え手となり、そして、証人と枢機卿団とともに、ローマ司教、世界教会の羊飼いとしての私の働きを強力に支えてくださるのです」と強調した。

     5人は、グレゴリオ・ローサ・チャヴェス(サンサルバドル補佐司教=エルサルバドル)、ジャン・ゼルボ(バマコ大司教=マリ)、アンデルス・アルボレリウス(ストックホルム司教=スウェーデン)、ファン・ホセ・オメリャ(バルセロナ大司教=スペイン)、ルイス‐マリ・マングカネクホン(パクセー使徒代理区管理者=ラオス)。全員が80歳未満で、次の教皇を選ぶ権利を持つ。5人のうち4人が、これまで枢機卿を出していなかったマリ、スウェーデン、エルサルバドル、そしてラオスから選ばれたことに、世界の〝周辺地域〟を大切にしたい、という教皇の思いが込められている。

  •  エルサルバドルからは、上席のホセ・ルイス・エスコバル名目大司教を飛ばして、シャベス補佐司教を枢機卿に選んだ。同様のことはすでに三度なされているが、伝統的なしきたりを超えようとする教皇の意思が反映されている。シャベス補佐司教は、1980年にミサ中に殺害されたオスカル・ロメロ大司教の親密な協力者だった。ロメロ大司教の列福に先立って、司教はバチカン放送の番組で、「大司教は、フランシスコが求めておられる司牧の模範、教会・・貧しい人々のための貧しい教会の模範です」と語っていた。

  •  一般に教皇が枢機卿を指名する際、自らの後継者候補としてだけでなく、助言者として選任する。枢機卿選任が現在のポストからの異動を意味することはないが、バチカンの省、評議会などの責任者に任じられ、バチカン通いを求められることになる。選任は、教皇が教会に求めている行き方も示している。フランシスコの治世では、これまで信徒が少なく、見過ごされていた地域から、枢機卿が新任されるケースが目立つ。これは、教皇が、教会は周辺地域に目を注ぎ、中心に持ってくる必要がある、と考えているからだ。

  •  教皇就任後、フランシスコは2014年に19人の新枢機卿を指名し、うち16人は教皇選挙権を持つ80歳未満だった。この時、ハイチから選んだのは、首都教区のポルトープランスでなく、レス・カイエスの教区長であり、カリブ地域で影響力のあるキューバ、プエルトリコ、ドミニカ共和国からは選ばなかった。同じ年に、教皇はブルキナファソ、アイボリーコースト両国からも枢機卿を指名した。一方で、これまで伝統的に枢機卿を出していた教区を、枢機卿選任から外すこともしている。米国ではロサンゼルス、フィラデルフィア、イタリアではチューリン、ヴェニスがそうだ。

  •  今回枢機卿に選任されることになったマンカネコウン師の出身地ラオスは共産党支配のもとにあり、カトリック教徒は少数派だ。信徒数は4万6000人で、人口の1パーセントにも満たない。国内には教区は存在せず、使徒代理区があるのみで、17人の司祭が67の小教区を担当している。また、20人の修道士、93人の修道女が活動しているといわれる。国教として仏教が定められ、四つの使徒代理区うち二つを担当する司教たちは「宗教活動が制約され、困難な状態がしばしば起きている」と訴えている。

  • (翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

    ・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

2017年5月22日