(2017.7.17 CJC)第一次大戦中にポルトガル中部ファティマに聖母マリアが現れたと伝えられる「ファティマの奇跡」から100年を迎えたのを機に、9月14、15の両日、駐日教皇庁大使ジョゼフ・チェノットゥ大司教が秋田市添川湯沢台のカトリック女子修道院『聖体奉仕会』を訪問するのを機会に、ファティマの聖母像も訪れ、同修道院の「涙を流したマリア像」と対面することになった。
ファティマの奇跡は1917年5月13日、ファティマで3人の羊飼いの子供の前に聖母マリアが現れ、毎月13日に同じ場所に来るよう告げたことから始まる伝承。7月13日にマリアは三つの予言をしたとされる。バチカン(ローマ教皇庁)は30年、ファティマでの出来事を奇跡である「聖母の出現」と公認した。
バチカンは42年、三つの予言のうち第1と第2の予言を公表した。第3の予言は長く秘密にされてきたが、2000年に公表された。「白い衣をまとった司教が殺される」という内容で、「聖母出現」からちょうど64年後の1981年5月13日に起きた教皇ヨハネ・パウロ2世の暗殺未遂事件を予言したと解釈されている。今年5月、教皇フランシスコは100周年を記念してファティマを訪れた。
秋田に来る聖母像はファティマの「聖母出現」100年を記念して新たに作られたもので、ファティマの聖堂にあるものと同じ大きさ。すでに日本国内を巡回しており、100周年の5月13日にはカトリック関口教会(東京都文京区)でミサが行われた。最終的にはカトリック幟町教会(広島市)に納められるという。
産経ニュースが7月13日、カトリック教徒以外も注目しており、秋田県や秋田市は聖母像の“集客力”に期待。地元ホテルの中には、聖体奉仕会までの送迎無料の「巡礼者特別プラン」を設けているところもある、と報じている。
【2017.7.3 CJC】教皇フランシスコは6月27日、正教会のエキュメニカル総主教庁の使節を迎え挨拶した。同使節は29日に祝われる使徒聖ペトロ・聖パウロの祭日を前にローマを訪れた。バチカン放送(日本語版)が報じた。
バチカンはエキュメニカル総主教庁の保護聖人、聖アンデレの日(11月30日)に、また同総主教府はローマの保護聖人、使徒聖ペトロ・聖パウロの日(6月29日)に、それぞれ使節を交換することが恒例となっている。
東西の教会は古くから、聖ペトロと聖パウロの殉教を共に一つの祭日の中で記念してきたが、それは多様性における一致を象徴するものでもあると話された。
教皇は今年、福者パウロ6世が1967年7月にイスタンブールを訪問し、アテナゴラス総主教が同年10月にローマを訪問してから、50年を記念することを指摘。
キリストと、キリストの教会に対する愛だけに動かされた、この2人の司牧者の勇気と先見性に満ちた模範が、両教会の完全な一致に向けての歩みを励ましてくれるようにと祈った。□
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(2017.6.29 Crux Associated Press)オーストラリアのビクトリア州警察当局が29日、ジョージ・ペル枢機卿を、過去の幼児性的虐待に関係した複数の容疑で訴追した。具体的な容疑は明らかにされておらず、ペル枢機卿は容疑を強く否定している。多数の聖職者による幼児性的虐待は、欧米を中心にカトリック教会で大きな問題となり、いまだに終息の気配をみせていないが、バチカン最上位の教会幹部まで司直の捜査が及ぶのは初めてだ。
シドニー発―オーストラリアの警察当局が29日、同国カトリック教会トップのペル枢機卿をmultiple counts of historical sexual assault offenses(複数の歴史的性的暴行)に関係した容疑で訴追するという、バチカンを大きく揺さぶりかねない驚くべき判断を下した。ペル枢機卿は、教皇フランシスコの財務顧問。世界中で続いているカトリック聖職者による幼児性的虐待で摘発された中でも最高位のポストの人物となる。
このことが明らかになった29日早朝、ペル枢機卿は、オーストラリア・シドニー大司教区を通じて声明を出し、「(警察当局の)すべての主張を強く否定」、摘発と戦うため、できるだけ早く、帰国する方針を示した。
同国ビクトリア州警察のシェーン・パットン副長官は「歴史的な性的暴行」―一般的に過去に起きたことを指す―に関する複数の容疑で、ペル枢機卿に対し、メルボルン治安判事裁判所に7月18日に出廷を命じた、と語った。副長官は、枢機卿に対しては複数の訴えがなされている、とした。具体的な内容は明らかにしなかったが、「ペル枢機卿に対してなされた複数の訴えが、まだ一件も法廷で審査されてこなかったことは重大だ。枢機卿には他の被告と同様、法廷の適正な手続きを受ける権利がある」と説明した。
ペル枢機卿が訴えられ、法廷に持ち込まれることになったのは、教皇フランシスコにとって深刻な痛手だ。聖職者による幼児性的虐待に “zero tolerance (断固とした態度をとる)“で信頼回復に努める教皇に、新たに信頼を傷つける事態が起きてしまった。
これまでメルボルン大司教、そしてシドニー大司教のポストにあったペル枢機卿は、何年にもわたって、「聖職者による性的虐待事件に誤った対応をしている」との批判を受けてきた。政府から権限を受けた捜査機関が、幼児性的虐待にカトリックの教会や組織がどのよう対応してきたのかを調べる中で、彼の大司教としての対応もここ数年、厳しく調べられてきた。この同国最上位の捜査機関である「幼児性的虐待への公的制度としての対応に関する王任委員会」は今年初め、国内で過去二、三十年の間に幼児性的虐待で訴えられたカトリックの司祭の数が司祭総数の7パーセントにのぼる、というオーストラリアにおける聖職者の幼児性的虐待の驚くべき実態を明らかにしていた。
ペル枢機卿は昨年、同委員会への証言で、何千人もの子供たちが司祭による性的暴行や痴漢行為を受けるのを許すという“ひどい過ち”をカトリック教会が犯したことを認め、性的虐待の容疑を持たれた司祭たちをしばしば信じてしまうことで間違いをしたことも認めた。そして、自身の生まれ故郷のバララートで教会に蔓延する性的虐待犠牲者の大量自殺を終わらすために努力することを誓っていた。だが、さらにそのあと、枢機卿自身が聖職者による性的虐待捜査の焦点になり、ビクトリア州警察の捜査官から昨年、バチカンで事情聴取を受けている。一連の容疑の具体的な内容は明らかにされていないが、現在40代になっている男性2人が語ったところによると、1970年代の終わりに、当時、メルボルンの司祭をしていたペル枢機卿に、プールで不適切な接触をされた、という。
29日朝、シドニー大司教区が発表した声明によると、ペル枢機卿は「(声明発表時点で)ローマはまだ早朝だが、ビクトリア州警察の決定と対応について知らされた」「警察の主張を強く否定している」「担当医の助言と同意を得次第、早急にオーストラリアに帰国し、嫌疑を晴らす」「出廷を待ち望んでおり、そこで堂々と弁明する」としている。
いずれにしても、この問題は教皇フランシスコを厄介な立場に置くことになるだろう。教皇は2014年、子供たちを性的虐待から守る最良の方策について、教皇と教会に助言する外部専門家による委員会を設置して、性的虐待被害者の支援団体などから評価されたが、今年になって、委員会の提言がバチカンの担当部局に無視されたとして被害代表委員が抗議の辞任をし、教皇自身もバチカンの担当部局から反対を受けて、性的虐待を隠蔽した司教たちの案件を聴取する裁判機関の設置提言を破棄するなど、委員会の評価はがた落ちしている。
また教皇は2015に、チリで最悪の小児性愛者の集団の隠ぺいを助けたとして被害者たちから訴えられた司祭を同国の司教に任命して激しい批判を浴びている。この後で、この司教任命に反対した教区の信徒たちに、教皇が「左翼主義者」で「愚か者」の烙印を押したビデオが出回った。
教皇は昨年、ポーランド訪問から帰りの機中で記者団に対して、ペル枢機卿に対する批判について、オーストラリアの裁判所が判決を下す前に公正な手続きを踏むように希望する、としたうえで「疑いがあるのは本当です。裁判の結果を待つ必要があります。メディア的な判断、ゴシップの先行はあってはならない。それは(公正な判断の)助けにならないからです」と語っていた。
2014年に教皇はペル枢機卿を5年任期でバチカンに新たに設置されたバチカンの経済、管理、人事、調達を担当する財務評議会の議長に任命した。権限はこれらに対する監督業務に限定されている。
現在の事態の展開にペル枢機卿にが―そして教皇が―どのように対応するか。告訴された枢機卿を今の地位、教皇の最高顧問に置いておくという判断をすれば、教皇に良い印象はもたらされないだろう。(翻訳「カトリック・アイ」南條俊二)
(Associated Press writer Nicole Winfield in Rome contributed to this report. Crux staff also contributed to this report.)
Pope Francis arrives in St. Peter’s Basilica to celebrate a mass on the occasion of a Consistory where he will elevate five new Cardinals, at the Vatican Wednesday, June 28, 2017. (Credit: AP Photo/Alessandra Tarantino.)
(2017.6.28 Crux Staff)教皇フランシスコが28日、バチカンで枢機卿会議を開き、5人の新枢機卿の任命式を行った。祈りと福音朗読に続いて行われた枢機卿の任命式では、教皇から名を呼ばれた新枢機卿たちが神の民の前で信仰宣言を唱え、次いで教皇の前で従順を誓った。なお、白柳枢機卿が亡くなって以来、8年も枢機卿がいない日本は、今回も任命されることがなかった。
教皇は任命式での短い説教で、彼らに「あなた方は‶教会のプリンス〟になった、とは言われない、(そのようなことを期待せず)‶この世の罪〟の現実に対して目を見開き、奉仕するように」と戒められた。
また、そのような罪の現実を、厳しい言葉を使って次のように述べられた。「戦争とテロ、人権が叫ばれる時代にあっても人の尊厳が侵害され続ける奴隷状態の様々な形、しばしば煉獄よりも地獄のように見える難民キャンプ、もはや役に立たないとされる人も含めたすべてのものの組織的な廃棄。そのようなことの犠牲者として傷つき、命を落とすのは、罪のない人たちです」。
そして、「イエスは、そのような悪を根本から排除するために来られたのです」として、新枢機卿たちに、‶確固とした意志〟を持って、イエスに付き従うように求められた。「イエスはあなた方に、この世の罪とそれが人間に与える影響に、ご自分がしたように面と向かうように呼びかけておられます」と強調されたうえで、「別の関心や期待に惑わされないように」と強く求められた。
この日、教皇フランシスコによって任命された新枢機卿は以下の5人。
*ジャン・ゼルボ、バマコ大司教(マリ)*フアン・ホセ・オメリャ、バルセロナ大司教(スペイン)*アンデルス・アルボレリウス、ストックホルム司教(カルメル会士、スウェーデン)*ルイ・マリ・リン・マングカネクコン、パクセ使徒座代理区・代牧司教(ラオス)*グレゴリオ・ロサ・チャベス、サンサルバドル大司教区・補佐司教(エルサルバドル)
新枢機卿5人を代表して教皇に挨拶したオメリャ大司教は「私たちは自己言及的な教会(a self-referential church)を望みません。この世の数々の道を巡礼する教会を望みます。多くの人々の涙をぬぐい、希望を育てるような」と約束した。
枢機卿任命式は、2013年春の教皇就任以来、今回で四度目。shン枢機卿5人が加わったことで、教皇フランシスコの下で任命され、80歳未満で教皇選挙権を持つ枢機卿は50人近く、伝統的な枢機卿枠である120人の4割を占めることになった。新枢機卿任命に当たっての教皇の希望は、これまで通り、枢機卿団を世界的な性格を持つものにしていくことだ。教皇就任からこれまでに、ハイチ、トンガ、ミャンマーなど、これまで枢機卿がいなかった国に枢機卿を任命した。今回も、5人のうち、スペインを除く、マリ、スウェーデン、ラオス、エルサルバドルの四人は各国で初の枢機卿となった。
新規任命は5人と少ないが、さまざまな話題を呼んでいる。まずチャベス大司教は、先に福者に列せられたロメロ大司教の下で彼の意を受けて働いた。スウェーデンのアルボレリウス司教は、ルーテル教会からの改宗者で、スウェーデンだけでなくスカンジナビア半島全域でみても初の枢機卿だ。移民増加の影響もあってカトリックが増えている先進国では貴重な地域である。
ラオスからの枢機卿は、昨年のミャンマーに続く、カトリック信徒がベトナムを除いて、まだそれほど多くない東南アジアの国での枢機卿任命として注目される。
そうした中で、マリのゼブロ大司教は、不正資金疑惑が持ち上がる中での任命になった。彼と他のマリの教会幹部はスイスの銀行に1300万ドルの秘密口座を開設したことが直前に明るみになった。口座開設そのものは違法ではないが、その資金がどこから持ってきたものかについて、大司教は説明を拒んでいる。任命式後の祝賀会も、報道陣に囲まれて質問攻めにされそうになり、バチカンの広報担当者の判断で、中途退場を余儀なくされた。